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第二話:ステータス偽装の指輪を買いにショップを開いたらラインナップがヤバすぎるし、ヤバイやつだとバレてしまった件

第2話をお読みいただきありがとうございます!

ただの一歩で狼を吹き飛ばしたあゆむくん。

今回は無事に街へ入れるのか……?

ぜひ最後までお楽しみください!

サク、サク、サク……。


「うーん、体が軽すぎて笑えてくるな」


あれから俺は、中世ヨーロッパ風の巨大な城壁を目指して歩き続けていた。

道中、何度か肉食獣っぽい魔獣が草むらから飛び出してきたが、俺がそっちの方へ足を一歩踏み出すたびに、巻き起こる突風(ただの歩行の風圧)で勝手に吹き飛んでいった。


『Lv160 → Lv210に上がりました』

『スキル【俊足】を獲得しました』

『スキル【隠蔽】を獲得しました』


街が近づくにつれて、脳内のファンタジーEDM(レベルアップ音)がさらに激しさを増していく。気づけばレベルは200を超えていた。


「いや待てよ。このまま街に入ったら絶対にヤバいだろ」


いくら異世界知識が浅い俺でもわかる。普通の人間がこんな短時間でレベル200を超えるはずがない。門番にステータスをチェックされた瞬間、国家レベルで拘束されるか、魔王の生まれ変わりだと疑われて即討伐対象だ。


「そういえば、スキルに『ショップ機能』ってあったな」


俺は歩みを止めず、歩きながら脳内で「ショップ機能」と念じた。

すると、視界にどっかのネット通販サイトの画面をさらに近未来的にしたような、青いウィンドウが広がった。


【歩数ポイントショップ】

【現在の所持ポイント:2,415 pt】


「は、どんだけポイントが貯まってるんだよ。……まあラインナップはどんな感じだ?」


画面をスクロールした俺は、思わず二度見した。


『銅の剣』…… 10 pt


『回復ポーション』…… 5 pt


『異世界言語の完全理解』…… 50 pt


『ステータス偽装の指輪(国家最高魔術師でも見破れない極上品)』…… 100 pt


『聖剣エクスカリバー(レプリカ・本物より強い)』…… 500 pt


『不老不死のエリクサー』…… 1,000 pt


「物価安すぎだろ!!!」


毎日3百万歩あるいていた俺にとって、1日分の歩数(3百万歩=3百万ポイント)があれば、このショップの最高級品が余裕で買い占められる計算になる。前世の日本のポイ活なんて、数万歩あるいて数円分のポイントだったというのに、この世界のポイ活は優良案件どころの騒ぎではない。


俺は迷わず『ステータス偽装の指輪』と、念のため『異世界言語の完全理解』をポチった。


ピコン。


『購入が完了しました。アイテムボックスに保管されます』


脳内で購入音が響くと同時に、俺の右手の指に、地味な銀の指輪がはめられていた。

ついでに、頭がすっと冴えて、周囲の看板の文字(さっきまで読めなかった)がスラスラと読めるようになる。


「よし、ステータス表示を……『レベル10の駆け出し冒険者』に偽装っと」


指輪に魔力を込める感覚で念じると、俺の頭上のステータス表記が書き換わった。これで準備万端だ。


「おい、お前。見ない顔だな。身分証か、それがなければ通行料として大銅貨5枚だ」


街の巨大な門に辿り着くと、鎧を着た門番の男に鋭い視線で呼び止められた。

俺はショップで小銭(大銅貨)を数ポイントで交換して用意していたので、それを手渡す。


「すいません、旅の者です。身分証はないので、これでお願いします」


「ん……確かに。よし、通っていいぞ。ようこそ、冒険の街『スターティア』へ。お前みたいな若者は、まずはあそこに見える『冒険者ギルド』に行くのがおすすめだ」


門番は愛想よく笑い、街の奥にある大きな建物を指差した。

拍子抜けするほど簡単に通れた。偽装指輪サマサマである。


街の中は、出店が立ち並び、獣人やエルフといった種族が行き交う、まさに思い描いた通りの異世界だった。本来なら大興奮するところだが、俺の意識は別のところにあった。


(……あ、あそこの大通り、直線でめちゃくちゃウォーキングしやすそうだな)


前世の悲しき習性で、綺麗に舗装された道を見ると「歩数が稼げそう」とワクワクしてしまう。

俺は誘惑に負けじと、まずは門番に教えられた冒険者ギルドへと向かった。


ガラガラ、と重い木製の扉を開けて中に入る。

中は酒場と受付が一体になったような空間で、屈強な男たちが昼間から酒を飲んでいた。新入りの俺が入ってきたことで、一瞬だけ視線が集まるが、すぐに興味を失ったように逸らされる。


「よし、お約束の受付嬢のところに行くか」


俺は一番奥にある、綺麗な金髪のお姉さんがいる受付へと歩み寄った。


「こんにちは。冒険者登録をしたいのですが」


「はい、冒険者ギルドへようこそ! 登録ですね。では、こちらの魔力水晶に手を乗せていただけますか? あなたの現在のステータスを測定し、登録カードを作成します」


受付嬢――ミリアと書かれた名札をつけた彼女は、プロらしい完璧な営業スマイルで、机の上に透明な水晶玉を置いた。


(よし、指輪の偽装はバッチリ効いてるはずだ。レベル10の一般人として、ひっそりと登録させてもらうぜ……!)


俺は緊張を隠しながら、水晶玉の上にそっと右手を乗せた。


その瞬間。


ピキ……ピキピキピキッ……!!!


「え?」


ミリアの笑顔が凍りついた。

水晶玉の内部から、見たこともないような禍々しい黄金の光が溢れ出し、部屋全体を昼間のように照らし出す。


「ちょっと、何これ!? 光が強すぎ――」


パリンッ!!! ドンッ!!!


凄まじい爆発音と共に、魔力水晶が粉々に砕け散り、ギルドの受付カウンターが衝撃波で真っ二つに叩き割れた。

酒場にいた冒険者たちが、全員椅子から転げ落ちて俺を凝視している。


「あ……」


俺は砕けた水晶の破片を見つめながら、冷や汗を流した。

どうやら、国家最高魔術師でも見破れない指輪の偽装ですら、俺の「歩くだけで蓄積され続ける規格外のエネルギー」を抑えきれず、測定器の方が先に限界を迎えて物理的に爆発してしまったらしい。


静まり返るギルドの中で、俺は引きつった笑みを浮かべながら、頭を掻いた。


「あの……すいません。俺、また何かやっちゃいました?」


(現在の歩数:2,103歩 / レベル:245)

第2話をお読みいただきありがとうございました!

国家最高クラスの偽装指輪すらブチ破るポイ活パワー、恐るべし……!

次回、爆発騒ぎを起こした歩くんに、ギルドマスター直々の「あるテスト」が課されることに!?

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