096 リカの相談
みんなで佐伯の紙を覗き込む。
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【一人当たりの獲得量】
吉岡隊:2,682EXP、約11,000G
霧島隊:1,897EXP、約8,600G
相良隊:1,716EXP、約9,000G
サキ隊:2,709EXP、約10,200G
戸塚隊:1,792EXP、約6,600G
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【ランキング】
01位 吉岡 :Lv.18 1,135/1,460EXP
02位 梶原 :Lv.18 782/1,460EXP
03位 霧島 :Lv.17 1,323/1,370EXP
04位 宮坂 :Lv.17 855/1,370EXP
05位 ユズ :Lv.16 368/1,290EXP
06位 サキ :Lv.15 794/1,210EXP
07位 早川 :Lv.14 420/1,130EXP
08位 スミレ:Lv.13 838/1,060EXP
09位 ナナ :Lv.13 803/1,060EXP
10位 アヤ :Lv.13 729/1,060EXP
11位 ミオ :Lv.12 135/1,000EXP
12位 相良 :Lv.11 701/940EXP
13位 黒瀬 :Lv.11 646/940EXP
14位 三船 :Lv.11 589/940EXP
15位 リカ :Lv.11 585/940EXP
16位 カホ :Lv.11 527/940EXP
17位 戸塚 :Lv.11 77/940EXP
17位 佐伯 :Lv.11 77/940EXP
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「よっしゃあああああああ!!!!!!!! 1位返り咲き!!!! 梶原……短い天下だったな! お疲れさん!」
「梶原抜かれてるじゃん! 短い天下だったな! お疲れさん!」
ユズが俺の言葉を真似して笑う。
「うるせー! レベルはまだ一緒だろ!」
「ていうか、なにげに私たち頑張ってない? これはサキちゃん褒められるやつ?」
サキが自画自賛する。
「経験値は吉岡隊より上っすよ! お金だって大差ないっす!」
早川も嬉しそうだ。
「戸塚隊も奮闘しているわね。経験値だけならウチより稼いでいるわよ」
リカの言葉に、相良が「たしかに」と頷いた。
「戸塚くん、褒められてるよ」
カホが嬉しそうに言うが、戸塚の表情は暗めだった。
厳密には上の空といった感じで、何か考え事をしているようだ。
「相良、メシにしよう! 霧島の話がなげーせいで腹がペコペコだ!」
「話がなげえのはお前だろ。賛成か反対を決める話で詰めきってない作戦を演説しやがって」
「でも、参考にはなったろ? 宮坂の壁の使い方とか、城壁っていう地形条件の利用法とか!」
「それは否定しねえ」
「ようやく素直になったな、霧島! 明日は頑張れよ!」
「うるせえ」
俺たちのやり取りが落ち着くのを見て、相良が「食堂に行こう」とまとめた。
◇
今日の食堂は、いつもより混んでいた。
そのため全員で固まれず、大きく二つのグループに分かれた。
俺のグループは、俺、ミオ、相良、リカ、戸塚、佐伯、スミレ、アヤ、早川の9人。
もう一つのグループは、姿が見えず声も聞こえないほど離れている。
グループ分けは、宮坂と黒瀬以外、先着順で決まった。
その二人はスミレの傍の席を巡って争い、どちらも別グループになった。
晩ご飯なので、全員がノーマルセットを注文する。
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【支払ログ】
食事:ノーマルセット
支出:700G
所持金:12,787G → 12,087G
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俺とミオはメインに焼き肉を選んだ。
並んで座る俺たちのテーブルに、熱々の鉄板が置かれる。
「どうだ、ミオ! ここの焼き肉は絶品だろう!」
「……うん。お肉も、美味しい」
「さらに! このはしたないライスバウンドからの、豪快に掻き込む食い方! たまらん!」
俺は言葉どおり、肉を茶碗の米にバウンドさせてから頬張る。
それからタレの付いた米も口に含み「うんまい!」とニッコリ。
「……そういう食べ方は、しないけど。でも、たまには」
ミオは恐る恐る俺の食べ方を真似した。
「……美味しい」
「だろ!」
「……でも、私には合わないかも」
「そっかー! ま、人それぞれだ! 無理に合わせることもあるまい!」
俺は気にせず食事を続ける。
少し離れた席で、戸塚が黙々と焼き魚を食べていた。
時折こちらを見るが、声をかけてくることはない。
「吉岡くん、お楽しみ中のところ悪いけど、少しいいかしら?」
向かいの席からリカの声が飛んでくる。
リカは茶碗を置いて俺を見た。
彼女の隣で食事中の相良が、静かにリカを見る。
「なんだい? フェロモンムンムン女!」
「誰がフェロモンムンムン女よ」と笑いつつ、リカがテーブルの下で俺のすねを軽く蹴る。
「細かいことは気にするな! わざわざ俺の前に座ったんだ。用件があることは察していた!」
席を決める際、最初に座ったのは俺とミオだ。
次にリカが迷わず向かいに座り、他の席が埋まっていった。
「実は相談したいことがあってね。食事の場でもないと、話せる機会がなかったから」
「「相談?」」
なぜか相良まで反応した。
「ミオの次を予約しようって魂胆か! お尻ペンペンできる!?」
などと言いつつ、俺はテーブルの下でリカにちょっかいを出した。
先ほどのお返しとして、彼女のすねを足で撫でたのだ。
「……っ!」
リカの体がビクッと震える。
「どうしたんだ? リカ」
相良とミオが首をかしげる。
「いえ、相良、何でもないわ。唾が喉に詰まりかけただけよ」
リカは何食わぬ顔で流したあと、再び俺のすねを蹴った。
そうして俺のイタズラを止めると、真面目な顔で言った。
「相談というのは戦闘のこと。もし吉岡くんのユニークスキルが【オール・レジェンド】じゃなくて【紅蓮の審判】だったら、どういうふうに扱うのか聞いてみたかったの」
「ほう! つまり、『今の黒瀬との連携はいい感じだが、他にも有効な戦い方を模索したい』ということだな!」
「そういうところは察しがいいのね。そう、その通りよ」
リカは笑みを浮かべ、味噌汁を飲む。
「リカのスキルは、具体的にはどういう効果だっけ? 最初に対象を選び、そいつの足下に半径1mの円環を設置する。敵が円環に少しでも入っている間は大ダメージを与える……みたいなスキルだよな」
「概ね合っているわ。補足するなら射程は20mで、その中にいる敵1体の足下に円環を設置できる。でも、円環自体は範囲攻撃だから、他の敵が円環に入ってもダメージを受けるわ」
「円環が解除される条件は? 円環から敵がいなくなったら解除されるのはわかってるんだけど、円環に残っているのは最初に選んだ対象じゃなくてもいいの? 例えば、リカが選んだ対象をAとする。で、その後、新たにBが円環に入ったとしよう。その状態でAが円環から出ても、円環は消えないのかって意味だ」
「消えないわ。あと、円環内なら飛行中の魔物にもダメージが入る」
「遥か上空の敵でも、円環に留めておけば殺せるってわけか」
「理論上はね。実際、飛んでいる敵を半径1mの円環に留めるのは不可能に近いけど」
リカがコップの水を飲む。
相良とミオは静かに話を聞いていた。
よく見ると、戸塚と佐伯も聞き耳を立てている。
スミレ、アヤ、早川は、隅の方で楽しげに話していた。
「そういう条件なら、俺だったらまず技能の導入を検討するな」
「技能……戦技か魔法ね」
「そうそう。リカなら分かっていそうだけど、俺はわりと一人で解決したいタイプなんだ。仲間の力を借りるのが嫌なんじゃない。ただ、涼しい顔で全て一人で解決する超人だったらモテそうじゃん? 俺はハーレムランドを建国する使命を帯びているから、ここは譲れない」
「誰も譲ってほしいなんて頼んでいないわよ。でも、一人で解決したいって部分は私も同じ」
リカは髪を掻き上げた。
俺に見せつけるためではなく、自然に出た仕草だ。
それでもフェロモンがプンプン漂っていた。
「宮坂の【ブロッキング・ウォール】と違って、リカの【紅蓮の審判】は応用が利かないタイプでしょ? 壁や天井から円環を出すとかはできないし」
「まぁ、そうね」
「だったら、敵を円環に留める方法に全神経を注ぐことになる。たとえ俺が変わった発想をする魅力あふれる色男でも、効果自体を書き換えることはできない。だから、狙いはリカと同じだ。何らかの方法で敵の動きを封じ、円環で一気に殺す。差が出るとしたら技能の選び方だと思う」
「なら、その『技能の選び方』を詳しく聞かせてもらえる?」
「いいよ。でも、念のために聞いておこう。リカが選ぶなら、どういう技能を選ぶ?」
「私だったら、それこそ黒瀬の【シャドウ・チェイン】みたいな技能ね。相手を拘束して動けなくする」
「だよね。それが普通だ。技能枠は三つあるし、もしかしたら俺も一つはそういう技能を選ぶかもしれない。ただ、俺なら相手を拘束することにはこだわらない」
俺の発言を受けて、リカがテーブルに身を乗り出した。




