再試練
………………………
その場に静寂が流れた。大河が、宗次郎が、そしてバーチャルを操作していた凛が。三人ともが数秒黙っていた。そして………
「しゃあぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
大河の喜びの咆哮が道場に轟いた。
大河は右手を突き上げ、そのままその場に座り込んでしまった。当然喜んでいるのは大河だけではなかった。道場とは違う部屋、つまり隣の部屋で凛と宗次郎が飛び上がっていた。特に宗次郎の喜びようは凄いものだ。
(切った………!!!大河はやり遂げたんだ !!!!あの子は慶治さんより上のランクでスタートを切ったんだ!!!!!)
宗次郎は大河にこれまで以上の可能性を感じた。もしかしたら、一番のハッピーエンド―全員救出―が叶うかも知れない、と………。
「大河!!よくやった!一先ずこっちに出てきてくれ!」
未だに興奮冷めやらぬ中、宗次郎は大河を呼んだ。大河は残っている体力で隣の部屋へ向かった。
大河が部屋へ向かうと、少し息づかいの荒い宗次郎と、隣で拍手をしている凛が待っていた。
「大河!おめでとう!!………しかし、どうやってあの動きを編み出したんだ?」
宗次郎はもう一度大河を褒め、ずっと頭にあった疑問を投げ掛けた。
凛から飲み物を受け取った大河は、…………ふぅ。と一息ついて話しだした。
「…………実は少し前の夜、動画の一部分を見て思ったんだ。その動画は自分の体を回転させて次の敵を斬っていた。確かに人みたいに切るのに多少の力が必要ならそうしなきゃいけないかもしれない。でも竹みたいに刃さえ当てれば簡単に切れるものなら、とりあえず太刀を早く当てられればいい、と思ったんだ。そしたら自分が回転するより自分の前で太刀を回した方が早いだろ?……………………上手くいくとは思わなかったし、少し反則な気がするけどな」
大河はこの技に至った経緯を話した。実は一つだけ、最後に言ったことが不安要素だったのだ。この技、出来たはいいが、宗次郎が求めていたものだったのだろうか?恐らくこんな切り方で試練を突破するとは思っていなかっただろう。だから、これが試練を突破した、と認められるのだろうかと少々不安だったのだ。ところが、宗次郎の反応はそんなこと気にしていないかのようであった。
「そんなの気にすることはない。そもそも始めて少しの大河が突破するなんて初めから思っていなかったからな。難しい課題を与えられ、少しでも刺激になれば、なんて思っただけだったから、ほんとにやり遂げるとはね………」
その言葉を聞き、大河は
「ならよかった。少し休ませてくれよ、疲れた。」
と安心したように言って部屋からでた。
……………あの試練突破から数週間後……………
大河は太刀の使い方にかなり慣れてきていた。その日も大河は道場にいた。今日は少し暑く、道場の開く壁を開けて風をいれていた。
「…………………ふぅ。よし、どうだ、宗次郎?」
一通りの動きの確認をしてもらっていた大河は、隣で見ていた宗次郎に確認した。宗次郎はよし、と頷いて、
「ああ。この調子なら普通にいいだろう。こっからは正直対人でやっていかないと分からないところがあるだろうな……………よし、凛!対人プログラムを起動の準備をしてくれ!」
宗次郎が叫ぶと、隣の部屋で凛が動き出した。遂に次のプランに移行か…………。大河がそう考えていると外に違和感を感じた。振り向くと、いつも通りの外の景色だった。
(流石に向こうからはこないか………)
大河がそう感じていると、
『ビュンッ!!!!!!』
なにかが恐ろしい速度で飛んできていた。
「!?」
気付いたのは大河だった。宗次郎は気付けず、その場に立っていた。
「宗次郎!!あぶねぇ!!!!」
大河は宗次郎に飛びかかり、その場からどかした。すると
『ガンッ!!!』
道場の壁に何かが当たっていた。見ると、それは銃弾だった。しかしより驚いたのは、当たっている銃弾の反対側だった。反対側の壁は開いていない。
(どうやって飛んできた……………?というか、なんで今銃弾が………?)
そんなことを考えていると、宗次郎が顔を少し青ざめさせて振り向いた。
「大河、どうなった?遂に敵か………?」
大河は既に太刀を構えていた。
「宗次郎、部屋から出ろ!!!危険だ!!!!」
すると、壁の開いているところから、何者かが現れた。それは………………
「…………………………………………は?」
その相手は…………大河の親友、大地だった。
第12話を読んでいただき、ありがとうございました。次話、大河の初戦闘です。




