表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『追放された悪役令嬢は、最凶の悪党たちと辺境で【悪の帝国】を建国する』  作者: 冷やし中華はじめました
世界の真実

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
47/70

6

歓声が収まった後、ダリオがもう一度口を開いた。

誰にも頼まれていない。セレーナが台本を用意したわけでもない。ダリオの中から、自然に出てきた言葉だった。

「一つだけ言わせてくれ」

広場が再び静まった。

「マルコじいさんを覚えてるか」

名前が広場に響いた。六十七歳。靴職人。配給停止の六日目に森の外縁で死んだ老人。

「あの人は、俺たちの仲間だった。俺が愚かな意地を張ったせいで、壁の外で死んだ。——俺はそれを一生忘れない」

ダリオの声が掠れた。しかし目は揺れなかった。

「だから戦う。マルコじいさんの死を無駄にしない。この場所を守る。奇跡の連中に俺たちの暮らしを潰させるもんか。——あの人の分まで、俺たちは自分の足で立つ」

セレーナは広場の後方で聞いていた。

マルコ。靴職人。享年六十七。帝国で最初に死んだ人間。

セレーナの解析室の壁のリストにある名前。確率二パーセントの向こう側にいた人間。統計的に正しかった計算と、それでも消えなかった一つの名前。

ダリオがその名前を覚えていた。帝国民がその名前を覚えていた。

セレーナの紫水晶の瞳が、一瞬だけ伏せられた。

一瞬だけ。

次の瞬間にはもう、管理者の目に戻っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ