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難民たちが拠点に戻って一週間。
ヴェルナーの防衛訓練が、以前とは全く異なる熱量で再開された。
以前の訓練では、難民たちは義務として参加していた。嫌々、形だけ、本気とは程遠い動き。しかし今は違う。ダリオを筆頭に、全員が目の色を変えていた。
影狼に追われた夜を覚えているからだ。マルコの死体を見たからだ。祈っても誰も来なかったことを知っているからだ。
ヴェルナーは「教官」として接した。師弟ではない。かつて弟子を取り、その弟子に裏切られた男は、もう二度と師弟の関係を結ばない。しかし「技術を教える」ことは、彼の専門領域における正当な業務だ。
「槍は突くな。振り回せ。お前たちの力で魔物の皮を貫くのは無理だ。叩いて怯ませろ。怯んだら、喉か腹を狙え」
実戦的な指導だった。騎士道の型ではない。生き残るための最低限の動き。
カイもまた、難民たちに技術を教え始めた。
薬草の見分け方。毒のある植物の判別。簡単な罠の作り方。
「この草は解熱剤になる。煮て飲め。こっちは毒。触るな。見分けるポイントは葉の裏側の筋の本数だ。三本なら薬、五本なら毒。それだけ覚えろ」
致死技術の民生利用。暗殺者の知識が、難民の生存スキルに変換されていく。カイの教え方は簡潔で、余計な説明がない。必要な情報だけを、必要な分量だけ。受け手にとっては最も吸収しやすい形式だった。
モルスは死んだ魔物から素材を回収し、難民に武器や防具の材料を提供した。角猪の骨を削った槍の穂先。影狼の革で作った簡素な胸当て。
「無駄にしないでくださいね。全部、元は生きていたものですから」
以前なら、その言葉に怯える者がいただろう。しかし今は——マルコの死を超えてきた難民たちは、死と隣り合わせで生きることの意味を、頭ではなく体で理解し始めていた。死んだ魔物が武器になるなら、それは「冒涜」ではなく「循環」だ。モルスの世界観が、わずかずつ——ほんのわずかずつだが——浸透し始めていた。




