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055 転移6日目の編成

「本当に悪い子だなぁ!」


 俺はニヤニヤしながら座ると、スミレの肩を抱き寄せた。

 さらに、首にキスする。


「吉岡くん!?」


 ユズが目を丸くした。

 サキも「ワオ!」と通販番組の外国人みたいな反応をする。


「吉岡、何してんだ! スミレから離れろ!」


「おーこわ、宮坂が怒ってるぞ?」


 俺はニヤニヤしながらスミレを見る。


「吉岡さん、そういう顔で見られると困ります」


 スミレは困ったようにしつつ、こっそり俺の袖を二回引いた。


「君は本当に……! 宮坂、すまない! 俺は平和主義者なんだが、これは仕方ないことなんだ!」


 俺は再びスミレにキスした。

 今度は彼女の顎をつまみ上げて唇を重ねる。


「吉岡くん、抑えてくれ……」


 相良がため息をつき、額を手で押さえる。


「吉岡! お前、いい加減にしろ!」


 宮坂がテーブルを叩いて立ち上がる。


「よせ、宮坂。おそらくスミレの意思だ」


「おそらくって何だよ、黒瀬! おかしいだろ! こんなもん!」


 宮坂が吠える。


「うっそー!? スミレ、いつの間に吉岡ハーレムランドに入国してたの!? ていうか、これでまたライバルが増えたじゃん! ナナ、スミレ、サキ、それに……リカとエリナ! カホも!」


「私は含まれていないんだ?」とアヤが笑う。


「アヤは不明!」


「……私は?」とミオ。


「ミオも不明!」


 ユズが元気な声で言う。


「……ミオは違う」


 ボソッと呟いたのは戸塚だ。


「えーっと、それで、話は何だっけ? ユズが俺との戦いを引き分け扱いにして……そうだ! サキが霧島隊を抜けたんだったな! じゃあ、サキは明日からリカ隊か?」


 俺は話を戻した。


「来るなら歓迎するわよ」


 リカが脚を組み直して髪を掻き上げる。


「リカ隊はカホがいるからなぁ」


 サキが気乗りしない様子で言った。


「私がいると嫌なんだ?」


 カホが悲しそうな顔をする。

 それを見て、サキは慌てて「違うって!」と手を振った。


「カホが嫌って意味じゃないよ。ただ、私はもっとガンガンいきたいタイプなの。理想は暴走しない霧島の率いる霧島隊って感じ。だからカホとは相性が悪いかなって思ったの」


「そういうことね。なら、よかった」


 カホは胸に手を当て、安堵したように息を吐いた。


「そうなると候補は我が吉岡隊だけになるが……俺は今、〈均等な愛作戦〉の真っ最中だ。残念ながら明日は名誉挽回のためにスミレと第4に行こうと――」


「吉岡さん、そのことなんですが……一つよろしいでしょうか?」


 スミレが俺の言葉を遮った。


「おう! いいぞ! どうしたんだい?」


「明日は一日、一人で過ごさせていただけないでしょうか」


「「え?」」


 俺と宮坂が全く同じ反応を示した。

 ただし、両者の表情は全く異なっている。

 俺は驚き、宮坂は嬉しそうだ。


「吉岡さんのおかげでお金が貯まりました。なので、私も技能を習得したいと考えています。吉岡さんと違い、私の場合はFランクの技能でも約8時間の訓練が必要になります。ですから……」


「なるほど! 明日はコソ練期間ということにして、明後日に披露したいわけか!」


 スミレは「はい」と頷いた。

 思っていた展開と違ったようで、宮坂が残念そうにしている。


「吉岡さんさえよろしければ……なのですが、よろしいでしょうか?」


「いいだろう! 戦技でも魔法でも、好きなものを習得すればいい! 武器も新調しよう! 俺も新しい技能を習得する予定だったし、このあと一緒にメシを食ったら武器屋と教本店に行こう!」


 俺は言いながら、さりげなくテーブルの下でスミレの袖を2回引く。


「……っ! わかりました。お気遣いありがとうございます」


 スミレは平静を装いつつ、テーブルの下で俺の太ももに手を添えた。


「では、明日はサキとデートすることとする! サキ、いいかな!?」


「私はオッケー! せっかくだから私も吉岡くんにたんまり稼がせてもらおっと!」


「えー、サキ、吉岡くんと組むの? ずるい!」


 ユズが頬を膨らませる。


「じゃあ、ユズも吉岡隊に来る? 私はかまわないよ?」


「俺もかまわないぜ! ハーレムデートも大歓迎だ!」


「悩む……!」


 ユズは腕を組み、「うーん」と考え込む。


「好きにしろ。霧島隊は梶原と二人になったとしても変わらん。明日は第1と第2で金策だ」


 霧島が吐き捨てるように言った。


「決めた! 私は霧島隊でいく!」


「いいの? せっかくのチャンスなのに。ユズ、吉岡くんとイチャイチャしたいんじゃないの?」


 サキが茶化すと、ユズは「イチャイチャはしたい!」と断言した。


「でも、霧島先輩と二人きりにしたら梶原が可哀想でしょ!」


「どういう意味だよ、それ」と霧島がユズを睨む。


「それだよ! それ! その常にピリピリした雰囲気! 梶原一人じゃきつそう! だから私も一緒にいてあげる!」


「正直、すげー助かるわ。霧島さんのことは嫌いじゃないけど、二人だと空気がヤバそうな気がしてた」


 梶原が頭の後ろで手を組んで笑う。


「霧島、吉岡との勝負は終わったんだ。これからは本当に効率だけを追求するんだろうな?」


 宮坂がテーブルに右腕をつき、体を霧島に向ける。


「今でも効率重視だ。吉岡は関係ねえ。ただ、進み方は見直す。次はEランクの装備だ。レベルも上げる必要がある。それから上に行く」


「なら俺が入ってやる。相良さんのPTは数が多くて稼ぎが少ない」


「宮坂お前、二年のくせに偉そうだな。佐伯や戸塚にはさん付けで俺には呼び捨てだしよ」


 霧島が宮坂を睨む。

 しかし、宮坂は気にすることなく返した。


「黒瀬とリカのことも呼び捨てにしている。そんなことはどうでもいいだろ。入れるのか、入れないのか、どっちだ。こっちはこれ以上、吉岡に差を広げられたくねーんだよ」


「お前も吉岡のことを意識しているじゃねーか」


「俺が意識しているのはスミレだ。吉岡はスミレにつきまとう害虫だ。スミレの目を覚まさせるなら、俺が吉岡より強くなるしかねーだろ」


 俺は「害虫って、すげー言い草だな」と声を上げて笑う。

 スミレも口に手を当て、「困りましたね」と笑っている。


「くだらねえ。だが、サキが抜けた後だ。戦力が不足している。入りたい奴を拒む気はねえ」


「決まりだ。相良さん、俺は霧島隊に移る。それと佐伯さん……今日は本当にすまなかった」


 相良が「わかった」と承諾し、佐伯は「大丈夫です」と穏やかに答えた。


「宮坂が来るなら、私が霧島隊じゃなくても大丈夫じゃん! 私、やっぱり明日は吉岡くんのところに行く!」


 ユズがころっと意見を変えた。


「ちょ、おい、ユズ! ……宮坂、お前が来たせいでユズが抜けたじゃん」


 梶原が宮坂を睨む。


「知るかよ。スミレ以外の女に興味はない」


 梶原は「お前なあ……」と苦笑した。


「成り行きで編成の話になったが、他にも明日の編成について希望のある者はいるか?」


 相良が全員に話を振った。


「「「…………」」」


 しかし、誰も発言しなかった。


「なら、明日の編成は確定でいいな」


 相良がまとめた。


---------------------------

【転移6日目の編成】

・吉岡隊:吉岡、サキ、ユズ

・霧島隊:霧島、梶原、宮坂

・相良隊:相良、黒瀬、佐伯、戸塚、三船

・リカ隊:リカ、カホ、ミオ、アヤ、ナナ


・技能習得:スミレ

・入院治療:早川

---------------------------


「相良、吉岡隊と霧島隊の競争は終わったけど、私たちはどうする?」


 リカが相良に尋ねた。

 口元には余裕ありげな笑みを浮かべている。


「継続でかまわない。俺たちは明日、第3階層に行く。全8攻略を目指す。今日中に防具をFランクに新調する予定だ」


「奇遇ね。私らも明日は第3全8予定よ。あと、こっちは防具じゃなくて武器をFランクに新調する。ナナ以外ね」


「宮坂、お前も防具をFランクにしておけ。Gランクじゃランク差補正が発生する」


 霧島が言うと、宮坂は「わかってる」と頷いた。


「第3階層になると、リカのユニークスキルで嵌める戦法は使えなさそうだな! リカ、ピンチか!?」


 俺が煽ると、リカは「それはどうかしら」と余裕の表情を浮かべた。


「お? もしかして何か策がある感じ? 第2のボス戦みたいに!」


 俺は身を乗り出し、リカの脚と胸を見てから、顔を見た。

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【ノクターン】異世界ゆるっとサバイバル生活
~学校の皆と異世界の無人島に転移したけど俺だけ楽勝です~
▼ 代表作 ▼
『異世界ゆるっとサバイバル生活』
異世界ゆるっとサバイバル生活 第1巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第2巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第3巻
異世界ゆるっとサバイバル生活 第4巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第5巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第6巻
『成り上がり英雄の無人島奇譚』
成り上がり英雄の無人島奇譚 第1巻 成り上がり英雄の無人島奇譚 第2巻 成り上がり英雄の無人島奇譚 第3巻
成り上がり英雄の無人島奇譚 第4巻 成り上がり英雄の無人島奇譚 第5巻
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