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032 報告会3日目

「イエス! イエス、イエス、イエス! もちろんイエスだよ!」


 俺は大声で言った。


「イエス……?」


「ワイ、イー、エス! YES! イエス! つまり、嫌じゃないってことだ! 今日の夜は君と個室宿で過ごそう!」


「本当ですか!?」


「君は覚悟を示した! いろいろな修羅場を受け入れる覚悟を! ならば俺も応じよう! ただし! 条件がある!」


「条件……?」


 ナナが不安そうに俺を見る。


「吉岡隊が霧島隊に勝利した場合限定だ! 負けた場合、ユズの希望を何でも一つ聞く約束をしている! なので確約できない!」


「なるほど。それなら仕方ありませんね……」


 ナナの表情が安堵に変わった。


「しかし、ここで新たな問題が浮上する!」


「新たな問題?」


「霧島隊も全8だった場合、何をもって勝敗を決めるかだ」


「それは……人数の少ない吉岡隊の勝ちでは?」


「いや、その手は使えない。俺は霧島に人数を言い訳にするなと煽っている。霧島にもそう言い返された」


「では、攻略タイムとかでしょうか?」


「悪くない案だが、それだとスッキリしねぇよな!」


「スッキリ……?」


 ナナの顔には「何を言ってるんだ、コイツ」と書いてあった。


「ま、霧島隊も第2全8だった場合は引き分けとし、翌日に持ち越すことを提案しよう! 麻雀のリー棒みてぇなもんだ! 霧島も応じるはずだし、応じなければ煽って応じさせる!」


「麻雀のことはわからないですが、吉岡先輩にお任せします! でも、引き分けだった場合、私はどうなるのでしょうか……?」


「その場合は、ユズとの勝負も引き分けになるので、君と夜を過ごす! 勝敗は明日に持ち越され、修羅場だけが残るわけだ!」


「わかりました! そうしましょう!」


「おうよ! 話はまとまった! 確認にいくぞ!」


「はい!」


 俺たちはギルド内の集合用スペースに向かった。


 ◇


「吉岡くん、戻ったか。今日は俺たちのほうが早かったな」


「お疲れ様です、吉岡くん、ナナさん」


 集合用スペースには、すでに相良隊と佐伯隊が待っていた。

 つまり、霧島、梶原、ユズ、サキ、早川以外が揃っていることになる。


「待たせたなあ! 野郎ども! イイ女たち!」


 俺は何食わぬ顔でスミレに近づくと、「よいしょ」と彼女の膝に座る。

 厳密には座ったふりであって、俺の尻とスミレの膝は当たっていない。


「吉岡ァアアアアアアア!!!!!!!!!」


 瞬間湯沸かし器もびっくりの速度で宮坂が吠える。


「おっと失礼」といって俺は立ち上がる。


「吉岡さん、宮坂くんをからかわないでください。困ります」


 などと言いつつ、スミレは口元に笑みを浮かべていた。

 なので俺は、スミレに耳打ちした。


「困るのは君? それとも宮坂? 君は楽しんでるよね? なんて悪い子だ」


「……っ!」


 スミレの頬が赤くなる。


「吉岡ァ! スミレから離れろ! 殺すぞ!」


 宮坂が両手持ちの大きなハンマーを抱えて怒鳴る。


「そういきり立つなって! ちょっとからかっただけだろ! 怖いなぁ! 宮坂くんは!」


 俺はナナの隣に座ると、スミレにウインクする。


「吉岡さんは……人のことをよく見ていますね」


 スミレは恥ずかしそうに呟いて俯いた。


「吉岡くんが戻るなり賑やかになったわね」


 リカが佐伯の隣で余裕ぶって笑い、ワインレッドの髪を掻き上げる。


「吉岡先輩、スミレ先輩をからかうのもいいですけど、今日は私の相手をしてほしいです……」


 ナナがテーブルの下で俺の服を引っ張り、他には聞こえないよう小声で言う。

 その頬は少し膨らんでいて、拗ねているのが明らかだった。


「悪い悪い。霧島がいないから代わりに他の人をからかいたくなったんだ。もちろん今日のメインは君だよ? 俺の輝く一等星ちゃん!」


「輝く一等星!?」


「君のスキルと俺の魔法をかけた完璧な呼び名だろ?」


「嬉しいです……!」


 ナナが言葉どおり嬉しそうに頬を緩める。


「白瀬さん……」


 三船の顔は、いつぞやの梶原よりも青く染まっていた。


「吉岡くん、魔法を習得したのか」


 食いついたのは相良だ。


「そうなんだけど……その前に一つ! 霧島隊は?」


「まだ戻ってきていない」


「心配だね」とカホが呟くと、ミオが静かに頷いた。


「今日はユズたちも一緒だし、大丈夫なんじゃないかしら?」


 言葉に反して、リカも少し心配そうだ。


「ま、何かあったとしても撤退できるだろう! ユズとサキは強い! ということで、相良の質問に答えよう! 魔法を習得した! その名も〈スター・ストライク〉だ! ナナが選んでくれた!」


「どういう魔法なんだ?」


「星を飛ばすんだ! 思ったよりもデカい星だったぜ! 威力も想像以上だった! Fランクとは思えねぇ魔法だ!」


「補足しますと、吉岡くんはユニークスキル【オール・レジェンド】の効果により、最初からレジェンド級の習熟度で使用できます」


 佐伯が俺以外のメンバーに向けて言った。


「とはいえ、Fランクの魔法でも極めれば相当な強さであることはわかった」


 相良が言うと、その傍に座っている黒瀬が「習得する価値はある」と頷いた。


「あ、あの、レジェンド級を前提に習得するのはオススメしません。教本店の店主さんが、吉岡先輩にそう言っていました」


「補足すると、教本店の婆さんは俺のユニークスキルのことを知らない!」


「店主さんの認識は正しいです。セラさんの説明でも、マスター級やレジェンド級の習熟度に到達するのは、極めて難しいとのことでした」


「ナナの説明に、吉岡くんと佐伯が補足したわね」とリカが笑う。


「……珍しい光景」


 ミオの口元にも笑みがこぼれる。


「霧島隊が戻っていないけど、報告を進めていこうぜ! 霧島隊が気にするのは、どうせ吉岡隊の報告だけだろうしな!」


 相良が「そうだな」とうなずき、佐伯も「異論はありません」と続いた。


「実は、相良隊と佐伯隊の報告はすでに出そろっている。どちらも第1全8だ」


「おー! 全8いけたんか! すごいじゃん!」


「俺の隊に関しては、カホの活躍が大きかった」


 相良が振ると、カホは少し恥ずかしそうに俺を見る。


「吉岡くんが考えた、ゴーレムにロープを持たせる作戦、今日も使ったよ。ロープ自体は道具屋で1本100Gで売ってたから、それを買ったの」


「大牙ボアが丘の途中にいたのか?」


「うん。あと、ロープはアルファウルフ戦でも役に立ったよ」


「おー! どういう風に使ったの?」


「えっとね、ホンダノットってわかる?」


「もちろんわかるぜ! 投げ縄結びのことだろ? 西部劇とかでテンガロンハットを被ったカウボーイがよくやってるやつだ!」


「そうそう。それをゴーレムたちにやってもらって、敵の動きを止めたの」


「アルファウルフの動き、すげー速いだろ? よく捕まえられたなー!」


「そこは黒瀬くんのスキルでサポートしてもらった」


「俺のユニークスキル【シャドウ・チェイン】は影から鎖を出して対象を捕まえる。ただ、拘束時間は敵の強さ次第だ。今回は倒しきるまで拘束し続けるのが難しかった。だから、俺が最初に止めて、カホのゴーレムがそれに続いた」


 黒瀬が淡々と説明する。


「色々と考えてるなー! ボスまで行ったってことは撤退計画もしっかりしてたのか?」


「そこは相良くんがいるから抜かりなかったよ」


「宮坂のユニークスキルがあったからな。昨日の吉岡隊に比べて、撤退判断で悩むことは少なかったと思う」


 相良が説明を引き継ぐ。


「宮坂のユニークスキルってどんな効果だっけ?」


 俺は佐伯を見た。


「佐伯さんじゃなくて俺に聞けばいいだろ」


 宮坂が不機嫌そうに反応する。

 続けて、スキルについて話し始めた。

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【ノクターン】異世界ゆるっとサバイバル生活
~学校の皆と異世界の無人島に転移したけど俺だけ楽勝です~
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『異世界ゆるっとサバイバル生活』
異世界ゆるっとサバイバル生活 第1巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第2巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第3巻
異世界ゆるっとサバイバル生活 第4巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第5巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第6巻
『成り上がり英雄の無人島奇譚』
成り上がり英雄の無人島奇譚 第1巻 成り上がり英雄の無人島奇譚 第2巻 成り上がり英雄の無人島奇譚 第3巻
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