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第14話 転勤

「では以上だ。MOON MAN気を引き締めて業務に励め。期待しているぞ」

「はい、GALAXY部長」


 あー緊張する。

長年、監視人をしているが、GALAXY部長との会議は緊張する。


 あれから何年経っただろうか。

もう、カエデのことは忘れている。

いや、忘れていない。

現に今“カエデ”って言ったな。

覚えている。

覚えてはいるが——


「よし、仕事に戻るか!」


 今日も地球人を監視する。

この星の頂点に立つ生き物だ。

念入りに監視しないとな。


 相変わらず、地球人は退屈だ。

動物の毛皮を着て、動物と散歩をする大人。

同じ服を着て、大人から教育を受ける子供。

同じ地球人なのに、銃で撃ち合う大人。

食事をせず、痩せていっている子供。


 何年経ってもこの星は変わらない。

進化も、退化もしない。

退屈な惑星だ。


 ピーピーピーピー


 通信機がなった。


「はい、こちらMOON MAN」

「……ム〜ン〜」


 通信機からすごく不快な声がする。


「ARTEMか」

「……ム〜ン〜、たちけて」

 

 おどけた口調だが、なぜか少し寂しそうだ。

 

「どうした。何かあったのか?」

「ん〜俺、転勤になった」

「そうか、切るぞ」


 俺は通信機のスイッチに手を伸ばした。


「ちょちょちょちょ待てよ!」

「なんだ、仕事中だ」

「ちょ、これだけのために連絡しないでしょ。話を聞いてくださいよー」


 めんどくさい。


「少しだけな」

「ありがとうございます。MOONさま」

「切るぞ」

「わかった、急かすなって」


 適当にARTEMの話を聞きながら、俺は監視の仕事を始めた。


 ARTEMの話はこんな感じだった。

転勤になった。

美女惑星とはお別れ。

次の惑星は人類がいない若い星。

これからの惑星っていいですねーってみんなは言うけどつまらない。

俺、寂しい。

だそうだ。


「三原則を守らなかった罰だな」

「そんなこと言うなよ〜」


 少しだけ、ARTEMとの会話が楽しいと感じている。

少しだけな。


「で、最近お前はどうなわけ?」

「俺か? 特に何も」

「MOON、本当に浮いた話ないのな。真面目か!」

「お前が、浮きすぎなんだよ」

「ん〜、でも地球って退屈だろ? ここんところ発展ないだろう」

「……まーな」


 少し間を空けてしまった。

ここ最近は本当に何もなく退屈だ。

でも少し前は——


「お前も頑張ってるんだ。俺も頑張らねーとなー」

「ははは、そうだな」


 よかった、気づかれてない。

気づかれたら面倒だからな。


 ARTEMの話ながら、別のところに照準を合わせた。

 

 山間の小さな町。

街の明かりは少なく、真っ暗だ。


「MOON、次の惑星、どんな奴がいるかな? 気持ち悪かったらどうしよう」

「頑張るんだろ?」

「そうだけど……」


 適当な返事をしながら、周辺を監視する。

すると、古い家の縁側に、一人の老婆が座っていた。

月明かりに照らされ、少しだけ顔が見える。


「なーMOON、聞いてるか?」

「あー」


 返事は適当でよし。

そろそろ仕事に集中しないとな。


 俺は別の場所に照準を合わせようとした。

 

「ねぇ、聞いて」

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