↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
17/20

第17話 教育担当

 あれからまた数年が経った。

カエデは死に、俺はまた退屈な仕事に励んでいる。

変わったことといえば、ARTEMからの連絡が増えたことだな。

新しい惑星は、相当退屈なようだ。

これで、俺の気持ちもわかるだろう。

だが、同期からの連絡は少し嬉しくもある。


「でさ、陸にやっと上がったわけ」

「いいじゃないか変化があって」


 俺はARTEMの愚痴を聞いている。


「アイツら何千年もかけて進化するんだぜ! 俺が赴任した時には四十億年以上は経ってたから、陸に上がる姿見えたけどな。これから長いよー。人類誕生する時俺、生きてるかな?」


 新しい惑星には、新しい惑星なりの孤独があるようだ。


「まー、三原則は守れそうだな」

「ひどい! ひどいよMOON! 俺はそんな子に育てた覚えはありません」

「大丈夫だ。育てられた覚えがないからな。安心しろ」

「ひどい!」

 

 ピーピーピーピー


 突然、通信機が鳴った。


「悪いARTEM。通信機が鳴った。切るぞ」

「MOON、俺よりも優先する話があるのか?」

「優先順位はお前が最下位だ。切るぞ」

「ひどい! また連絡するからな」


 俺はARTEMとの通信を切り、別の通信へと切り替えた。


「はい、こちらMOON」

「久しぶりだなMOON MAN」


 こ、この重圧のある低い声は——


「GALAXY部長、お久しぶりです」

「元気にしているか?」

「はい、元気にしています」

「そうか、それは良かった」


 GALAXY部長から「元気にしているか?」なんて言葉、初めて聞いた。

機嫌がいいのか、それとも何かあるのか。

嫌な予感がする。

少し怖い。


「な、何か?」

「そう身構えるな。実は今年も何人か新人を採用したんだ」

「はい、聞いております」

「そこで、何人かに教育担当をお願いしているところなんだ」

「……そうなんですね」


 嫌な予感……


「そこでMOON MANどうだ」


 ……的中した。

この流れだとそうなるよな。


「わ、私ですか? いやーまだまだ、私には早いと言いますか……」


 やりたくない!

そんなことは言えない。


「皆、同じ反応をする。特に今まで教育担当をしていない者は特にな」

「そ、そうですか……」


 皆、やりたくない。

逆にやりたいやつなんているのか?


「MOON MAN、お前は仕事が丁寧だ。報告書もわかりやすい。」

「そ、そうですか?」

「NIXも、そろそろ新人を任せてもいいと言っている」

「NIX先輩が?」


 NIX先輩の名を出すなんて……卑怯な。


「どうだ、MOON MAN。やってみないか?」

「NIX先輩が、俺を推薦したということですか?」

「そうだ」


 やりたくない。

めんどくさい。

だが、ここで断るとGALAXY部長からの今後の評価が……

NIX先輩も俺を信用して推薦してくれた。

先輩の期待を裏切るわけには……

でも、やりたくない。


「MOON MAN、返事は今じゃなくていい。また連絡す」

「……ます」

「ん? どうした?」

「やります」

「……そうか、わかった。ありがとう、MOON MAN。話しはそれだけだ」

「はい、失礼します」


 俺は通信を切った。


 今、何を言った俺?

返事は今じゃなくていいと言っているのに、なぜ、返事をした?

馬鹿なのか?俺は馬鹿なのか?

重圧に負けて、先走ってしまった、くそー!


 最悪なことに、俺は教育担当をすることになった。

GALAXY部長から一ヶ月後に新人が一名、月に派遣されると連絡があった。

どんなやつが来るかは、知らされていない。


 退屈だが、まったりと仕事ができていたんだと今になって気付いた。


 あーあの日に戻りたい。

戻って断りたい。


 一ヶ月間、俺は毎日後悔して過ごしていた。

不整脈が止まらない。

誰か、助けてくれ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。