017 新兵たちの戦い
サキのユニークスキルは強力だが、本当に惜しかった。
「触れたら一人ハーレムを実現できたのに!!!!!!」
「そこ!?」
ユズが吹き出した。
「吉岡くん、発想の方向がわかりやすすぎる」とサキも笑う。
「戦闘に集中!」
カホが注意する。
「サキのせいで怒られたじゃないか! まぁいい! 俺は見ているから四人で倒しなさい! 戦闘訓練だ!」
「了解! えいっ!」
結局、最初に敵を倒したのはユズだった。
小さな体を最大限に生かし、胸を揺らしながら敵を貫く。
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討伐:青芽ネリュム×1
PT:5人 人数補正:60%
獲得:12G / 12EXP
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「ユズ、やるじゃん。私も負けてられないね」
次にサキが敵を倒す。
サキの幻影に困惑する敵を、側面から安全に仕留めていた。
思ったよりも慎重な戦い方だ。
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討伐:青芽ネリュム×1
PT:5人 人数補正:60%
獲得:12G / 12EXP
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「お、俺だって!」
早川も頑張っている。
昨日と違い、きっちり短剣で敵を斬った。
相手が最弱のスライム系なので、強気になれたのだろう。
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討伐:青芽ネリュム×1
PT:5人 人数補正:60%
獲得:12G / 12EXP
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「サキの敵、いただき!」
「あ、ユズ、ずるっ!」
「連携プレイでーす!」
サクッと2体目を倒したユズが、さらに3体目も倒す。
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討伐:青芽ネリュム×2
PT:5人 人数補正:60%
獲得:24G / 24EXP
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これで残るはカホと対峙している1体だけだ。
「なんでそんなに戦えるの……」
カホはネリュム相手にビクビクしていた。
昨日の梶原を思い出す。
「大丈夫だよ、カホ! この敵、弱いから!」
ユズが声援を送る。
サキと早川も手を出さずに見守っていた。
「そう言われても、相手は魔物なんだから……」
カホは敵との間合いを保ったまま動けない。
対するネリュムも、カホを警戒して止まっていた。
仲間が瞬殺されたことで、明らかに怯えている。
「カホ、いけ! そのハンマーで敵をかち割ってやれ!」
「私の武器、ハンマーじゃなくて斧だよ」
「そこを拾う余裕があるなら平気だ!」
「うっ……。危なくなったら守ってよ、吉岡くん」
「おう! 任せろ! トンファー吉岡、いつでもいけるぜ!」
俺はトンファーを構えた。
それを横目で見たカホは、意を決して飛び込んだ。
「ごめんなさい!」
何に対して謝ったのかは不明だが、彼女の一撃はネリュムを捉えた。
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討伐:青芽ネリュム×1
PT:5人 人数補正:60%
獲得:12G / 12EXP
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討伐ログが表示される。
「やった……! やった! 私、倒した! 魔物、倒した!」
カホが嬉しそうに声を弾ませる。
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【戦闘結果ログ】
討伐:青芽ネリュム×6
PT:5人 人数補正:60%
獲得:72G / 72EXP
所持金:2,257G → 2,329G
レベル:Lv.2
経験値:284 → 356/530EXP
依頼進捗:青芽ネリュム討伐 6/6・達成
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戦闘が終了し、結果ログも表示された。
「やったな、カホ! これで一つ成長した!」
「おめでとうカホ!」
「私も初めての戦闘だったけど、カホに全部持って行かれた! おめでとう!」
「カホ先輩、おめでとうございます!」
ネリュム1体を倒しただけだが、それでもカホにとっては大きな前進だ。
俺たちは拍手でカホを祝った。
「ありがとう。この中だと私が最年長だし、唯一の三年なんだから、もっと頑張らないとね」
カホは恥ずかしそうに笑いつつ、気を引き締めた。
◇
その後の戦闘はサクサク進んだ。
「アチョオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!」
「チェストオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!」
「レジェンドトンファーアターック!!!!!!!!!」
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【戦闘結果ログ】
討伐:草角ラビット×5 / 青羽コッコ×4 /
土くれゴブリン×3
PT:5人 人数補正:60%
獲得:234G / 204EXP
所持金:2,329G → 2,563G
レベル:Lv.2 → Lv.3
経験値:356 → 30/570EXP
依頼進捗:草角ラビット討伐 5/5・達成
依頼進捗:青羽コッコ討伐 4/4・達成
依頼進捗:土くれゴブリン討伐 3/3・達成
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今回は相手が10体を超える集団だったので、俺も参加した。
ユズと早川のスキルも解禁して、危なげなく勝利する。
俺、ユズ、早川のレベルは2から3に上がった。
サキとカホはまだレベル1のままだ。
「よし、ここで休憩だ!」
俺たちは川辺で休憩することにした。
「吉岡くん、もし川の水を飲むなら煮沸しなよ」
カホが背負い袋から竹製の水筒を取り出す。
背負い袋と同じく、ギルドでレンタルできるものだ。
朝、俺とユズを待っている間に借りていた。
俺たちの分もレンタル済みで、すでに受け取っている。
「煮沸しなくても飲めるって冊子の階層情報に書いてあったぞ」
俺は水筒の水をグビグビ飲む。
この水はメビウスの井戸で汲んだ飲み水だ。
「日本人基準では飲めるかどうかわからないでしょ」
「カホって、本当に用心深いよね」
サキが苦笑する。
「誰かがしっかりしないとダメでしょ?」
カホは真面目な顔で返す。
「ま、俺は煮沸しないけどな! いざとなったら治療所でポンだ!」
「治療所でポン!」
ユズが俺の発言を繰り返す。
どうやら今のフレーズが気に入ったようだ。
「吉岡先輩、今日の俺はどうっすか!? 昨日より活躍していますよ!」
早川が話題を変えた。
「ぼちぼちだな!」
「ぼちぼち!? バリバリの間違いっすよね!?」
「いや、ひいき目に見てもぼちぼちだ! なぜならユズとサキのほうが戦えている!」
「それは……否定できないっすね……」
「私ら二年生コンビ、優秀なんだって!」
ユズが声を弾ませる。
「吉岡くんも二年だし……来るか!? 二年生ブーム!」とサキが応じる。
実際、ユズとサキの活躍には目を見張るものがあった。
どちらにも共通しているのは、魔物を恐れていないということだ。
冷静に敵の動きを見て、落ち着いて対応できている。
ただし……。
「ユズは爆弾の投げすぎに注意だな!」
「足りないよりいいじゃん!」
ユズはとにかく果実爆弾を投げたがった。
「爆弾は1個目を作った時点からクールタイムのカウントが始まる。だから、1個目を早めに作っておいて、2個目以降をクールタイムが終わる直前に量産する……という作戦もある。でも、ユズは速攻で5個全部投げるからなぁ」
「だって爆発するの面白いんだもん! ボムは可愛いし!」
「でも、威力自体は見た目に反して控えめだよね」
サキの言葉に、カホが「それは思った」と頷いた。
「さっきの戦いでも、火力というより妨害面での貢献が大きかったね。敵を凍らせたり、煙で目隠ししたり」
「昨日は魚を焼くのにも使ったしな!」
「つまり便利なスキルってこと!」と、ユズは笑みを浮かべた。
「あと、吉岡くんは攻撃のたびに叫びすぎ」
カホが呆れ顔で笑う。
「昨日のユズの報告が盛ってないってわかるくらい叫んでたよね」とサキもウケている。
「でも、吉岡先輩はやっぱり強いです! さっきもほとんど一人で倒したし!」
「まさにオールレジェンドの吉岡に相応しい活躍だ! うははは!」
俺は豪快に笑い、「ところで……」と林に目を向けた。
「今日はまだ若葉ウルフと遭遇していないんだよな」
さっきの戦いでは、ラビット、コッコ、ゴブリンの集団が相手だった。
ラビットとコッコは草原にいて、ゴブリンは林から駆けつけてきた。
若葉ウルフは今のところ見かけていない。
「若葉ウルフって、霧島が手も足も出なかった敵だっけ?」とサキ。
「そうそう。連携して戦うっぽいよ」
カホが頷く。
「昨日は吉岡先輩があっさり倒したから、本当の強さが不明っすね」
「草原にいなかったし、戦うなら林の中になりそうだな」
そんな俺の言葉に呼応するように、林の奥から獣のうなり声が聞こえた。
「ガルゥ……!」
大型のオオカミが真っ赤な目をぎらつかせ、遠巻きにこちらを睨んでいる。
危険個体の牙群れアルファウルフだ。
そして、その後ろには4体の若葉ウルフも控えていた。




