第6話 不整脈
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今日もカエデは俺を見ている。
正確には地球から見える“月”をだが……
「……………………………………はぁ」
今日のカエデはおかしい。
全く話さない。
口を開いたと思ったらため息だ。
表情も虚で、意識が別の場所に言っている。
どうしたんだ?
何かあったのか?
マミか?
マミがまた、何かしでかしたのか?
カエデは話さない。
上の空だ。
何かあったのか?
学校か、塾か、またママと喧嘩したのか?
俺が原因を考えていると、カエデはポツリとつぶやいた。
「先輩……」
先輩?
また新キャラか?
「……はぁ……先輩……」
カエデはため息をつきながら、何度も“先輩”とつぶやいた。
頬は少し、桃色に色づいている。
俺は胸の奥が少しざわついた。
なんだこのモヤモヤは……
急に不整脈か?
カエデは月に話しかけない。
いつもは口を開けば、なかなか閉じない。
ずーとおしゃべりモンスターカエデなのに。
カエデは顔を手で覆い、つぶやいた。
「……先輩……かっこよかったな……」
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時が止まった。
そうか、かっこよかったか……
かっこいい先輩がいることはいいことだね……
俺にもいるぞ!
NIX先輩!
俺が監視人になった時の、教育担当だった先輩だ。
厳しかったが、仕事を丁寧に教えたくれた。
十年に一度くらいは「元気か? ご飯食べてるか?」って連絡してくれる。
憧れの先輩だ。
あとPLEM先輩。
監視人界のマドンナだ。
美しく、品があり、仕事も完璧にこなす。
また、部下の教育にも熱心で、いろんな衛星に引っ張りだこで……
あと、料理もうまいらしい。
聞いた話だけど。
………………何言ってるんだ俺。
何ムキになってるんだ俺。
カエデと張り合ってもなんの意味もない。
不整脈が止まらない。
いや、先ほどよりも強く、早くなっている。
1……監視区域の生物に感情を持ってはいけない
そうだ、そうなんだ……
気づいてた。
……気づかないふりをしていた。
俺はカエデのことが——




