表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】聖女は3歳児でした  〜聖女誕生からレイナ成長記録〜  作者: ぶっくん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/49

第48話 聖女レイナ18歳編 笑顔の種と新たな夜明け

東の村では、確かに薄暗い霧が田畑を覆い、人々は無気力にうずくまっていた。


15年間、レイナの力によって王国の瘴気は大幅に減っていたが、まだ完全には消えていなかった。


村人たちはレイナの到着に希望を取り戻した。彼女は村の広場の中心に立ち、目を閉じた。


18歳のレイナは、もはや幼い手をばたつかせる必要はなかった。

彼女はそっと地面に手を触れ、ささやくように言った。


「もう大丈夫。ここは暖かい場所だから」


彼女の手から金色の光が波紋のように広がり、霧を優しく包み込んだ。

黒い瘴気は光に溶け、代わりに清らかな風が吹き抜けた。


村人たちの顔に生気が戻り、枯れかけた作物も色を取り戻した。


しかし、レイナはそこで終わらなかった。

彼女は村の子供たちを集め、小さな種を配り始めた。


「これを植えて、毎日笑いながら水をあげてね。そうすれば、もう黒い霧は来ないから」


子供たちは嬉しそうに種を受け取った。

レイナの力は浄化だけでなく、人々の心に希望を植え付けることにも長けていた。


レイナの成人式典の数週間後、アルドリック三世は重大な決断を下した。


長い治世を振り返り、彼は王座を若い世代に譲るべき時だと悟った。


夜、王はエドワルド王太子を呼び、静かに語った。

「エドワルド、そなたは王国を導く準備ができている。レイナの成長を見て、私は確信した。未来は彼女のような純粋な心と、そなたのような賢明な統治が必要だ」


エドワルドは驚きながらも、父の言葉を深く受け止めた。


「父上、私はまだ経験が浅いかもしれません」


「経験は積むものだ。レイナが教えてくれるだろう、笑顔と希望が王国を支えることを」


翌朝、アルドリック三世は廷臣たちを前に退位を宣言した。


「私は85年の生涯を王国に捧げた。今、新たな時代の幕開けを感じる。レイナの成人は、変化の象徴だ。私は王座をエドワルドに譲り、彼の治世を祝福する」


広間は静寂に包まれたが、レイナの拍手がそれを破った。


「おじいちゃん王様、これでゆっくり雲の形を研究できるね!」

彼女の言葉に、王は笑みを浮かべた。


「そうだな、レイナ。そなたの綿あめ雲を見る時間が増えるだろう」


エドワルドの戴冠式は、レイナの提案で「笑顔の祭典」として行われた。


通常の厳格な儀式ではなく、王国中の子どもたちが花を撒き、音楽と笑い声が響く中で、新王が冠を受けた。

レイナは特別な贈り物を準備していた。


「陛下、これからは一緒に王国を明るくするんだよ!」


彼女は小さな箱を渡した。

中には「笑顔の種」と、レイナが育てた特別な花の苗木が入っていた。


「これを城の中庭に植えて、毎日笑って話しかけると、王様の決断がいつも正しい方向に導かれるんだ」


エドワルドは真剣に受け取り、「レイナ、あなたの助けが必要だ。私は政治を知っているが、人々の心を照らす術はあなたが最もよく知っている」


「もちろん!でもまず、王様の冠を一時的に虹色に変える練習をさせてね!」

レイナの悪戯っぽい笑顔に、新王も大臣たちも笑い出した。


その日の夜、レイナはエドワルドの王の書斎を訪れた。


「陛下、あの黒い霧、根本からなくしたい」


王は書類から顔を上げ、深い眼差しで彼女を見つめた。


「レイナ、そなたはすでに多くのことを成し遂げた」


「でも、まだ終わってない。だって、私が大きくなっても、霧が戻ってくるなら、意味がないよ」


彼女の言葉に、王は深く頷いた。


「では、どうするつもりだ?」


レイナは窓辺に歩み寄り、夜空の星を見上げた。


「昔、私が『嘆きの谷』でやったように、もっと大きくやってみたい。王国中のみんなの笑顔で、闇を照らしたいの」


その言葉を聞き、王はある決断をした。


「いいだろう。だが、レイナ一人で背負う必要はない。王国全体で取り組んでいこう」


翌日から、レイナは新たな「計画」を始動させた。


彼女は各地を巡り、人々に「笑顔の種」を配り、黒い霧が出やすい場所には、村人たちと一緒に花壇を作った。


彼女の魔法は、人々の協力によって何倍にも増幅された。

村人たちが笑顔で水をやり、子どもたちが歌いながら種を植える。

その一つ一つの小さな喜びが、レイナの力を強め、瘴気を退けていった。


15年の歳月は、レイナを幼い聖女から、王国の心の支柱へと成長させた。


彼女の力の源は、相変わらず純粋な喜びと無条件の愛だったが、今ではそれを分かち合い、増幅する術も知っていた。


15年の歳月は、レイナを幼い聖女から、王国の心の支柱へと成長させた。


そして王国中に広がる「笑顔の種」は、ゆっくりと、しかし確実に、黒い霧が二度と戻ってこない世界を作り始めていた。


すべては、18歳の聖女が「堅苦しい式典より花びらの方が楽しい」と言った、あの日から始まったのだ。


彼女の笑顔が、王国全体を照らし続ける。


そして、その笑顔が、いつか世界全体を照らす日が来るかもしれない。

そんな希望が、人々の心にしっかりと根を下ろしていた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ