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第4話:希望通りFランクになったはずが、ギルドカードの裏面がバグり散らかしている件

第4話をお読みいただきありがとうございます!

元Sランクのガルフをラジオ体操ステップで完封した歩くん。

今回は無事に(?)冒険者カードが発行されます。

なろう定番の「ステータス隠蔽」ですが、果たして……?

今回もよろしくお願いします!

「――というわけでな、ミリア。この歩殿は即座に最高ランク……いや、特例でA+ランク冒険者として登録する! 異論は認めん!」


訓練場からギルドの受付へと戻るなり、ギルドマスターのガルフさんは大声でそう宣言した。

さっきまで俺のステップに翻弄されてゼーハー言っていたくせに、今は妙に誇らしげな顔をしている。頼むから巻き込まないでほしい。


「ええっ!? い、いきなりA+ランクですか!?」


カウンターの向こうでミリアさんが素っ頓狂な声を上げる。

酒場の冒険者たちも「マジかよ……」「歴史が動いたぞ……」とガタガタ震えていた。


「待ってくださいガルフさん。俺、さっきも言いましたけど、のんびり観光がしたいだけの一般人なんです。そんな高ランクになったら、国境防衛とか竜の討伐とか、ヤバい依頼を強制受託させられるんですよね? 」


「うぐっ……ま、まあ、緊急招集の義務は発生するが……」


「絶対に嫌です。俺のウォーキングのペースが乱れます」


俺が断固拒否の姿勢を示すと、ガルフさんは「ううむ……」と頭を抱えた。

ガルフさんの脳内では、俺が『過去に深い訳あって力を隠したい高潔な隠者』か何かに変換されているに違いない。ただのポイ活民なのに。


「……わかった。あんたがそこまで言うなら、表向きのランクは最低の『Fランク』として登録しよう。だが、ギルド側としてはあんたを最重要人物として扱うからな」


「ええ、それでお願いします」


交渉成立だ。これで俺は、大手を振って「薬草採取」「ポイ活」という名の楽しいハイキングに出かけられる。


ミリアさんはまだ納得いかないような顔をしていたが、ガルフさんの指示に従って手際よく魔力を込めた鉄製のカードを作成し、俺に手渡してくれた。


「……はい、お待たせいたしました。こちらが歩さんの冒険者ギルドカードになります」


手渡されたのは、鈍い銀色に光る手のひらサイズの金属プレートだった。

表面には俺の名前と、希望通りの文字が刻まれている。


【氏名:アユム・サトウ】

【所属ギルド:スターティア支部】

【冒険者ランク:F】


「よしよし、完璧だ。これで俺も晴れて一般冒険者――」


「あの、歩さん……カードの裏面を見ていただけますか?」


ミリアさんが引きつった顔で指を差した。

裏面? なろう小説だと、裏面には隠された真のステータスが表示されるシステムだったりするが、俺はショップで買った『国家最高魔術師でも見破れない偽装指輪』をつけている。レベル10の一般人に偽装しているはずだ。


不審に思いながら、カードをひっくり返す。


【真のステータス(偽装指輪による遮断中)】

【レベル:263】

【HP:99999 / MP:99999】

【スキル:歩数ポイ活、危険察知、豪脚、身体強化(極)、残像……】

【エラー:数値が測定上限を超えています。システムを再起動してください】


「ぶっ!!!!」


俺は思わず変な声を上げた。

偽装指輪は確かに機能している。機能しているのだが、俺のステータスが狂いすぎていて、ギルドの管理システム側が「遮断されていること」自体を検知し、バグを起こして裏面に全情報を強制出力してしまっていた。


文字がバチバチと火花を散らすように点滅し、カードの裏面が怪しく発光している。


「……ガ、ガルフさん。この表記って……」


ミリアさんが恐る恐るカードを覗き込もうとする。


「あーーーッ!!! なんでもないです! ちょっと裏面のメッキが剥がれてるだけです!!!」


俺はマッハの速度でカードをポケットに突っ込んだ。

危ねえ。もう少しで見られるところだった。国家最高魔術師は見破れなくても、ギルドの機械がポンコツ(バグ)なら意味がないじゃないか。不良品としてショップに返品したいくらいだ。


「ふむ? まあ、あんたほどの逸般人だ、カードの1枚や2枚バグらせても驚かんよ」


ガルフさんは腕を組み、豪快に笑った。完全に納得している。この人、脳筋で助かった。


「よし、登録も済んだことだし、さっそく依頼を受けに行くか」


俺はギルドの騒がしさから逃げるように、掲示板へと向かった。

並んでいる依頼書の中から、一番簡単で、歩数が稼げそうな案件をチョイスする。


『依頼:薬草の採取』

『報酬:大銅貨5枚』

『場所:スターティア西の平原~迷いの森周辺』


「よし、これにしよう。西の平原なら直線距離も長いし、いいウォーキングコースになりそうだ」


俺は依頼書を受付に提出し、手続きを済ませると、足早にギルドを飛び出した。


一歩、外へ足を踏み出す。


サクッ。

ピコン!

『1歩をカウントしました。1ポイント獲得』

『レベルが上がりました。Lv263 → Lv264』


「よーし、今日も元気に3百万歩、いっちょ歩きますか!」


俺はショップを開き、貯まったポイントで『渇きを癒す無限の水筒』と『筋肉疲労をゼロにする高級ウォーキングシューズ』を購入して装備した。

ただの薬草採取が、周囲の生態系を脅かす恐怖の「お散歩」になるとは、この時の俺はまだ知る由もなかった。


(現在の歩数:3,150歩 / レベル:268)

無事にFランクカードをゲットしたものの、偽装指輪の上を行くバグっぷりで裏面が完全に崩壊した歩くんです。

そして次回、ついに初めての依頼「薬草採取」へ出発します!

ただのハイキングのつもりですが、最強装備(水筒とスニーカー)を引っ提げた歩くんの前に、何やら不穏な影が……?

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