057 バースト・ステップ
ユズが持ってきたのは、Eランクの戦技〈バースト・ステップ〉の教本だった。
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【名 前】バースト・ステップ
【ランク】E
【種 類】戦技
【効 果】一瞬で移動する。
【制 限】クールタイム:1分
【習熟度】
・ビギナー :【クールタイム】1分 【移動方向】前方のみ 【最大移動距離】1m
・ノーマル :【クールタイム】1分 【移動方向】前方・左右【最大移動距離】1m
・エリート :【クールタイム】1分 【移動方向】前後左右 【最大移動距離】1m
・マスター :【クールタイム】30秒【移動方向】前後左右 【最大移動距離】2m
・レジェンド:【クールタイム】0秒 【移動方向】前後左右 【最大移動距離】3m
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「どう? さっき吉岡くんが言っていた『動きを一瞬だけ速くする』にかなり近いよ!」
ユズが誇らしげに俺を見る。
「たしかに、これは俺のイメージしていたものに限りなく近い」
教本では可愛らしいイラストで効果を紹介している。
それによると、この戦技では一瞬で距離を詰められるようだ。
移動距離は「最大」という表記から察せられるとおり任意だ。
例えば1mではなく50cmだけ……という使い方もできる。
長所はとにかくスピード。
発動した瞬間に移動が完了している。
敵との間合いを詰めるもよし、敵の攻撃を避けるもよし。
後方に移動できるなら、一瞬だけ突っ込んですぐ下がることもできる。
短所は移動が直線的になることだ。
例えばジグザグに動く……ということはできない。
レジェンド級だろうと、前後左右のどこか一方向に動くだけだ。
また、CTが0秒でも光の速さで連発できるわけではない。
技能を発動するには念じる必要があるからだ。
この点は〈スター・ストライク〉をはじめ、どの技能でも変わらない。
クールタイムはないが、発動速度には限度がある。
「決めた! この教本を買おう!」
俺は店主に教本を渡し、支払いを済ませた。
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【支払ログ】
教本:[E]バースト・ステップ
支出:5,000G
所持金:13,115G → 8,115G
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「まいどあり!」
前回とは違う店なので、店主もただのおっさんだ。
この店を選んだことに、深い理由はない。
ただ、前の店の次にギルドから近かっただけだ。
「サンキュー、ユズ! これでまた強くなるぜ!」
「うん! 吉岡くんに喜んでもらえてよかった! ユズ隊員、お手柄だね!」
ユズが嬉しそうにVサインを作る。
その姿に頬を緩めつつ、俺はさっそく教本を使用した。
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習得:[E]バースト・ステップ
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それからステータスも確認しておく。
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【名前】吉岡
【レベル】12 EXP:84/1,000
【所持金】8,115ゴールド
【ユニークスキル】オール・レジェンド(P)
【技能①】[F]スター・ストライク(レジェンド)
【技能②】[E]バースト・ステップ(レジェンド)
【技能③】未登録
【武器】[F]雫石の大太刀
【防具】[F]ブルファムレザーの軽装備
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やはり技能枠が埋まると見栄えがいい。
レベルもそれなりに上がってきて、成長を実感する。
「吉岡さん、次は武器を新調しに行きたいのですが、ついてきていただけますか?」
満足していると、スミレが話しかけてきた。
隣ではなく斜め後ろに立ち、両手を重ねて清楚な雰囲気を醸している。
「それはかまわないが、ユズがまだ教本を見ている」
ユズは色々な教本をパラパラと読み、自分も買おうか検討していた。
「ですが、今日は私の日ですよね?」
スミレがにこりと微笑む。
しかし、その目は鋭く、明らかに「私を優先しろ」と言っていた。
「はいはい。お邪魔虫は去りますよーだ! スミレ、明日は私が吉岡くんとイチャイチャするから! 明日は私の日だもん!」
「正確にはサキさんも含めた『ユズさんとサキさんの日』ですよね」
ユズは「そうだった!」と自分の口を右手で押さえた。
「で、でも! 私がイチャイチャすることに変わりはないもん! スミレのこと嫉妬させまくるから!」
「はい、たくさん嫉妬しますね」
スミレがにこりと微笑む。
「何その笑み! リカとは違った感じの余裕な態度! 負けないもん!」
ユズは頬をぱんぱんに膨らませると「じゃあね!」と店を飛び出した。
「スミレ、今更驚きはしないが……君は本当に好戦的だな」
俺は苦笑した。
「そんなことありませんよ」
「まるで女版吉岡だぞ! 宮坂や梶原に対する自分の振る舞いを見ているようだ!」
「自覚しているのがタチの悪いところですね、私たち」
スミレがクスクスと笑った。
◇
その後、俺たちはいくつかの武器屋を回った。
スミレの装備は短槍と小盾のセットだが、しっくり来るものが見つからなかった。
短槍か小盾のどちらか一つなら、しっくり来るものは多い。
だが、両方同時となると、なかなか決められなかった。
「別々に選べないのがセット武器のつらいところだな」
「ですね……。そこまで考えていませんでした……」
早川が最初に使っていたショートボウ+短剣。
カホやスミレが使っている片手武器+小盾。
これらは「セット武器」として売られている。
セットで一品扱いだ。
もちろん槍や盾を別々に買うことはできる。
しかし、その場合、当然ながら価格は倍になる。
「決めました。これにします。鎧と色を合わせてみました」
最終的に、スミレは白を基調としたセットに決めた。
「見た目で決めるとは、俺と似ているな」
「装備も衣服と同じです。気に入ったデザインのものなら気分が上がります。それに、このセットはしっくりきました」
スミレは購入を済ませた。
今まで使っていた初期配布のセット武器は下取りに出した。
下取りでも1点として扱われるため、買取額は50Gだった。
「お待たせしました。似合っていますか?」
「おう! 清楚でお淑やかな雰囲気の君にお似合いだ! 悪い子には見えないぞ!」
「それは何よりです」とスミレが微笑む。
「では、宿屋に行こう! 外はもう真っ暗! お楽しみの時間だ!」
そう言うと、俺はスミレと手をつないだ。
手が重なった瞬間、スミレの肩がビクッと震える。
「ごめん、嫌だった?」
俺は慌てて手を離した。




