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第5話:初めての薬草採取。ただの健康ウォーキングのつもりなんだが周囲のレベルがバグり散らかしている件

第5話をお読みいただきありがとうございます!

無事にFランク冒険者となった歩くん、ついに初めての依頼「薬草採取」へと向かいます。

歩数ショップで手に入れた最強の「散歩グッズ」を身にまとい、のんびりハイキングスタートです!

今回もストレスフリーでお楽しみください!

街の外へ一歩踏み出すと、そこは見渡す限りの広大な平原だった。

地球のコンクリートのジャングルとは違い、どこまでも続く緑の絨毯と澄み切った青空。ウォーキング環境としては控えめに言っても最高である。


「よし、まずは装備の確認だな」


俺は立ち止まり、先ほどショップで購入したアイテムを身につけた。


【高級ウォーキングシューズ:必要ポイント 100 pt】

(効果:筋肉疲労を完全にゼロにする。どれだけ歩いても靴擦れが起きない。移動速度+75%)


【渇きを癒す無限の水筒:必要ポイント 50 pt】

(効果:中に入れた液体が無限に湧き出る。常に飲み頃の冷たさをキープ)


前世のポイ活民時代にこれがあったら、間違いなく全財産を叩いてでも買っていた逸品だ。それがたったの計1歩分のポイントでも手に入るのだから、この世界の運営は本当に太っ腹すぎる。


キュッと靴紐を締め直し、水筒を肩にかける。服装は前世から着ていたお気に入りのジャージのままだが、足元だけは完全にプロ仕様だ。


「よし、目標は『迷いの森』周辺での薬草採取。安全第一でのんびり行こう」


サク、サク、サク、サク……。


さっそく歩き始める。高級シューズの効果は絶大で、地面を蹴るたびに身体が勝手に前に進むような感覚だ。しかも、1歩歩くたびにいつもの快適なシステム音が脳内に響き渡る。


ピコン、ピコン、ピコン、ピコンッ!

『1歩をカウントしました。1ポイント獲得』

『レベルが上がりました。Lv268 → Lv275』

『スキル【俊足】が【神速】に進化しました』

『レベルが上がりました。Lv275 → Lv290』


「おいおい、ちょっと歩くだけで『神速』とかいう物騒なスキルになっちゃったよ」


まあ、逃げ足が速くなる分には困らない。俺の目的はあくまで「のんびり異世界観光」なのだから、戦わずに逃げ切れるスキルは大歓迎だ。


平原を進むにつれて、周囲の景色がだんだんと木々の生い茂る森へと変わっていく。ここが目的地周辺の「迷いの森」らしい。


「ええっと、依頼のグリーンハーブは……あ、普通にその辺に生えてるな」


木陰や道の脇を見ると、お目当ての薬草が雑草のように群生していた。

俺はしゃがみ込み、鼻歌交じりで薬草を摘んでいく。


ピコン。

『危険察知スキルが作動しました。後方より生物の接近を感知』


「ん? 誰か来るのか?」


振り返ると、森の奥からドスドスと重い足音が聞こえてきた。

現れたのは、全身が緑色の皮膚に包まれた小汚い人型の魔獣――ゴブリンだ。しかも、手には錆びた斧を持っており、明確にこちらを獲物としてロックオンしている。数にして3匹。


「ギギャギャッ!」


ゴブリンたちは俺のジャージ姿を見て「御し易い獲物」だと判断したのか、下品な声を上げて一斉に飛びかかってきた。


「うわっ、本当にゴブリンだ。ええっと、ステータスは……」


俺は念じてゴブリンたちの情報を視界に表示させる。


『ゴブリン A:レベル 5』

『ゴブリン B:レベル 6』

『ゴブリン C:レベル 5』


そして、自分の現在のステータスを見る。


『現在のあなたのレベル:412』


「……うん、戦うまでもねえな」


レベル5の相手にレベル412。もはや次元が違いすぎて、逆にどう加減していいかわからない。

俺は襲いかかってくるゴブリンたちを無視し、ただ「次の薬草」を見つけるために、いつものフォームで一歩、前へと踏み出した。


サッ。


その瞬間、新スキル【神速】と【豪脚】が勝手に発動した。

俺の踏み出した一歩は、文字通り「音置き去り」にする速度となり、周囲の空気を爆発的に圧縮した。


ドォンッ!!!


「ギギャッ!?」

「ブフォッ!?」


ただの歩行によって生み出された凄まじい衝撃波が周囲に炸裂する。

飛びかかってきていたゴブリンたちは、俺の身体に触れることすらできず、弾丸のような速度で遥か後方の巨木へと吹き飛んでいき、そのまま木にめり込んで白目を剥いた。


ピコン。

『経験値を獲得しました。……が、効率が悪すぎるため破棄されます』


「やっぱり破棄されるんかい」


敵を倒すより、こうして薬草を探して一歩二歩と歩いている方が遥かに経験値の入りが良い。この世界、本当に格闘ゲームのセオリーが通用しないな。


「よし、これで依頼分の薬草は集まったな。あとはノルマの3百万歩を目指して、もうちょっと奥まで散歩してみるか」


俺は無限の水筒から冷たい水を一口すすると、何事もなかったかのように森の奥へと進んでいった。

その森のさらに奥深くで、他国のエリート騎士たちが絶望的な死闘を繰り広げているとは、夢にも思わずに。


(現在の歩数:8,500歩 / レベル:485)

第5話をお読みいただきありがとうございました!


初めての薬草採取に向かった歩くんですが、ただ一歩踏み出しただけでゴブリンが音速で吹き飛んでいきました。レベルも気づけば400オーバー。歩数ショップの靴と水筒も大活躍です(笑)。

そしてラスト、何やら森の奥で不穏な空気が漂っています。次話、ついにあの「有名パーティ」と遭遇することに……!?

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