17-3 敗戦の課題を見据えた戦略3
俺たちは、今回の戦争で完全敗北を喫したが、戦場の死線をくぐり抜け、精神力は高まっている。あとは、晶人軍帥が述べたように、徹底的に天下無双の薩摩示現流を鍛え直そう。その技を鍛錬すればするほど、サイコキネシスソードの威力もサイコキネシスソードに付随する魔法の威力も高まるんだ。空も飛べるし、防衛用バリア魔法もできる。高速移動魔法や透明スルー魔法だってできるように鍛錬するんだ。そして、キムジョン帝国軍が地下と地上から攻めて来ると言うのであれば、我々『天の使徒アラバス公国』軍は空軍になろうじゃないか。
俺が風魔法とレーザービーム魔法を掛け合わせて新開発した斬撃で空から、地下を丸ごと切り刻んでいくんだ。そして、そらからランカスター爆弾の雨を降らすんだ。そうすれば勝てる。必ず勝てる。だから、共に薩摩示現流の練習に死に物狂いで取り組もうじゃないか!それしか道はない、これに極まる!」
「異議なし!」
「異議なし!」
「異議なし!」
「イエッ・サー!」
「イエッ・サー!」
「イエッ・サー!」
「よし、明日から『天の使徒アラバス公国』軍の兵士試験の準備に取り掛かろう。その補充が済んだら、死に物狂いて『天下無双の薩摩示現流』の鍛錬の始まりだ!キムジョン帝国軍に100万倍返しの始まりだ!」
「オーッ!オーッ!オーッ!オーッ!オーッ!オーッ!」
「イエッ・サー!」
「イエッ・サー!」
「イエッ・サー!」
戦略会議の翌日、俺は全国民に向けて兵士募集試験の念話を入れた。すると、本拠地であるログハウスの近くにある大草原の地を埋め尽くすほど大勢の志願兵が集まっていた。人間と亜人は18歳以上、魔物や魔人は10歳以上の年齢制限を設けたにも関わらず、9百万もの志願兵が集まったのである。もちろん、国外の戦闘は、魔物と魔人が担い、人間と亜人は国防軍を担うことになる。
試験の内容は実にシンプル。俺自身が集合者全員にコスモサイコキネシス・インフィニティを用いて硬い木の枝や丸太を握れるように獣人化し、俺自らが天下無双の薩摩示現流の蜻蛉の構えから降り抜き方をスローモーションで見せた。勿論、後ろの兵士志願者は模範演技が見えないため、最後部の人員が見える大きなスクリーン画面を空中に出現させ映し出して見せた。その後、3マンセルを組ませ、1人がスローモーションでかなりゆっくり振る役割を演じ、もう一人がその軌道が袈裟斬り《ケサギリ》になるように木刀を前に出し、そのラインを振る側が的確にスローモーションで木刀をなぞっているかを3人でチェックする態勢を取った練習を3日間課した。試験は1週間後だったため、残り3日間は各自で練習をし、「ブーン」という音が出せるようになった者は、「天の使徒アラバス公国」軍の兵士や「国防軍兵士」として合格するという基準を設けた。その3日間は、既存の「天の使徒アラバス公国」軍の兵士たちが一人ずつ見て回り具体的にチェックしたり、アドバイスしたり、基本練習に戻したりしていたようである。
さらに、俺は、志願兵になりたがっている者を斬り捨てる発想はなく、「特殊飛行物攻撃部隊」という軍を新設し、無人飛行機やドローンによるランカスター爆弾の投下をする部隊を設けた。したがって、応募してきた9百万の者たちは、必ずどの部隊に属することができるように配慮した。
1週間後の実技試験では、4百万強の魔獣や魔人が「天の使徒アラバス公国」軍の正規兵として採用され、残りの3百万人が「国防軍兵士」として採用。さらに百万人が「特殊飛行物攻撃部隊」に配属されることになった。
俺は、今回の試験に募集した者たち全員にコスモサイコキネシス・インフィニティを変化させたコスモサイコキネシスソードを与えるとともに、それに付随する魔法まで付与することにした。いわば、軍事力強化のための手段だった。
併せて、主に敵の監視や偵察を任務とする「特殊部隊」をも新設し、主に敵の監視や偵察を任務とする部隊まで新設した。敗戦後、1か月が経過していたが、『特殊部隊』からの報告では、キムジョン帝国軍は未だコリル公国とアラバス公国の国土を更地にしている最中であった。
それから2年が経過した。キムジョン帝国軍は、コリル公国とアラバス公国の国土を更地にした後、直径が1km、高さが3百mのコンクリートで堅固に構築した「トーチカ」と呼ばれる陣地をコリル国土とアラバス公国国土に合計で、百個完成させていた。
俺の直属の部下になる蚊の一種である「スパイ地下モグル」中将に電磁波を起こす鉱石を除去するように命じ、地下からの映像や音声が本拠地であるログハウスの会議室に届くように改善させた。また、カメレオンフライの『スパイカメレオンフライ』中将が部下たちに命じて常に陸上と地下の映像を送信してもらった結果、キムジョン・ヘンナカリアゲスミダⅠ世は、キムジョン帝国城の守備を固めるため同じような「トーチカ」を3百個建設し、コリル公国とアラバス公国にあと3百個の大型トーチカを建設する映像と音声が送られてきた。そこで、地球から運んできたAIに試算させたところ、完成まで後2年は要することが判明したため、その間、「特殊飛行物攻撃部隊」の軍事訓練と薩摩示現流の厳しい稽古が続いた。
中将以上を収集した会議において、俺が「あまり過酷な練習をさせ過ぎではないか?」という質疑に対して、俺以外の者たち全員が、親、兄弟、姉妹、親戚や友人を殺された無念は強靭な精神に転化し、ほんのわずかな休息しかとらずに、彼らが自ら稽古を続けている様子が報告された。
俺は、大将と中将たちに、部下たちへは疲労除去魔法、身体強化魔法を自分自身に施しながら練習をするようにアドバイスをする程度であった。
その間、俺やぼっけもんずの10人の大将、20名の中将たちは近代戦争の文献を熟読し、会議において忌憚のない様々な意見をぶつけ合いながら、長期作戦から中期作戦、短期作戦を練り上げていった。
また、「特殊工作部隊」に命じ、地球への転移魔法を用いて地球へ転移させ、侵略戦争を行っている国々から武器の大小を問わず次元収納ストレージによって様々な武器や兵器を回収し、それを物体再現魔法で増産していった。
その半年後、10人の大将たちからの報告で、全隊員が既に天下無双の薩摩示現流はマスターし、全ての魔法を習得しただけでなく、私が奥義として開発した、「レーザービーム斬撃カッター」まで習得したとの報告を受けた。私は会議中に立ち上がり、メンバー全員にこう伝えた。
「機は熟した。今をおいて他はない!何の罪もない多くの人たちの命を奪った怨みを晴らそうではないか!全員、キムジョン帝国へ復讐するぞ!百万倍返しだ!」
「オーッ!オーッ!オーッ!オーッ!オーッ!オーッ!オーッ!オーッ!オーッ!」
「そうやで!いてこましたれ!」




