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追放された転生王子、『自動製作《オートクラフト》』スキルで領地を爆速で開拓し最強の村を作ってしまう 〜最強クラフトスキルで始める、楽々領地開拓スローライフ〜  作者: 熊乃げん骨
第十一章 エルフの里の異変

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第8話 トラウマ

「あのクモたちと戦って以来、姉上はずっと塞ぎ込んでいる。何度も話しかけてはみたが、心ここに在らずといった感じなのだ」

「そうだったんですね……。僕でなんとかできるかは分かりませんが、少し話してみます」

「ああ、そうしてくれると助かる。テオドルフの言葉ならば、姉上も違った反応をしてくれるかもしれない」


 エレナさんはそう言うと「頼む」と僕にお願いしてくる。

 普段はツンツンしているエレナさんが、僕にこんなに素直にお願いしてくるなんて珍しい。よっぽどアンナさんが心配なんだろうね。


 その期待に応えられるよう、頑張らないと。

 僕はエレナさんに頷くと、アンナさんの隣の椅子に座る。


「あの、アンナさん……? えっと、体調は大丈夫ですか……?」

「……はい。旦那さまのおかげで、この通り怪我もありません」

「それは良かったです。それで、えと……」

「……」

「その……」

「……」


 気まずい沈黙が場を支配する。

 少し離れたところでこっちを見ているエレナさんが、目で「おい! 大丈夫なのか!?」と訴えてくる。そんなこと僕が一番聞きたい。


 どう切り出したらいいんだろう。

 そう悩んでいると、アンナさんがゆっくり口を開く。


「……クモのモンスターに襲われたのは、初めてではないのです」

「え?」

「ここに来る途中、お話ししましたが、この里は以前巨大なクモの化物に襲われました」

「確か名前はブラックウィドウ……でしたよね。とても強いモンスターだったと聞きました」


 僕の言葉にアンナさんは頷く。

 ブラックウィドウのせいで里は大きな被害を受け、そしてアンナさんたちのお母さんの命も犠牲となってしまった。

 二人にとってブラックウィドウは許せない宿敵なんだと思う。


「私は幼い頃、ブラックウィドウに襲われたことがあるのです。突然の襲撃で逃げ遅れ、私は泣きながら身を隠しました」


 体を震わせながら、アンナさんは言う。

 よっぽどその時の恐怖が頭に刻み込まれてしまっているんだろう。


「お母さまが来てくれたおかげで、私は助かりました。しかしお母さまはその時に私を庇い、大きな怪我を負ってしまいました……その時のことが、私の中に強い『トラウマ』として残ってしまっているのです。」

「そうだったんですね……」


 だからクモが出た時にあんなに動揺していたんだ。

 その時のクモは最終的にお母さんの命まで奪った。アンナさんのトラウマはその時に更に強くなったんだろう。


「あのクモがまだこの里にいるのかもしれないと思うと、たまらなく怖くなるんです……! 私はエルフを導く立場だというのにいつまでも過去に囚われて……みっともないですよね……」


 アンナさんは手を震わせながら、申し訳なさそうに俯く。

 こんな状態のアンナさん、見ていられない。僕は放っておけなくて、衝動的に彼女の手をぎゅっと握って、その顔を覗き込みながら言う。


「アンナさんはみっともなくなんかありません! いつも仲間を優しく導いているアンナさんはとっても立派で、僕はずっと尊敬してました!」

「旦那さま……」

「誰にだって苦手なものがあって当然です! それを恥じる必要はありません。それに安心してくださいアンナさん、あんなクモ、僕がどうにかしますから!」


 そう言い切って、僕は「あ」と心の中で反省する。

 あのクモの発生源すら分からないのに、どうにかするなんて言い切っちゃってよかったのかな? ちょっと無責任だったかなと心配になっていると、アンナさんの目から一筋の涙が流れ落ちるのが目に入る。


「旦那さま……あなたが私たちの英雄で、本当によかった」


 アンナさんは涙を流しながら、優しい笑みを浮かべる。

 手の震えはもう止まっている。どうやら彼女の力になることができたみたいだ。


 アンナさんが立ち直れたのはよかったけど……ここからどうしよう?

 あのクモはブラックウィドウと関係ありそうだけど、逆に言えばそれ以外はなにも分かっていない。どうやって調べればいいんだろう? と思っているとエレナさんが近づいてくる。


「よく言ったテオドルフ、さすが私が認めた男なだけはある。クモの調査と討伐、当然ながら私も手を貸す。姉上、ご安心ください。私とテオドルフで憎きクモどもを根絶してやります」

「エレナ、あなたまで……」

「ふふ、姉上にはいつも助けられていますからね。当然のことです。それにクモは私にとっても仇。この里に居座っているのなら、倒さなければいけません」

「……強くなりましたね、エレナ。あなたのような頼りになる妹を持てて、私は幸せです」


 アンナさんはそう言うと、エレナさんの頭をなでなでする。

 エレナさんは「あ、姉上!? おおげさです!」と言っていたけど、その顔は嬉しそうだった。


「ありがとうございます、二人とも。おかげで決心がつきました。どこまでお役に立てるか分かりませんが……私も戦います。どうか力を貸してください」


 アンナさんの言葉を受けた僕とエレナさんはお互いを見ながら頷き、そしてアンナさんの方に向き直る。


「はい! みんなであのクモを倒しましょう!」

「ご安心ください。姉上の身は必ず私が守りましょう」


 こうして僕たちは里に巣くうクモと戦うことになったのだった。

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