二つの終わり
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」
光の翼で空を飛んだ勇也は、ライトカリバーの先に張った何重もの光のバリアで、エネルギーが暴発し爆発しそうなダーケルを上空へ向けて押し出し、雲を突き抜けた。
「ううう……っ! 邪魔をするな、小僧ぉぉぉ!!」
ダーケルはバリアを掴んで引き剥がそうとし、バリアに少しづつヒビが入る。
「俺を否定するクズ共をぶちのめすまで……ここで終わる訳には行かねぇ!!」
「……」
ダーケルの怒りの叫びを目の前で聞いた勇也は、しばらく口を閉ざすと心に思った事を口に出す。
「……エレメンターの皆はどうだったんだよ」
「あ”!?」
「エレメンターの皆も否定してたのかよ!?」
「っ!?」
勇也の叫びを聞いたダーケルは目を見開く。
引き剥がそうとした手が止まり、動きも止まった。
その瞬間、ダーケルの頭の中に、かつてライトス達と旅をしていた思い出が流れた。
皆は自分の力を恐れる様子も無く、仲間として共に行動してくれていた。
「俺は最初この世界に来たばかりの頃、不安で一杯だったよ。違う世界から来た俺を受け入れてくれるのか。信用してくれるのかとか不安だったよ! でも……皆受け入れてくれた。流石に皆が最初っから認めてくれたって訳じゃないけど、俺を仲間と思ってくれて……とても嬉しかった! だから……俺を受け入れてくれた皆の為に、俺は頑張れた!」
勇也は仲間達への思いをダーケルに伝えると、ダーケルの表情から怒りが消えていった。
(……そうだ。アイツ等は……あんな事は一言も言った事無かったな……)
ダーケルの表情が和らぎ、全身の力が抜けていく。
しかし、ダーケルから漏れ出ているエネルギーの暴発は止まらない。
かなりの高度まで上がったせいか酸素が薄くなり、勇也は苦しい表情に変わっていった。
(マズい……これ以上上るのは……でも、爆発の威力が予想出来ないって言ってたし、まだ……頑張らないと……)
息苦しさを我慢し、勇也はダーケルを更に上空まで押していった。
エレメントラインの負担と薄まる酸素で気を失いそうになる。
……その時だった。
『後は僕に任せて』
「え……?」
聞き覚えのある声が聞こえて一瞬意識を保つと、勇也の体から光が出てきた。
そして出てきた光は人の形になっていく。
「っ!? ライトスさん!?」
「ライトス……」
勇也の中から出たライトスはダーケルの隣まで飛ぶとダーケルと目を合わせる。
「久しぶりだね、ダーケル」
「全くだな、ライトス」
顔を合わせた二人は頷くと、勇也に向かって手を伸ばした。
すると勇也の体を光と闇のバリアが覆った。
「え!? これは!?」
「ここまで来れば大丈夫だよ。後は僕に任せて」
「女がいるんだろ? だったら悲しませるような事すんじゃねぇ」
ライトスとダーケルはバリアで覆った勇也を地上に向けて吹き飛ばした。
「うあああああああ!?」
地上へ落ちて行く勇也を見届けたライトスとダーケルは、勢いをそのままに上へ飛んで行く。
「まさか最後がお前と一緒とはな」
「あの日……僕等の代は終わったんだ。これで完全に終わりにしよう」
「……そうだなぁ。もう……疲れた」
そして……暴発したダーケルのエネルギーが限界に達し、巨大な爆発が起きた。
爆発の勢いで勇也は更に地上へ向けて吹き飛ばされ、その拍子にライトカリバーを手放してしまいバリアの外に出てしまうと、勇也は地上に叩きつけられた。
バリアのお陰で怪我はしなかったが、爆発の衝撃で魔王の城が崩れて勇也は埋もれてしまった。
――――――――――――――――――――
「そんな事が……」
俺の話を聞いたジーリュはそう呟くと、ダーケルが爆発した場所を見上げた。
(ライトス……お主は本当に良い後継者を見つけた。ライトス、ダーケル。安らかに眠れ……)
「そんで、あそこから落ちたお前はその後どうしたんだ?」
「魔王城の瓦礫に埋もれてどう出ようかと考えてた時に……レインの声が聞こえたんだ」
「私の?」
「ああ。それでライトドラゴンを呼ぼうと必死に頭の中で呼びかけたら本当に来て、脱出出来たんだ」
ライトカリバーが手元に無かったから不安だったけど、来てくれて助かったよ。
「ともかく……これでやっと全部終わったな」
「うむ。では皆、帰るとしよう」
「あ、ちょっと待って」
ジーリュが皆を背に乗せようと屈もうとすると、俺は止めて皆にある頼み事をした。
皆にその頼み事を伝えた後、俺達は島で『ある物』を探していた。
魔王城の瓦礫を持ち上げると、探し物を見つけた。
「あった!」
瓦礫を置いて俺はそれを手に取った。
封印状態になったダークカリバーを。
「おーい。こっちも見つけたぞ!」
声を上げたエンが走って来ると、その手には封印状態の時の剣があった。
「この二つは屋敷の地下に保管しよう。いずれ、復活する闇と時のエレメントの為に」
「ホントに復活すんのか?」
「ワシは信じてる。いつの日か、その二つの力が蘇り、エレメンターが完全に復活するのを」
「うん。じゃあ……帰ろう!」
俺達はジーリュの背中に乗ると、ジーリュは空を飛んで島を後にし、俺達は帰路に就いた。
飛び立った後、隣に座るレインが肩を寄せた。
「良かった……勇也が無事で」
「うん。俺も良かっ……た……」
突然疲労が一気に押し寄せてレインの方に倒れると、レインの胸の上に顔が落ちてしまう。
恥ずかしさよりも疲れと眠気が勝り、俺は目を閉じた。
そんな勇也の頭を、レインは持ち上げて膝の上に乗せた。
「まだ着くまで時間が掛かる。今の内に少しでも休んでおれ」
「ああ。そう……するわぁ……」
最初にエンが横になって眠りに着くと、続けてエレメンター、地球組の皆が眠りについた。
「レイン、貴女は寝なくて良いの?」
ウィアが訊ねると、レインは頷き勇也の顔を見る。
「今はこうしてたいから」
レインは勇也の頭を撫でると、両親であるウィアとグレンに顔を向ける。
「母さん、父さん。こんな時に言う事じゃないかも知れないけど……。私ね、勇也と……」




