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第4話 同期

「MOON MAN、最近心拍数が早い時があるが……」

「そうですか?」

「何か問題でもあったか?」

「特に問題はありませんが」

「そうか……惑星監視三原則を言ってみろ」

「1……監視区域の生物に感情を持ってはいけない、2……監視区域に干渉してはいけない、3……監視区域の生物に名前をつけてはいけない」

「よく覚えているな。忘れるなよ」

「もちろんです……」

「それでは、任務に戻れ」


 惑星監視本部からの抜き打ち面談だ。

正直言って、好きではない。


 カエデとのことはバレていないと思う。

報告書もいつも通り書いているし、時間通りに提出している。

そこだけ気をつければ、大丈夫だと思っていた。


 心拍数って……

そこまで監視してるのかよ。

……盲点だった。


ピーピーピーピー


 その時、通信機が激しくなった。

その音を聞くのは何十年ぶりだろう。

思わず胸をおさえ、飛び跳ねた。


脅かすなよー、心拍数が——


 俺は通信機のスイッチを押した。


「久しぶりMOON。三十年ぶりくらいか?」

「なんだ、ARTEMか」

「なんだよ、その残念そうな言い方は!」


 相手はARTEM。

監視人の同期だ。


「どうよ!? 天の川銀河の民は元気にしてるか?」

「地球な」

「そうそう、地球!運悪いよな——暇だろ?」


 俺は何も言わなかった。


「もしかして、暇すぎて喋り方忘れちゃった?」

「うるせー」


 とことんふざけたやつだ。


「で? 何のようだよ?」

「冷たくないか? 同期が心配して連絡してやったのに」

「し、心配って、何だよ」


 少しドキッとした。

もしかして、カエデのことがバレてると思ったからだ。


「いやー、抜き打ち面談あっただろ? どうだったかな〜と思ってさ!」

「そ、それだけか?」

「それだけだ!」


 こいつ何なんだよ!


「お前はどうだったんだよ、ARTEM」

「あー俺? 俺の監視惑星、可愛い子多くてさー、少し手助け?しちゃってー」

「しちゃって……」

「本部にめちゃくちゃ怒られた。」

「アホか、何やったんだよ」

「聞くな。思い出したくない」


 能天気なやつだ。

2……監視区域に干渉してはいけない

こいつ、それを普通に無視してやがる。


「で、お前はどうなんだ?」

「俺は、特に何も……」

「本当か?」

 

 言葉が出なかった。

俺は三原則を守れているだろうか——

急に不安になった。


「でもさー、可愛い子がいる惑星に俺を派遣した本部も悪いよな? 俺たちまだピチピチの若者よ? 恋くらいしますよねー」


 楽観的すぎる。

でも今の俺は、こいつに意見することができなかった。


「で、お前はどうなの?MOON。地球にだって可愛い子ぐらいいるだろ?」


 俺は否定しようとした。

だが、言葉が出なかった。

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