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追放された転生王子、『自動製作《オートクラフト》』スキルで領地を爆速で開拓し最強の村を作ってしまう 〜最強クラフトスキルで始める、楽々領地開拓スローライフ〜  作者: 熊乃げん骨
第十一章 エルフの里の異変

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第4話 姉妹の母

 村を出てから少しして。

 辺りが森に包まれ出してきて、道が少しデコボコするようになってきた。


 普通の馬車だと凄い揺れる道なんだろうけど、特製サスペンションのおかげで揺れは最小限に抑えられている。

 これならエルフの里に着くまで快適に過ごせそうだね。


「……?」


 ふと隣のアンナさんを見ると、彼女は馬車の窓から外を見て、物憂げな表情をしていた。

 普段ずっとニコニコとしているからこんな表情をしているのは珍しい。僕は気になってしまう。


「どうしたんですか、アンナさん?」

「……あぁ、すみません旦那さま。少しぼーっとしてました」

「別に僕は全然いいんですけど……なにか気になることでもあるんですか?」


 そう尋ねると、アンナさんは僕の問いに答えるか悩むような素振りを見せる。

 少し悩んだアンナさんだったけど、やがてその心の内を僕に話してくれる。


「森を見ていたら……母のことを思い出したんです」

「お母さんを?」


 アンナさんはこくりと頷く。

 そういえば二人のお母さんのことは聞いたことがなかった。

 エルフは長寿の種族だ。二人ともまだエルフの中ではとても若いから、お母さんは元気なら生きているはずだ。それなのに一緒にいないということは、なにかあったという可能性が高い。

 僕は急かさず、アンナさんの言葉をじっと待つ。


「私たちの母、アナスタシア・レガルノウスは先代の『聖樹の巫女』でした。美しく、聡明で、そしてとても強い(・・)人でした」

「へえ、そんな凄い人だったんですね」

「はい。私以上の魔法の腕と、エレナ以上の剣の腕を持っていました」

「え!? そんなに!?」


 僕が驚くとアンナさんは嬉しそうに「ふふ」と笑う。

 その言葉がどれだけ本当なのかは分からないけど、二人のお母さんが凄い人だったって言うのは分かった。

 こんなに綺麗な二人のお母さんだったんだから、綺麗な人だったっていうのも本当なんだろうなあ。一度会ってみたかった。


「強く優しいお母さまのことが、私たち姉妹は大好きでした。お母さまからは大事なことをたくさん教わりました」


 アンナさんは昔を懐かしむように語る。

 逆隣に座るエレナさんも頷きながらその言葉を聞いている。二人ともお母さんのことが大好きだったんだね。


「……しかしお母さまとの時間は、長くは続きませんでした。今から八十年ほど前の話です、エルフの里は強力な瘴気の化物に襲われたのです」

「え? あのトレントとは別の、ですか?」


 僕の質問にアンナさんは「はい」と答える。

 僕たちは前に世界樹に巣食う恐ろしい樹木のモンスター『エルダートレント』を倒した。

 だけどあいつとは別のモンスターが里に来ていたんだ。知らなかった……。


「名は『ブラックウィドウ』。黒く巨大な体を持つ、恐ろしい蜘蛛です。ブラックウィドウの硬い体はエルフの矢を弾くほどで、我々は打つ手がなく滅ぶのを待つだけとなりました」

「ブラックウィドウ……そんな強力なモンスターがいたんですね」


 エルフの戦士はみんな勇敢で、とっても強い。

 そんな彼らがすべがないままやられちゃうなんて……それほどブラックウィドウは恐ろしいモンスターだったんだ。


「そこで立ち上がったのがお母さまでした。里一番の魔法の使い手であったお母さまは、自らの身を犠牲にエルフの秘技を発動し、ブラックウィドウを地底深くに『封印』いたしました。そのおかげで里は救われましたが……お母さまはブラックウィドウと共に消え、帰っては来ませんでした」

「そうだったんですね……」


 悲しそうに目を伏せるアンナさん。

 エレナさんと他のエルフの戦士もつらそうな表情をしている。それほどこの事件はエルフのみんなの心の傷になっているんだ。


 馬車内を満たす暗い空気。

 僕はその空気を消すために、努めて明るく話す。


「それじゃあ僕たちももっと頑張らなくちゃですね! 二人のお母さんの頑張りを無駄にはできませんから!」

「……ええ、そうですね。お母さまの守り抜いたものを、次の世代に継ぎませんとね」


 優しく微笑むアンナさんを見て、僕は少しどきっとしてしまう。

 ふとした時に見せる表情が綺麗過ぎてまだ慣れないや。


「……と、着いたようですね。それでは参りましょうか」

「はい。行きましょう!」


 馬車が止まり、僕たちは降りる。

 二人のお母さんのためにも、頑張るぞ!

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