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エレメンターズ  作者: 至田真一
エレメンターの決戦
208/208

思いを繋いで

 屋敷の地下室で、封印状態になったダークカリバーと時の(つるぎ)をそれぞれ別の箱に入れると、棚の上に置いた。


「結界魔法も以前より強固なものを掛けておくわ」

「うむ。助かるぞヒレア」


 二度と地下室の物が盗まれないよう、ヒレアは以前よりも強固な結界魔法を地下室の扉に掛けた。

 前に土の人造エレメンターのグラデが地下室の壁の土の中から侵入して時の短剣を奪われた事が遭ったけど、そんな事が出来る奴は滅多にいないからもう二度とない筈。


「二つのエレメントが復活するまで、しっかり守らんとな」

「そうね」


 ジーリュは地下室の扉を眺めながらそう願う。

 ちなみにジーリュは、あの島から王都に戻って来ると、丁度時間切れになって、また小さい姿に戻った。

 ジーリュに乗って王都に戻った俺達は、国王陛下や先王陛下に島で起きた事を全て話した。

 その結果、世間には全てを話すとまた闇のエレメンターの印象が悪くなってしまう恐れがある為、人造エレメンターと、ソイツ等を生み出した悪の科学者をエレメンターが討伐した、という内容で広まった。


「エレメントが復活と言ってもさぁ、俺の場合は特別だとして、本当に復活するのかな?」

「……分からぬ。じゃが、奇跡というものがあるじゃろ? お主みたいに」

「奇跡か……。俺があの時生き延びたのもやっぱ奇跡かな?」

「奇跡かもしれんし……運命かもしれん」

「奇跡か運命……か」


 あの時生き延びられたのはどっちか分からないけど……俺は奇跡って信じたいな。


――――――――――――――――――――


 戦いから数日後。俺達はセアノ王国国王、シュアン王に呼ばれて王城にやって来た。

 呼ばれた理由は、今回の件について称える為だった。


「エレメンターの諸君。此度の活躍、誠に見事であった。父上とも話し合った末、公に出来ない事がある為、パーティーは開けないが、せめてもの礼だ。今宵は存分に楽しんでくれ」

「その気持ちだけで十分じゃ」


 確かに、今回は公に出来ない事が多いから、ジーリュと同じ気持ちだ。


「それにしても、ダーケル殿がまさか生き返るとは……」

「ワシも想定外じゃった。あやつの恨みは想定を超えていた。じゃが……もう大丈夫じゃ」


 安心しきったジーリュの顔を見て、ディノ先王の顔にも笑みが浮かぶ。

 ライトスさんと共に完全に消えたダーケル。

 俺が最後に見たダーケルの顔は、恨みを感じない笑みだった。


――――――――――――――――――――


 豪勢な食事で楽しむ中、俺はちょっと休憩するために城のバルコニーに出て星空を眺めていた。


「あの空の向こうから、ライトスさん達は見てくれてるのかな……」


 俺は思わずそう呟いてしまった。

 ライトスさんにメーシャ。そしてダーケルも、きっと空の向こうで俺達を見てくれてるはずだ。

 そう言えば、クロークとクロースはどうなんだろう?

 あの二人は野心に駆られてあの様な事を起こしてしまった。

 もし時のエレメントが復活したら、もう二度とこうならない事を願いたいな。


「勇也」

「ん? レイン」

「どうかしたの?」

「いや……ちょっと色々と思い返してて」


 俺はもう一度星空を眺めると、レインが隣に立って同じように眺める。


「俺達の力って次の世代にも受け継がないといけないし、悪い事に使わせないようにもしないといけないんだよな。なんか……色んな思いを繋いでいかないといけないんだなぁって思ったんだ」

「……そうね」


 バルコニーの手すりの上に乗せた俺の手の上に、レインが手を乗せる。

 初めてこの世界に来た時よりもプレッシャーを強く感じる。

 けど……不思議と不安が無い。俺には、頼りになる仲間が沢山いるから。

 そう思うと、肩の力が自然と抜けていく。


「そろそろ戻ろっか」

「ああ」


 レインが先に城の中に戻り。続いて俺も城の中に戻ろうとすると、ふと気配を感じ振り向いた。

 振り向くと、ライトスさんとメーシャ。そしてダーケルが空に見えた。


「どうしたの?」

「いや……」


 レインに声を掛けられて顔を向き、もう一度振り向くと、ライトスさん達は見えなかった。

 俺は笑いながら小さく頷くと城の中に戻った。

 ある一つの決心と共に。

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