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奇跡のシステムが停止した。
帝国の森の上空で淡い光が漂っている同じ瞬間、全世界で——同時に——光魔法が機能を失った。
王都ルミナスの街灯が消えた。一本、また一本。光魔法で維持されていた白い灯りが、通りの端から順に暗くなっていく。市民たちが窓から顔を出し、消えていく光を見つめた。
神殿の浄化結界が解けた。水の配給所で、光魔法で浄化されていた水が——ただの水に戻った。
辺境の防衛拠点で、光魔法の防壁が消失した。魔物の侵入を防いでいた結界が、蝋燭の炎が吹き消されるように消えた。
治癒魔法が効かなくなった。王都の療養所で、光の治癒を受けていた患者たちの傷口が、再び開いた。
世界中で——光の力に頼っていた全てのインフラが、同時に止まった。
討伐軍の陣営では、混乱が爆発した。
聖騎士たちの剣から光が消えた。光を纏えない聖剣は、ただの鉄。防具に編み込まれた光の加護も消え、鎧が急に重くなった。
兵士たちが叫んでいる。何が起きたのかわからない。光が消えた。奇跡が効かない。治癒ができない。武器が光らない。
ヴェルナーは陣営の正面に立ったままだった。討伐軍の混乱を、鉄灰色の瞳で見つめている。剣は抜いていない。掌の古傷から滲んだ血が、柄を伝って地面に垂れている。陽動のために構えていた血剣は——もう必要なかった。
聖騎士団は陣形を維持できなくなっていた。オルトが怒号を飛ばしているが、光を失った兵士たちの動揺は収まらない。何人かが武器を捨て始めた。




