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第6話 不整脈

……………………………………

……………………………………

……………………………………


 今日もカエデは俺を見ている。

正確には地球から見える“月”をだが……


「……………………………………はぁ」


 今日のカエデはおかしい。

全く話さない。

口を開いたと思ったらため息だ。

表情も虚で、意識が別の場所に言っている。


 どうしたんだ?

何かあったのか?

マミか?

マミがまた、何かしでかしたのか?


 カエデは話さない。

上の空だ。


 何かあったのか?

学校か、塾か、またママと喧嘩したのか?

俺が原因を考えていると、カエデはポツリとつぶやいた。


「先輩……」


 先輩?

また新キャラか?


「……はぁ……先輩……」


 カエデはため息をつきながら、何度も“先輩”とつぶやいた。

頬は少し、桃色に色づいている。


 俺は胸の奥が少しざわついた。

なんだこのモヤモヤは……

急に不整脈か?


 カエデは月に話しかけない。

いつもは口を開けば、なかなか閉じない。

ずーとおしゃべりモンスターカエデなのに。


 カエデは顔を手で覆い、つぶやいた。


「……先輩……かっこよかったな……」


……………………………………

……………………………………

……………………………………


 時が止まった。


 そうか、かっこよかったか……

かっこいい先輩がいることはいいことだね……

俺にもいるぞ!

NIX先輩!

俺が監視人になった時の、教育担当だった先輩だ。

厳しかったが、仕事を丁寧に教えたくれた。

十年に一度くらいは「元気か? ご飯食べてるか?」って連絡してくれる。

憧れの先輩だ。


 あとPLEM先輩。

監視人界のマドンナだ。

美しく、品があり、仕事も完璧にこなす。

また、部下の教育にも熱心で、いろんな衛星に引っ張りだこで……

あと、料理もうまいらしい。

聞いた話だけど。


 ………………何言ってるんだ俺。

何ムキになってるんだ俺。

カエデと張り合ってもなんの意味もない。


 不整脈が止まらない。

いや、先ほどよりも強く、早くなっている。


1……監視区域の生物に感情を持ってはいけない


 そうだ、そうなんだ……

気づいてた。

……気づかないふりをしていた。


 俺はカエデのことが——

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