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『追放された悪役令嬢は、最凶の悪党たちと辺境で【悪の帝国】を建国する』  作者: 冷やし中華はじめました
新世界の魔王と、自立する民

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6

リオンは帝国の隅にいた。

降伏した兵士たちに混じって、帝国に残ることを選んだ——というよりも、行く場所がなかった。王都に戻ってもドミニクとヴィクトルは拘束されている。神殿は機能を停止している。自分を「勇者」として迎えてくれる場所は、もうどこにもない。

リオンは三日間、割り当てられた寝台の上で膝を抱えていた。食事は配給されたが、手をつけなかった。正確には——手をつける気力がなかった。空洞の中にいた。何を考えればいいのかわからない。何をすればいいのかわからない。今までの人生で、一度も「自分で決める」ことをしなかった人間が、突然全てを自分で決めなければならなくなった。

四日目の朝。

腹が鳴った。

生理的な、どうしようもない音。体が食事を要求している。頭が拒否しても、胃が動く。

リオンは寝台から降りた。裸足で冷たい土の床を踏んだ。居住区の外に出た。朝日が眩しかった。

炊事場が見えた。帝国民の女たちが朝食の支度をしている。大鍋に粥が煮えている。湯気が立ち上り、穀物の素朴な匂いが漂っている。

リオンは炊事場の列に並んだ。

誰に言われたわけでもない。側近が導いたのでもない。腹が減って、食べ物の匂いがして、列があったから並んだ。それだけ。

順番が来た。鍋の前に立つ女性が、リオンの顔を見た。金髪碧眼。元勇者。この帝国で最も複雑な立場にいる青年。

女性は何も言わなかった。木の椀に粥をよそい、差し出した。

リオンは椀を受け取った。両手で。温かかった。

炊事場の隅に座り、粥を口に運んだ。熱い。舌を火傷しそうだった。味は薄い。塩と穀物だけの、飾りのない粥。神殿で食べていた白磁の皿に盛られた料理とは、何もかもが違う。

しかし——腹に入った。

自分の手で椀を持ち、自分の口に運び、自分の腹に入れた。

リオンはそのまま、しばらく座っていた。空の椀を膝の上に載せて。

防壁の外。森の中の木の上から、カイがその姿を見ていた。

偵察の帰路だった。拠点を横切る最短ルートの途中に、炊事場がある。

灰緑色の目が、粥の椀を抱えて座っている金髪の青年を映した。

カイは何も言わなかった。足を止めることもなかった。

しかし——視線は、通り過ぎるまで外さなかった。

あの乾燥肉が。無駄にならなかった。


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