第13話 室内
久しぶりにカエデを見た。
カエデは、元気がなかった。
俺には何にもできない。
三原則なんて関係ない。
俺にはカエデを元気にする力がないんだ。
あの日から、毎日カエデのいた窓に照準を合わせている。
仕事もしている。
たまにだ。
だが、窓はあの日以来開くことはなかった。
カーテンも閉まったまま、カエデは姿を表さなかった。
それでも俺はカエデの元に照準を合わせた。
たまに、俺って気持ち悪いなとか、ストーカーかよとか思うことがある。
でも、あの日のカエデの顔が、声が忘れられない。
カエデに何があったのか分からない。
元気だったカエデが、あんな弱気になるなんて。
俺は、カエデのいた窓を見続けいた。
あれから何日経っただろうか。
カエデに会えなくてもいいと思いながらも、カエデを求めて、閉まっている窓を見続けた。
何日も、何回も。
だが、今日は窓が空いていた。
カーテンが風に揺れている。
「カエデ!」
俺は叫んだ。
カーテンが邪魔で室内が見えない。
風よ止め!
すると風が止んだ。
カーテンの揺れがおさまり、室内が鮮明になった。
カエデがいない?
室内にはベッドが置かれていた。
ベッドにはシーツが敷かれておらず、枕や布団もない。
誰もそのベッドを使用していないように見えた。
カエデ……どこに?
俺はカエデを探した。
病院を一周回った。
その周辺の公園や商店街、行ったこともないところも行った。
カエデはいないかった。
もしかして、家に帰ることができたのか?
俺はカエデの家に照準を合わせた。
カエデ、いてくれ!
カエデの家がモニターに映し出される。
いつもカエデがいる窓から部屋を覗く。
……え?
部屋の中はもぬけの殻だった。
他の窓からも室内を見た。
すでに、誰も住んでいないように家具も人も明かりもなかった。
ど、どういうことだ?
俺は気が動転し、何も考えられなくなった。
そうだ!単座艇、単座艇で探しにいけば!
俺は、単座艇の起動装置に手を伸ばした。
2……監視区域に干渉してはいけない
三原則……三原則を破ってもし、見つからなかったら。
急に恐怖が込み上げてきた。
もし、カエデが見つからなかったら、カエデは……
俺は単座艇の起動装置から手を離した。
怖かった。
考えたくなかった。
知りたくなかった。
俺はカエデを探すのをやめた。
そして、この日以降カエデに会うことはなかった。




