080 ランキング
「佐伯さんならレベルランキングみたいなのを作れると思うんだけど、どうかな!?」
「はい、可能です。現状では同じレベルの方が多いですので、その場合は経験値の多寡で順位を決めます。それでよろしいですか?」
「よろしいです! お願いします!」
「承知しました」
佐伯がサササッと紙に追記する。
あっという間にレベルランキングが完成した。
---------------------------
【ランキング】
01位 梶原 :Lv.17 255/1,370EXP
02位 吉岡 :Lv.16 1,113/1,290EXP
03位 霧島 :Lv.16 716/1,290EXP
04位 宮坂 :Lv.16 248/1,290EXP
05位 ユズ :Lv.13 1,059/1,060EXP
06位 サキ :Lv.13 275/1,060EXP
07位 ナナ :Lv.12 87/1,000EXP
08位 スミレ:Lv.11 881/940EXP
09位 早川 :Lv.11 711/940EXP
10位 アヤ :Lv.10 840/880EXP
11位 相良 :Lv.9 695/830EXP
12位 黒瀬 :Lv.9 640/830EXP
13位 三船 :Lv.9 583/830EXP
14位 リカ :Lv.9 579/830EXP
15位 カホ :Lv.9 445/830EXP
16位 ミオ :Lv.9 103/830EXP
17位 戸塚 :Lv.8 775/780EXP
17位 佐伯 :Lv.8 775/780EXP
---------------------------
「こちらは皆様の報告を基に算出したデータになります。間違いがあれば教えてください。検証します」
皆はまず、自分の数値に誤りがないか確認した。
しばらく沈黙が続いた後、梶原が嬉しそうに口元を緩めた。
「俺……本当に1位なんだな。あの吉岡を抜いたんだ……俺が……!」
「すごいじゃん! 梶原! でも、ユズ隊員だって負けていないよ! 5位だから!」
ユズが声を弾ませる。
「俺、9位っすよ! 1日入院していたのに9位っす!」と早川。
「それを言うなら俺だって3位だ。ま、明日は2位になるけどな」
霧島の口元から笑みがこぼれる。
「戸塚と佐伯さんが同じ順位ってことは、この二人だけがずっと同じPTなのか」
俺が言うと、ユズが「ほんとだ!」と17位に目を向けた。
「はい、私と戸塚くんはずっと同じ隊です」
「逆に言えば、佐伯と戸塚以外、1週間ずっと一緒だったメンバーはいないわけね」とリカ。
「確認してみよう! 佐伯さん、転移1日目からの編成を出してもらえる?」
「わかりました。理由に関わらず、狩りに出られていない場合は『未出撃』でまとめますね」
佐伯は紙を裏返し、手帳を見ながら書き込んだ。
---------------------------
■1日目
・吉岡隊:吉岡、ユズ、梶原、早川
・ソロ:霧島
・未出撃:相良、リカ、カホ、黒瀬、ミオ、佐伯、戸塚、宮坂、スミレ、サキ、アヤ、三船、ナナ
■2日目
・吉岡隊:吉岡、カホ、ユズ、サキ、早川
・相良隊:相良、リカ、梶原、アヤ、三船、ナナ
・佐伯隊:佐伯、黒瀬、ミオ、戸塚、宮坂、スミレ
・未出撃:霧島
■3日目
・吉岡隊:吉岡、ナナ
・霧島隊:霧島、梶原、ユズ、サキ、早川
・相良隊:相良、カホ、黒瀬、宮坂、ミオ
・佐伯隊:佐伯、リカ、戸塚、アヤ、スミレ、三船
■4日目
・吉岡隊:吉岡、ナナ
・霧島隊:霧島、梶原、ユズ、サキ、早川
・相良隊:相良、黒瀬、佐伯、戸塚、宮坂、三船
・リカ隊:リカ、カホ、ミオ、アヤ、スミレ
■5日目
・吉岡隊:吉岡、スミレ
・霧島隊:霧島、梶原、ユズ、サキ、早川
・相良隊:相良、黒瀬、佐伯、戸塚、宮坂、三船
・リカ隊:リカ、カホ、ミオ、アヤ、ナナ
■6日目
・吉岡隊:吉岡、サキ、ユズ
・霧島隊:霧島、梶原、宮坂
・相良隊:相良、黒瀬、佐伯、戸塚、三船
・リカ隊:リカ、カホ、ミオ、アヤ、ナナ
・未出撃:スミレ、早川
■7日目
・吉岡隊:吉岡、スミレ
・霧島隊:霧島、梶原、宮坂
・相良隊:相良、リカ、黒瀬、三船、ナナ
・サキ隊:サキ、早川、アヤ、ユズ
・戸塚隊:戸塚、ミオ、佐伯、カホ
---------------------------
佐伯のデータを見ると、たしかに佐伯と戸塚は常に同じPTだった。
「そうか、俺も初日は狩場に出ていなかったんだな」
思い出したように呟いたのは宮坂だ。
「初日は吉岡隊と霧島以外、〈始祖の塔〉で長時間コースの説明を受けていたからな」
相良が言った。
「なら、俺も実質的には1日休みなのに4位だ。しかも、霧島隊に入ったのは昨日からだ。スミレ、これがどういうことかわかるか?」
宮坂が興奮した様子でスミレを見る。
「すみません……よくわかりません……」
スミレは困ったように答えた。
口元が笑っていないので、本当に困っているようだ。
「俺はそれだけすごいってことだ! 霧島と梶原が一気にレベルを上げられたのも俺のおかげだ!」
「それはすごいことだと思います」
「だろ? だから、目を覚ませ! 俺のほうが吉岡よりすごいんだ!」
宮坂が誇らしげな顔でスミレを見つめる。
「宮坂くんの努力はすごいと思いますが、吉岡さんと比較するのは間違っていますよ」
スミレは優しい口調で言った。
「……どういうことだよ?」
宮坂の眉間に皺が寄る。
「すごさの分野が違うと思います。吉岡さんは独特な発想で活躍されますよね。同じことを宮坂くんはできますか?」
「それは……」
「では、吉岡さんのほうが宮坂くんよりすごいですよね? ……そう私に言われたらどう思いますか?」
「…………」
宮坂が沈黙する。
「それと同じことです」
「で、でも、さっき貢献度では吉岡のほうが上とか、そういう話だったじゃねえか」
宮坂が悔しそうに反論する。
「貢献度の話を出したのは俺だ。スミレじゃない」
黒瀬はそれだけ言った。
「そうは言っても、スミレだって同意見だろ! 貢献度では比較して、何で……」
「宮坂、無理筋だ。諦めろ。俺たちは今後も結果で示す。吉岡がこれまでしてきたことを、これからは俺たちがする。それでいいだろ」
霧島が止めた。
自分のことでは暴走しがちだが、他人のことになると冷静である。
「……チッ、わかったよ。お前に止められるとモヤっとするが、その通りだ。吉岡のことなんか、もう知るか」
宮坂が吐き捨てるように言った。
「一連のやり取りでわかったのは、野郎どもまで俺のことが大好きってことだな! 年10回すらサークルに顔を出していないにもかかわらず、これ以上ない人気者で申し訳ない! がーはっはっは! はっはっはのはー!!!!」
俺はビューティフルにまとめて笑い飛ばした。
◇
人間データベースこと佐伯が作った表を確認し終え、俺たちは食堂に移動した。
隅のほうに空いているテーブル席が固まっていたので、そこでメシを食うことにした。
俺とスミレは並んで座り、ノーマルセットを頼んだ。
メインの一品は、俺が焼き肉、スミレが刺身盛りである。
---------------------------
【支払ログ】
食事:ノーマルセット
支出:700G
所持金:18,907G → 18,207G
---------------------------
驚いたことに、今日は全員がノーマルセットを頼んでいた。
理由は単純だ。
「レベルが上がり、稼ぎも増えてきた。そろそろ食事の水準を引き上げるか」
そう言って、相良がノーマルセットを注文したからである。
それは独り言だったが、「じゃあ、自分も」という声を引き出した。
おそらく相良はそれを狙っていたのだろう。
「さーて、楽しいPT編成の時間がやってきたどー! 明日の吉岡隊を決定しよう! 〈均等な愛作戦〉の対象者のうち、まだラブラブPTを組んでいないのはリカ、カホ、ミオ、サキ、アヤの5人だ!」
「先に言っておくけど、私は今無理だよー。隊長になったばっかりだから。ごめんねー」
サキが少し離れた席から言った。
「吉岡くん、今回はリカも対象から外してもらいたい」
続けて相良が言った。
「相良が言ったからってわけじゃないけど、私も誘うなら次回以降にしてもらいたいわね。今日、黒瀬の【シャドウ・チェイン】とのコンボがいい感じだったから。もう少し試したいわ」
リカの言葉に、相良が頷いた。
「承知した! すると、残るはカホ、ミオ、アヤの3人だ! 先に聞いておくけど、他にも今回はパスって人はいるかな?」




