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27.曙色 side望月光


 待ちに待っていたと言っても過言ではない、舞踏会当日の日は、思った以上に早くやってきた。




「あ、いたいた!望月~。ネクタイの色は暖色の明るめでって立花からの伝言♪」




「あっ、はい。わかりました」




 着替えを済ませ部屋を出た俺は、深雪さんに話しかけられた。ネクタイは後で色を指定するからねーと、立花さんに言われた。この国の舞踏会では、各家で招待された場合、スーツやネクタイ、ドレスの色味を合わせて参加するのが暗黙のルールのようだ。






 衣装部屋のネクタイが置いてある辺りを探すと、暖色と一口に言っても大量に種類がある。明るめと指示があっても、この中から選ぶのは至難の業だな。数カ所空いている場所は、きっと今日の舞踏会に行くメンバーが既に選んだ形跡なんだろう。




「うふふ~。可愛い~!」




「柚子ちゃんも立派なレディになったわねぇ」




 隣の部屋から聞こえるのは、柚子ちゃんと、柚子ちゃんのドレスアップを手伝う為に来た昔勤めていた使用人だと言うの女性の声だ。




 ーー何色のドレスなんだろうか。ふと、彼女の事を考える。真っ赤、赤、ボルドー、緋色、一条家なんだから派手なの!柚子はメイドだから、ちょっと抑え気味なの!ーー想像するだけで、いろんな彼女の声が聞こえる。


 俺の知ってる舞踏会のドレスコードは、エスコートをする人とされる人は同じ色を身につける事ーー。今回のエスコートは俺じゃないけれど、彼女の顔を思い浮かべて俺は1本のネクタイを手に取った。








「おまたせぇ~」




 留守番の風見と深雪さんも含めた全員が、そろそろ出発と玄関ホールに集まった時、柚子ちゃんの声が響き渡った。




「柚子……それはアリなの?」




 思わず口に出したのは風見だった。




「なにがぁ??」




「派手じゃん」




「……そーお?大雅くんは良いって言ったよ?」




 その場にいた全員がご当主様を見つめると、至極当然と言った顔で頷いた。


 ーーいいんだ。あれーー


 と、呟いた風間の声がどこか遠くに聞こえる。柚子ちゃんは、朝日を思わせるような、明るいオレンジ色と白のグラデーション、5段はあるであろうフリルがたくさんついた、とても人目を引くようなドレスで登場した。これには、さすがの修斗さんもびっくりで目を丸くしている。




「一条家らしくて実に良い」




 そうご当主様が言えば黙るしかない。






 車に乗り込むと、俺と柚子ちゃんは隣同士だった。




「ねぇねぇ、光くん」




「ん?どうしたん?」




「お揃いだね!」




 彼女が指差したのは俺の首元だ。




「あっ、明るい暖色って言われて。これくらいしか見当たらなくてーー」




 それは、嘘だ。




「そうなんだ!とっても似合ってるよ」




「ありがとう。柚子ちゃんも、ドレス良く似合っとる」




 照れた彼女の横顔は綺麗だった。


 君の事を考えてたら、この色になったんだ。君の選んだドレスと同じーー朝日みたいなオレンジ色に。



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