第18話 聖女レイナ7歳編 大きな解決策
レイナの7歳のある日、王国の東の国境で小さな問題が発生した。
川の流れが変わったことで、2つの村の間で水の取り合いが起きていた。
これまでは騎士団や役人が解決にあたっていたが、今回は王が新しい試みを提案した。
「レイナよ、そなたにこの問題を解決してもらえないだろうか?」
「レイナが? でも、お水の問題、むずかしそう……」
王は優しく微笑んだ。
「そなたのやり方でいいのだ。そなたがこれまで見せてくれたように。単純で、純粋で、そして驚くほど効果的な方法で」
レイナは数日間考えた。
そしてある晴れた日、彼女は両方の村の代表者を呼び集めるように頼んだ。
集まった大人たちは少し緊張していた。
これまでにも何度か話し合いが持たれたが、平行線をたどるばかりだった。
レイナは村人たちの前に立ち、小さく深呼吸をした。
「みなさん、けんか、やめようね」
代表者の一人が口を開いた。
「レイナ様、それはわかっておりますが、我が村の畑には水が」
「じゃあ、こうしよう!」
レイナは目を輝かせた。
「お水をわけるんじゃなくて、お水をふやすお手伝い、レイナがする!」
その翌日、レイナは川辺に立った。
彼女は両手を地面にそっと触れ、目を閉じた。
「おみずさん、もっともっと、やさしくなあれ。みんなのはたけに、いっぱいあそびにきてね」
地面から微かな震動が伝わり、そして川の流れそのものが変わったわけではなかったが、その流域から新しい小さな湧き水がいくつも生まれ始めたのだ。
十分な水量を両方の村に供給できるだけの。
村人たちは驚き、そして感謝の言葉を次々と口にした。
レイナは満足そうにうなずいた。
「これで、みんなでなかよく、おみずがつかえるね!」
その夜、王はレイナに尋ねた。
「どうしてそんな方法を思いついたのかね?」
レイナは眠そうな目をこすりながら答えた。
「だって、おもちゃをひとりじめしちゃうの、よくないもん。でも、おもちゃをふやせば、みんなでいっぱいあそべるでしょ?」
王は深く感動した。
大人たちは「分配」や「権利」について議論していたが、レイナは根本から新しい解決策を生み出したのだ。
そして2つの村は、その後も長く、レイナが生み出した湧き水を「恵みの泉」と呼び、毎年春になると、一緒にその周りを掃除し、花を植えるようになった。
争いの種は、分かち合いの花に変わったのだった。




