039 レベル6
敵の奇襲は完璧だった。
直前まで地面が盛り上がることもなく、気づいたときには足下にいた。
しかし、相手が悪かった。
「ホワチョオオオオオオ!!!!!」
俺は反射的にモグラ型の魔物を蹴り上げていた。
さらに次の瞬間にはトンファーを叩き込む。
習熟度レジェンドだからこその動きだ。
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討伐:水晶モール×1
PT:2人 人数補正:90%
獲得:45G / 36EXP
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「すごい反射神経です! 吉岡先輩!」
「咄嗟にイメージしたのが、蹴り上げてからの反撃でよかったぜ……!」
もし今、反撃以外のイメージをしていたら危なかった。
俺のユニークスキル【オール・レジェンド】の弱点はそこだ。
手に取った武器やセットした技能の扱い方が完全にわかる。
しかし、それをどう生かすかは自分で考えなくてはならない。
戦闘中、敵に攻撃を通すイメージ。
それが浮かばなければ、俺は敵に攻撃できない。
「ナナ、他にも敵はいるか?」
「はい! 近くに隠れています! 地中に3体いるので、水晶モールだと思います!」
ナナが地面を指して教えてくれる。
「相手が地面を壊せるんだ。なら、こっちに壊せない道理はないだろ! おら、スタストォ!」
俺は〈スター・ストライク〉を地面に撃ち込んだ。
一発目で、命中した場所の地面が割れ、土が顔を覗かせる。
そして、二発目で地中に潜っている敵を倒した。
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討伐:水晶モール×1
PT:2人 人数補正:90%
獲得:45G / 36EXP
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「まだまだいくぜ! さっきはよくもビビらせたな!」
魔法を連発して、危なげなく残りも倒す。
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討伐:水晶モール×2
PT:2人 人数補正:90%
獲得:90G / 72EXP
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俺が「ふぅ」と息をつくと、戦闘結果ログが表示された。
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【戦闘結果ログ】
討伐:水晶モール×4
PT:2人 人数補正:90%
獲得:180G / 144EXP
所持金:2,571G → 2,751G
レベル:Lv.5
経験値:363 → 507/640EXP
依頼進捗:水晶モール討伐 4/4・達成
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「吉岡先輩! レベル4になりました!」
「おー、おめでとう! 絶好調だな! この調子でいこうぜ!」
「はい!」
俺たちは狭い洞窟内を歩き始めた。
◇
先に進むと、他の通常種が待ち受けていた。
スライムとコボルトという、小型モンスターの組み合わせだ。
どちらも近接戦闘タイプだった。
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【戦闘結果ログ】
討伐:雫石スライム×6 / 小爪コボルト×4
PT:2人 人数補正:90%
獲得:306G / 306EXP
所持金:2,751G → 3,057G
レベル:Lv.5 → Lv.6
経験値:507 → 173/690EXP
依頼進捗:雫石スライム討伐 6/6・達成
依頼進捗:小爪コボルト討伐 4/4・達成
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問題なく突破した。
道が狭いと俺の魔法が有効だ。
敵の射程外から一方的に魔法を連射して瞬殺だ。
そのまま進むと、次に現れたのは灰耳バットだった。
第2階層のモスよりも小型のコウモリだ。
少し開けた三叉の分岐路で待ち受けていた。
「小さくて素早いな。俺は問題ないが、ナナは当てづらそうだ」
「だ、大丈夫です! 動きが直線的で読みやすいので!」
ナナと手分けして処理していく。
バット自体は問題なかったが、ここでリザードの奇襲を受けた。
「「「フシャー!!!」」」
四足歩行で、地面すれすれに伏せた状態で突っ込んできたのだ。
バットが視線を上に向けさせ、下からリザード……というコンビプレーだ。
だが、モールの奇襲に比べてわかりやすかった。
それに、こちらにはナナがいた。
「吉岡先輩、来てます!」
「任せろ! チェストオオオオ!!!! アチョオオオオ!!!!」
俺がトンファーで迎撃して、あっけなく全滅させる。
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【戦闘結果ログ】
討伐:灰耳バット×5 / 洞穴リザード×3
PT:2人 人数補正:90%
獲得:315G / 270EXP
所持金:3,057G → 3,372G
レベル:Lv.6
経験値:173 → 443/690EXP
依頼進捗:灰耳バット討伐 5/5・達成
依頼進捗:洞穴リザード討伐 3/3・達成
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これで通常種の討伐依頼が完了した。
移動開始から約30分しか経っていない。
結構なハイペースだ。
「少し下がって休憩しよう。ここなら敵が奇襲してきても対応しやすい」
「了解です!」
バットやリザードと戦った場所で、俺とナナは簡単な休憩を挟んだ。
「魔法が強すぎるな。それとも、トンファーがGランクだからかな?」
「魔法はFランクですからね。補助魔導具がなくてもFランクなら変わりはありません」
補助魔導具は、Eランク以上の魔法を使う際に必要な装備だ。
別に習得・発動するだけなら、補助魔導具自体は必要ない。
しかし、補助魔導具がない状態で発動した魔法はFランク扱いになる。
Eランク以上の魔法をランク通りの性能で発動するには、同ランク以上の魔導具が必要だ。
だからといって、補助魔導具だけ先に高ランクのものにしても効果はない。
例えばSランクの補助魔導具を装備しても、Fランクの魔法はFランクのままだ。
俺の〈スター・ストライク〉はFランクだから、これ以上の強さになることはない。
では、Fランクの補助魔導具は何のために存在するのか。
答えは、習熟度を上げやすくするためだ。
つまり、俺の場合、Fランクの補助魔導具は完全に不要な代物だ。
「さて、行くか。魔法が強すぎるかどうかは不明だが、使えるものを使わない手はない。この後も圧倒的な強さで敵をねじ伏せて楽に勝とう!」
「わかりました!」
休憩を終えると、俺たちは移動を再開した。
目の前で道は三方向に分かれていたが、どれを選んでも到着点は同じだった。
ほどなくして、三本の道が交わる広い空間に出たのだ。
そこに危険個体が2体揃って待っていたのだが――。
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【戦闘結果ログ】
討伐:裂岩スコーピオン×1 / 水晶バジリスク×1
PT:2人 人数補正:90%
獲得:225G / 216EXP
所持金:3,372G → 3,597G
レベル:Lv.6
経験値:443 → 659/690EXP
依頼進捗:裂岩スコーピオン討伐 1/1・達成
依頼進捗:水晶バジリスク討伐 1/1・達成
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遠巻きに魔法を連発するだけで、あっけなく終わった。
「危険個体になると、スタスト一発じゃ死なないな。数発かかったぞ」
「スコーピオンは3発、バジリスクは5発かかりました」
「とはいえ、ザコはザコ! 問題はレベルが上がらなかったことだ!」
「レベル差補正がある状態でボスと戦うことになるわけですね……」
俺のレベルは6で、ボスのレベルは11。
レベル差は5だから、1段階目のレベル差補正が発生する。
「まあ、魔法で押し切るか。ボスはあの先だろ?」
俺は前方を指した。
奥に続く一本の道がある。
他の道がないので、間違いようがない。
「おそらく……。ただ、今のところ反応はありません!」
「距離があるんだな。進もう! 霧島隊に負けるわけにはいかんからな! 俺の親友枠はよしぽっぽと決まっているんだ!」
「あの、吉岡先輩、昨日から気になっていたのですが、よしぽっぽさんとは一体……?」
「ネトゲの友達だ! 会ったことはない! 故に顔も声も知らん! たぶんイケメンだ!」
「吉岡先輩が親友認定するくらいだから、きっと素敵な方なんだと思います!」
俺たちはボスを目指して奥に進む。
「――! 吉岡先輩、反応があります! 奥にいます!」
しばらくしてナナが言った。
「そうだと思ったぜ! 行くぞ! 仕上げの時間だ!」
足下が滑るので、走らず慎重に向かう。
そして俺たちは、ボスの待つ終点に到着した。
「すっげぇな! なんだここ!」
さながら野球場のようなフィールドだ。
天井が吹き抜けになっており、太陽の光が差し込んでくる。
野球場に喩えるなら、外野部分が全て深い水たまりになっている。
俺たちがいるのはホーム付近で、ちょうど正面の二塁あたりにボスがいた。
「グォォ!」
低い声で吠えたのはボスの雫石ゴーレムだ。
全高4メートル級の巨体で、全身が透き通った青い石でできている。
「第2階層のボスと違って普通に動き回りそうだな」
「物理攻撃が効くように見えませんね……」
「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
俺たちが話していると、ボスが吠えた。
その瞬間、ボスの周囲にあった水たまりが震えた。
地面の水滴もプルプルと震えている。
「気をつけろ、ナナ! あのボス、何かするつもりだぞ!」




