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第11話 カーテン
俺は声の方に照準を合わせた。
本当は合わせない方がいい。
分かってるんだ。
分かってる……
照準を合わせると、病院の窓が一つ開いていた。
ゆらゆらとカーテンが揺れ、隙間から人の気配がする。
カエデ……
俺はカーテンの揺れが収まるのをまった。
早く会いたい。
目の前にいるのに、俺はカエデに会うのが怖かった。
やっと、元の生活に戻ったんだ。
孤独で退屈だった日常に。
“監視人”の俺に。
俺はとっさに目を覆った。
怖くて、愚かで、情けない。
俺は……臆病だ。
やめよう、会うのは……
でも、会いたい。
その時——
「ねぇ、聞いて」
カエデの声がした。
細く、掠れた声が。
カエデ……
俺は目を覆っていた手をゆっくりと離した。
風は収まり、窓辺には一人の少女の姿があった。
知っている少女だ。
カエデだ。
だが、頬はコケ、肌の色は青白く、空な目をしている。
カエデ……
「私、頑張ったよね? いっぱい頑張ったよね」
カエデは月に話しかける。
「えへへ、こんなこと言っちゃいけないって分かってるんだ。でもね……少し疲れた」
カエデ……
カエデは弱く、囁くように言った。
俺の知っているカエデは、声が大きくて、ハキハキと話して、口を開けばずっと話している。
カエデ……どうしちゃったんだ。




