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第2話 世界樹を登ろう!

「ルカ村以外の村……ですか?」


 僕が言うとアナスタシアさんはこくりと頷く。

 この村以外の村を作るなんて、いったいどういうことなんだろう?


「あなた様の力……自動製作《オートクラフト》のおかげで、この村はいくらでも大きくすることができます。このペースで入殖者が増えても、受け入れることは可能でしょう。しかしそれでも、人が多くなり過ぎると、予期せぬトラブルが起きる可能性が高い。それが起きる前に村を増やし、どのようなトラブルが起きても対処できるようにするべきだと思います」

「なるほど……確かに一理ありますね」

「それにあなた様の目標は死の大地の開拓のはず。拠点が多くなれば、開拓のスピードも上がるはずです。拠点が増え、全てに目を向けることができなくなるのは不安かもしれませんが、いつかはやらなくてはいけないことかと思います」


 アナスタシアさんの意見はもっともだと思った。

 今までは村を大きくすることに精一杯で他に目を向けることはできなかったけど、もっと村を増やしていいかもしれない。


「アドバイスありがとうございます! それじゃあ早速、他にも村を作るために動いてみようと思います!」

「自分で言っておいでなんですが……よろしいのですか? そんなにすぐ決めてしまって」

「はい! 言っていることはもっともでしたし、アナスタシアさんのことは信頼してますから!」


 そう言ってニコッと笑ってみせると、アナスタシアさんは納得したように「……なるほど」と言う。


「あの娘《こ》たちが夢中になるわけです。本当に可愛らしく……尊いお方……」


 アナスタシアさんが僕をじっと見つめてきて鳥肌が立つ。

 ぞわっとしたけど、なんでだろう?


「あなた様。他に村を作るのでしたら、やらなければいけないことがあります。本格的に他の村を作るのは、それを行った後でもよろしいかと」

「やらなきゃいけないこと、ですか?」

「はい。それは……世界樹様を増やす(・・・)ことです」


◇ ◇ ◇


 世界樹。

 神力を持った特別な木であり、その大きさは他の樹木を圧倒し、天高くそびえ立つ。

 元々エルフの里にあった木だけど、その内部まで瘴気に侵されてしまい、新たに種を残してその木は枯れてしまった。

 だけどその種をルカ村に植えて、新しい世界樹は誕生した。

 ルカ村の中央に植えられたニュー世界樹は、今はもう大きく育っていて、僕たちを優しく見守ってくれている。


 僕とアナスタシアさんはその世界樹の側にやって来て、それを見上げる。


「あなた様もご存じと思いますが、世界樹様はその土地の瘴気を浄化するお力をお持ちです。それだけでなく土地に祝福を与え、実りの多い地にすることもできます。新しい村を作るのであれば、まずあなた様の力で瘴気を浄化し、その上で新しい世界樹様をお植えになるのが、もっとも確実な方法かと」

「なるほど……」


 世界樹にはその地の瘴気を払い、豊かにする力がある。

 瘴気に蝕まれた森でエルフの里が存続していたのは、この力によるところが大きいと思う。


 新しい村を作っても、僕がずっとそこにいることはできない。

 だから新しい世界樹が瘴気を抑え込んでくれるなら凄い助かる。さすがの自動製作《オートクラフト》でも、もう一人の僕を作ることはできないはずだからね。


「でも新しい世界樹を作ることなんてできるのですか?」

「昔……母から聞いたことがあります。私たちの里は、元々別のエルフの集落から離れたエルフたちによって作られたと。そのエルフたちは、元いた集落から世界樹様の種を貰い、それを新しく住む土地に植えたらしいのです」

「へえ、そうだったんですか。じゃあ世界樹の生えたところに居住したんじゃなくて、居住した場所に世界樹を植えたんですね」

「はい。昔のことですので確かな情報ではないのですが」


 アナスタシアさんはそう言うけど、そういう話が残っているなら、可能性はゼロじゃない。

 それに世界樹だって特別なだけで樹木の一種だ。子孫を残す方法がある方が自然だ。


 幸運なことに世界樹とは話す(・・)ことができる。

 直接お話を聞いてみよう。


「イルミアさん。少しお話ししてもいいですか?」


 世界樹に向かって、僕はそう声をかける。

 すると数秒して世界樹の幹がズズ、と動き、中に入れる通路が出来あがった。

 どうやら中に入っていいみたいだ。


「それじゃあ行きましょうか。下が少しでこぼこしてるので気をつけて下さいね」

「ええ。ありがとうございます、あなた様」


 僕とアナスタシアさんは転ばないよう手を繋ぎながら、世界樹の中に入っていくのだった。

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