第23話 聖女レイナ8歳編 踊りの小麦
ある日、王国の北の村から報告が届いた。
農作物が突然紫色に変色し、甘すぎる実をつけるという奇妙な現象が起きていた。
賢者たちは「変種の瘴気」かもしれないと危惧した。
調査団が派遣され、レイナも「探検がしたい!」と言って同行した。
村に着くと、畑には確かに紫色の小麦が風に揺れ、甘い香りを漂わせていた。
村長は困惑しながら説明した。
「この小麦でパンを作ると、食べると皆が踊り出してしまい、仕事ができません!」
賢者たちが議論している間、レイナは紫色の小麦をじっと見つめ、小さな手で穂を触った。
「わあ、きれいな色! でも、踊りすぎたら疲れるよね。」
彼女は考え込むように眉をひそめ、突然ひらめいた。
「じゃあ、踊りたい時だけ踊れるようにすればいいんだ!」
レイナは両手を小麦畑に向け、小さな声で歌った。
「むらさきさん、おどるのは、ときどきね。おしごとも、ちゃんとね!」
彼女の手から金色の光が小麦畑に広がり、紫色は少し薄くなり、普通の金色と紫色が混ざったような、夕焼けのような美しい色になった。
次の日、この小麦で作ったパンを食べた村人は、週に一度、自然に楽しく踊る気分になるが、それ以外の日は普通に仕事ができるようになった。
村は「踊りの小麦」を名産品として売り出し、観光客が増えるという予想外の経済効果をもたらした。
パンだけでなく、「踊りの小麦」を使ったお菓子も開発され、宣伝文句は「週に一度の、健康的な楽しみ!」
予想外の経済効果がもたらされた。
観光客が「踊りの小麦」パンを食べて、村の広場で楽しく踊る姿を見るために訪れるようになった。
レイナは村からの感謝の贈り物として、「踊りの小麦」で作られた大きなドーナツを受け取り、にっこり笑った。
今では王国中で、「踊りの小麦」はストレス解消と適度な運動を促進する「魔法の健康食品」として知られている。
もちろん、食べ過ぎると日曜日以外にも踊り出すので、注意書きがしっかり付いているのは言うまでもない。




