061 飛行タイプとの戦い
「食いつきすぎでしょ、吉岡くん。冗談のつもりだったんだけど……」
サキが苦笑する。
「なんだよ、冗談かよぉ!」
俺は唇をひん曲げて不満をあらわにする。
「そんなに拗ねないの。じゃあ、ちょっとだけね。それならいいよ」
「そうこなくちゃ! では、念願のサキっぱいを……!」
俺は大興奮でサキの胸に手を伸ばす。
そんな時だった。
「「「メェェェェェ!」」」
「「「ぴゅいーっ!!」」」
シープとスライムの群れが突っ込んできた。
「あー、はいはい。今、そういうのじゃないから」
適当に〈スター・ストライク〉で仕留めておく。
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【戦闘結果ログ】
討伐:跳ね角シープ×4 / 風草スライム×3
PT:3人 人数補正:80%
獲得:336G / 272EXP
所持金:7,257G → 7,593G
レベル:Lv.13
経験値:340 → 612/1,060EXP
依頼進捗:跳ね角シープ討伐 4/4・達成
依頼進捗:風草スライム討伐 3/3・達成
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「雑っ! でも強いっ! さすが吉岡くん!」
ユズが笑っている。
サキも「本当に滅茶苦茶すぎ」とウケていた。
「魔物よりも今はサキっぱいだ……!」
俺は恐る恐るサキの胸を掴んだ。
ユズには劣るサイズ感で、リカよりも小さい。
それでも、決して貧乳ではなかった。
カホ、アヤ、スミレと同程度。
ミオやナナよりは明らかに大きい。
つまり、アンチテーゼでは一般的。
カップで言えばDといったところだろう。
「よし!」
俺は胸を大きく上下に振ってから言う。
我が右手が、完全に形状とぬくもりを覚えた。
「よかったね、サキ! 吉岡くんの『よし』が出たよ!」
「何に対する『よし』なのかわからないけどね」
サキが苦笑する。
「ユズっぱいにサキっぱい……これで俺はもう無敵だ! そして残る敵は風切りホークと危険個体2種とボスだけだ!」
奇しくも昨日と同じ残り方である。
「ここからが本番だね」
サキが胸当ての紐をきつく締め直した。
「任せておけ! 霧島との格の違いを見せてやろう! サキ、今日は撤退判断をする必要はないぞ! グリフォンもワイバーンもオーガも、全部俺の獲物だ! 血に飢えた虎が野に放たれたと思ってくれ!」
「よくわからないけど、わかった! それで、その虎さんは風切りホークをどうするの? ――突っ込んでくるよ」
サキが真顔で槍を構え、前方を睨む。
彼女の言葉どおり、風切りホーク5体が正面から突っ込んできていた。
「俺が捌こう! 君らは敵の奇襲を警戒しておいてくれ! 他の敵が来たらすぐに言うように!」
俺は二人の間に立った。
「吉岡くん? 突っ込まないの?」とユズが首をかしげる。
「まあ、見てな」
俺は前傾姿勢になると、敵を真っ直ぐに睨む。
距離がぐんぐん詰まってきている。
残り7m……6m……5m……。
「今だ!」
残り4mほどのところで、俺は〈バースト・ステップ〉を発動した。
一瞬で3mの距離を詰め切ると――。
「チェストオオオオオオオオ!!!!!!!!!」
レジェンド級の習熟度による大太刀の一振りをお見舞いする。
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討伐:風切りホーク×5
PT:3人 人数補正:80%
獲得:160G / 120EXP
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敵にとっては、完璧な陣形があだになった。
高度まで揃えて飛んでいたため、一振りでまとめて倒せたのだ。
「「すごっ!」」
ユズとサキが同時に感嘆する。
その後、サキがワンテンポ早く反応した。
「吉岡くん、グリフォンとワイバーンが来てる! 上!」
見上げると、2方向から危険個体が同時に迫ってきていた。
どちらも俺ではなく他の二人を狙っている。
元々はホークの後に攻撃してくるつもりだったのだろう。
昨日の戦術にワイバーンを足したようなものだ。
「サキ、ユズ、ワイバーンを止めろ! 倒さなくていい! 逃がすなよ! 5秒あれば十分だ!」
「5秒、了解」
サキが槍を構える。
「爆弾は使わないでおくね! びっくりさせて高度を上げられると困るから!」
ユズも槍を構えた。
「頼んだぜ――まずはお前からだ! 昨日みたいに逃がさないぞ! どりゃあ!」
俺は〈バースト・ステップ〉で距離を詰め、グリフォンの片翼を切り落とした。
「キュイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!」
グリフォンの悲鳴が響く。
「あばよ!」
飛べなくなったグリフォンなど怖くない。
お別れの〈スター・ストライク〉で軽やかに仕留める。
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討伐:鎌羽グリフォン×1
PT:3人 人数補正:80%
獲得:96G / 96EXP
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残すはワイバーンだけだ。
「本当に激しい! サキ、こんなのよく倒せたね、昨日!」
「昨日は梶原と早川が少し削ってくれていたからね」
サキとユズはしっかりワイバーンを抑えていた。
「よくやった! あとはこのミスター・レジェンドに任せろ! セイヤーッ!!!!!!!!」
俺は〈バースト・ステップ〉からの袈裟斬りを放つ。
我ながら惚れ惚れするほどの速度でワイバーンの片翼に深い傷を負わせる。
「ここからが令和の佐々木小次郎だ! くらえ! 吉岡流燕返し!」
太刀の刃をくるっと反転させて切り上げる。
反対側の翼を完全に潰した。
「よし! サキ、ユズ、トドメを刺せ!」
俺はスッと後ろに跳び、フィニッシュを二人に任せる。
「え、私たちが倒していいの?」とサキが驚く。
「いくよ! サキ! えいっ!」
「了解! それっ!」
二人が瀕死のワイバーンをきっちり仕留めた。
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【戦闘結果ログ】
討伐:風切りホーク×5 / 鎌羽グリフォン×1 /
暴風ワイバーン×1
PT:3人 人数補正:80%
獲得:392G / 344EXP
所持金:7,593G → 7,985G
レベル:Lv.13
経験値:612 → 956/1,060EXP
依頼進捗:風切りホーク討伐 5/5・達成
依頼進捗:鎌羽グリフォン討伐 1/1・達成
依頼進捗:暴風ワイバーン討伐 1/1・達成
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「吉岡くん、どうしてトドメを私たちに任せたの?」
サキは魔石を拾いながら尋ねてきた。
「今のは今後の戦いに備えた動きだ。今回はワイバーンが最後だったけど、他の敵が残っていたら、トドメを二人に任せて俺はそっちへ回れる。そのほうが安全に戦えると判断した!」
「なるほど。今後のことまで見越しているんだね」
「ま、実際に役立つかどうかは別の話だけどな! 俺は習熟度こそレジェンド級だが、戦闘の知識が豊富なわけではない! 色々と手探りで試している最中であり、さっきのもその一環だと思ってもらえればいいだろう!」
俺は太刀を鞘に収め、「では、移動再開!」と歩き出した。
◇
ボスは麦畑を抜けた先の草原にいた。
丈の低い雑草が生えていて、直径60センチ程度の石が辺りを囲んでいる。
「あれが早川をしばいた風車オーガか」
ボスのオーガは、身長3m級の巨人だった。
事前情報のとおり、宮坂の武器みたいなハンマーを片手で持っている。
「アイツ、見た目のわりにかなり動けるから気をつけてね」とサキ。
「では、安全にいこう! サキの幻影でかく乱しつつ、三人でユズの果実爆弾を投げる! で、その後は俺が魔法の連射と無慈悲な剣術で敵を追い詰める! 二人はアシストでどうかな!?」
「こちらユズ隊員、問題ありません!」
ユズが敬礼する。
「サキちゃんもオッケー!」
「決定だ! ユズ、爆弾は赤三つだ! サキの幻影で動きが止まっている相手を一気に燃やして叩くぞ!」
「了解!」
ユズが【ボム・フルーツ】を発動し、果実爆弾を俺たちに渡す。
「二人とも、爆弾は持ったな? サキ、やれ!」
サキが「ほい!」とユニークスキルを発動する。
オーガの周りを三体の幻影が走る。
「敵が幻影に夢中だ! 行くぞ! 吉岡隊、攻撃開始!」
俺の合図で一気に突撃する。
そして――。
「せーのっ! おりゃ!」
三つの赤い果実爆弾が、ボスに向かって投げ込まれた。




