030 攻略証明
「見ろよ、ナナ! カマキリが飛んでるぞ! それもデッケェ!」
「見てます! でも、見てる場合じゃありませんよ! 早く迎撃態勢をとらないと!」
「分かってらぁ! それ! 吉岡式レジェンドスター!」
俺はカッコイイ技名を叫びながら〈スター・ストライク〉を発動した。
星は突っ込んでくる巨大カマキリに向かって飛ぶが――。
くるりんっ!
なんと白樹マンティスは体を回転させて攻撃を避けた。
「すごいな、アイツ! そんなこともできるのかよ!」
「吉岡先輩! 敵が攻撃してきます!」
ナナの言葉どおり、マンティスが攻撃態勢に入った。
俺との間合いを詰め切り、巨大な鎌と化した両腕を振り回す。
その速度は凄まじく――。
ガキンッ!
「吉岡先輩!?」
「平気だ!」
俺はマンティスの攻撃をトンファーで受け止めた。
「ナナ、コイツは俺が仕留める! お前はアラクネを警戒していろ!」
「は、はい!」
俺は素早く脳内で戦い方を組み立てる。
(思ったより厄介だな)
マンティスの強みは攻撃速度だ。
さながらプロボクサーのような手数で攻めてくる。
こちらは防戦一方で、反撃の隙を与えてもらえない。
(ユニークスキルのおかげでどうにかなっているけど、戦闘経験が圧倒的に足りていないな)
敵の攻撃をしのぎながら冷静に分析する。
体の動きは、完全に脳と連動している。
レジェンド級に相応しい動きだ。
しかし、脳みそのほうが追いついていない。
敵の攻撃を防ぐイメージはできても、反撃のイメージが浮かばない。
(所詮、俺はサバイバル経験がちょっと豊富なだけの大学生ってことか)
思わず「ふっ」と笑ってしまう。
先ほどまでの万能感が薄れていくような気がした。
だが、そう感じたことで閃いた。
「攻撃に使えるのは手だけではない! くらえ!」
今のセリフなら、普通はトンファーキックを思い浮かべるだろう。
しかし、俺の出した答えは違った。
「ギィヤアァアアアアアアア!」
マンティスの悲鳴が響く。
奴の左腕が付け根から吹き飛んでいた。
「どうだ! この距離なら避けられまい!」
そう、俺は〈スター・ストライク〉を発動したのだ。
怒りのゼロ距離射撃である。
「吉岡先輩!」
「どうした!? アラクネか!?」
「い、いえ、すごいなと思って……すみません、まぎらわしかったです」
「謝らなくていい! そこはテンションで乗り切れ! 時は来た!」
片腕を失ったマンティスなどザコも同然だ。
「いくぜ! 吉岡流トンファー術! 二の型! フルボッコ! チェストォオオオオオオオオ!!!!!!!!!」
俺は怒濤のトンファー連撃をマンティスに浴びせる。
巨大な体を殴って殴って殴りまくる。
「ギアッ! ギアアアッ!」
「これで――」
俺は右手のトンファーをマンティスの腹に突き刺し――。
「――トドメだ!」
〈スター・ストライク〉を発動した。
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【戦闘結果ログ】
討伐:白樹マンティス×1
PT:2人 人数補正:90%
獲得:81G / 81EXP
所持金:997G → 1,078G
レベル:Lv.4
経験値:405 → 486/600EXP
依頼進捗:白樹マンティス討伐 1/1・達成
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ログが表示され、マンティスが魔石になる。
「過去1楽な狩りだと思いきや、過去1危ない場面があったな」
俺は「ふぅ」と息を吐きながら魔石を拾う。
「吉岡先輩、すごかったです! あと、敵の気配はありません!」
「了解! よし、進もう! キスはまた今度な!」
「うぅ……わかりました……!」
ナナは残念そうにしつつも、反対はしなかった。
◇
マンティスと違い、アラクネは迎撃タイプだった。
しばらく進んだ先にアーチ状の木があり、そこに巣を張っていたのだ。
巣は何重にも張り巡らされ、近づくことすら許さない構えだった。
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【戦闘結果ログ】
討伐:白樹アラクネ×1
PT:2人 人数補正:90%
獲得:126G / 117EXP
所持金:1,078G → 1,204G
レベル:Lv.4 → Lv.5
経験値:486 → 3/640EXP
依頼進捗:白樹アラクネ討伐 1/1・達成
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――が、何ら問題にならなかった。
安全距離から〈スター・ストライク〉を連発して終わりだ。
アラクネ自体はマンティスよりも明らかに弱かった。
「どうやら俺たちは待つタイプの敵と相性がいいみたいだな!」
「ですね! 今回は本当に楽勝でした!」
「過去1楽な危険個体だったと思うわ」と俺も笑う。
そんなこんなで進むと、ナナのレーダーが反応した。
ボスの名は白樹トレント。
名前からして迎撃タイプの敵だが――。
「グォォ!」
案の定、迎撃タイプだった。
林の奥にあるご神木のような木がボスだ。
その場から動くことなくどっしり待ち構えている。
「あのボス、リカ先輩のユニークスキルと相性がよさそうです」
「そうなのか」
「はい。リカ先輩のスキルは動かない敵に強いタイプなんです」
「なるほど。だが、動かない敵に強いのはリカだけじゃないぜ」
俺は少しずつ距離を詰める。
「よし、ナナ、ここから矢を射かけてみろ。敵がどう反応するか調べるぞ」
約30メートルの距離で止まった。
「かなり離れていますよ? この距離ではダメージが入りにくいかもしれません」
「かまわんさ」
「わかりました」
ナナがクロスボウの射角を斜め上にして矢を放った。
矢は山なりに飛び、ボスに軽く突き刺さる。
「グォオオオオオオオオオオ!」
ボスが吠え、本体のみならず周囲の木々も動かす。
地上からは枝、地中からは木の根が襲いかかってくる。
しかし、ここは敵の射程外だった。
10メートルほど前方で攻撃が止まっている。
「敵の射程は約20メートルみたいだな」
「はい。攻撃方法もわかりましたね。何か作戦を考えますか?」
「いや、ゴリ押しでいいだろう」
「え?」
「奴はどうやら動けない。動けるなら近づいて攻撃していたはずだ。つまり、スタストを好きなだけぶっ込めるってことだ! 見てな。俺がソロで倒してくるぜ!」
「わかりました!」
そう元気よく頷いたナナだが、いざ俺が戦闘を開始すると――。
「吉岡先輩、このままだと私、有効参加条件を満たせないかもしれません!」
第2階層の攻略証明について言っているのだろう。
「有効参加条件は戦闘に貢献することだ。俺の予想では、君も取得できる!」
俺はそのまま戦闘を進める。
敵の攻撃は先ほど見たので、回避することは容易だ。
無論、回避しながら〈スター・ストライク〉を撃ち込むことも。
そして――。
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【戦闘結果ログ】
討伐:白樹トレント×1
PT:2人 人数補正:90%
獲得:612G / 360EXP
所持金:1,204G → 1,816G
レベル:Lv.5
経験値:3 → 363/640EXP
依頼進捗:白樹トレント討伐 1/1・達成
攻略証明:第2階層・取得
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問題なく白樹トレントを撃破した。
「こっちは攻略証明を取得できたよ。そっちはどうだ?」
「取得できています! 私、何もしていないのに……どうして……?」
ナナが不思議がっている。




