第30話 聖女レイナ10歳編 レイナ流退屈との戦い
こうして、10歳の聖女は再び王国を救う任務に就くことになった。
ただし、彼女なりの方法で。
最初の作戦は「退屈の霧」が最初に現れた西の森での実施となった。
レイナは護衛の騎士たちを連れて行ったが、彼女の指示はいつも通り型破りだった。
「みんな、楽器を持ってきて!」
「楽器でございますか?」
騎士団長が困惑した。
「うん!笛でも太鼓でも、鳴るものならなんでも!あ、それと、カラフルなリボンもたくさん!」
次の日、森の入り口では奇妙な光景が繰り広げられた。
鎧を着た騎士たちが、不器用ながらも笛を吹き、太鼓を叩き、木々に鮮やかなリボンを結び付けていた。
レイナは彼らの間を駆け回り、「もっと大きな音で!」「そのリボン、もっと高いところに!」と指示を飛ばした。
やがて、灰色の霧がゆらめきながら近づいてきた。
騎士たちは緊張したが、レイナは笑顔で手を叩いた。
「さあ、みんなで歌おう!レイナが教えるね!」
彼女が歌い始めたのは、王国で子供たちに親しまれている無邪気な歌だった。
「おててつないで、輪になって~」
最初は恥ずかしがっていた騎士たちも、次第に声を合わせ始めた。
すると、驚くべきことが起こった。
霧が歌のリズムに合わせてゆらめき、色が灰色から薄いピンク、そして青へと変化していったのだ。霧は次第に薄くなり、最終的には消えていった。
「ほらね!」レイナは得意げに言った。
「退屈なんて、楽しいことがあれば逃げちゃうんだよ!」
騎士団長は呆然としながらも、思わず笑みを浮かべた。
「まったく……これが聖女様の『退屈退治』か」
王国の危機は、10歳の聖女の「遊び心」によって、次々と解決されていった。




