↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界まったり冒険者生活 ~女好きの俺、サークルのみんなと異世界に転移する~  作者: 絢乃


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/20

015 契約遵守

 ギルドを出た俺とユズは、宿屋を探して冒険者区画を歩いた。


「思えば、この世界の都市を散策するのはこれが初めてだな」


「ねー! なんかマドリードみたいな場所だね!」


「そうか? 俺にはシチリアっぽく感じたが」


「ジブラルタルっぽいかも!」


「いや、アマルフィっぽいだろ」


 バラバラではあるけれど、方向性は明確だ。

 俺はイタリアっぽく感じ、ユズはスペインっぽく感じている。


「ちなみにユズ、スペインに行った経験は?」


「ないよー! 吉岡くんはイタリアに行った経験ある?」


「ないぜ!」


 二人とも雰囲気で言っているだけだった。


「要するにヨーロッパっぽいってことだね!」


 というユズのまとめが、おそらく一番正しい。

 そんな場所を俺とユズは歩き、見て回っていた。


「それにしても、まるで京都を歩いているかのような区画整理だな」


 芸術的とすら言える完璧な区画整理によって、放射状に大通りが延びている。

 それらの通りを細道がつなぎ、さながら蜘蛛の巣のようになっていた。


「相良か佐伯さんか忘れたけど、どっちかの言っていたとおり宿屋が多いな」


 冒険者区画には、主に以下の店舗が軒を連ねていた。

 ・宿屋

 ・酒場などの飲食店

 ・武器屋

 ・防具屋

 ・補助魔導具屋

 ・教本店

 ・公衆浴場


 とりわけ多いのが宿屋だ。

 どの通りにも必ず宿屋が存在している。


 それだけ冒険者の数が多いということだろう。

 実際、どこを歩いても知らない冒険者とすれ違う。

 冒険者かそうでないかは、装備の有無で判断している。


 また、部屋のタイプによって店が分かれていることも確認できた。

 事前情報どおりだ。


「個室にも種類があるんだねー!」


「冊子に書いてあったが、個室は全部で三段階あるはずだ」


 今回、俺たちが泊まる予定なのは最低ランクの一般個室宿だ。

 その上には上質とスイートが存在している。

 どちらも今の俺たちには縁のない価格帯だ。


「これだけあると迷っちゃうねー!」


 同じ一般個室宿でも、店の外観は様々だった。

 シンプルなデザインもあれば、派手なデザインもある。


「よし、ここにしようぜ!」


 そんな中、俺が選んだのは――。


「すっごい派手! さすが吉岡くん!」


 ――まるでラブホのような派手さの宿屋だった。


「どうせなら派手なほうがいいだろ! 吉岡隊長は派手な男だ!」


「たしかに吉岡くんっぽい! いいよー!」


 ユズの同意も得たので、俺たちはラブホっぽい個室宿に入った。


 ◇


 交渉の必要もなく、俺たちの折半はあっさり通った。


—--------------------------

【支払ログ】

宿泊:一般個室

支出:1,400G

所持金:4,007G → 2,607G

—--------------------------


「個室を折半で利用? ああ、問題ないよ。これが鍵だ。2階の突き当たりだよ」


 受付のおばさんが怠そうな顔で鍵を渡してくる。

 この時点では、宿選びを間違えたかと思った。


「ウチは上質宿じゃない。大きな声は他の部屋に響くからほどほどにな」


 この一言で当たりだと確信した。

 やはり、そういう用途での使用が多いのだろう。


 階段を上がって部屋に向かう。

 その最中、いろいろな部屋から声が漏れ聞こえていた。


 セリフまでははっきりわからない。

 ただ、ユズの顔は光の速さで赤く染まっていた。


「よ、吉岡くん! 契約! 契約したからね!?」


「わかってるって!」


 俺は軽い調子で答え、部屋の鍵を開けて中に入る。

 部屋はこれまた典型的なラブホといった感じだ。


 ダブルサイズのベッドが部屋の真ん中にポツンとある。

 壁際には小さなテーブルや〈洗濯クローゼット〉が設置されていた。


 洗濯クローゼットは、地球でいうところの洗濯乾燥機に該当する。

 衣類や防具をそこにぶち込んで閉めると、次の瞬間には綺麗になる代物だ。

 冒険者専門店の宿屋にのみ設置されている。


「浴室は……いい感じじゃないか!」


 石造りの浴槽は、二人で入れる程度の広さがある。

 シャワーや洗剤もあり、衛生面は現代日本と同水準を維持できそうだ。

 

「では、最初に契約を復唱・再確認しよう!」


 浴室の確認が終わると、俺は右の人差し指を立てながら言った。


「エッチなことはユズが求めない限り(・・・・・・・・・)ダメ! 風呂はユズが先! ベッドダイブもユズが先! 他にもユズがあとからダメといったものはダメ! 以上である! よろしいかな!?」


「よろしい!」とユズが安心したように頷く。


「不安がるでない! 俺――吉岡は契約を遵守する! そういう男だ!」


「絶対だよ? もし契約を破ったら、吉岡くんのこと嫌いになるから! みんなにも言うからね!」


 ユズが強く念押ししてくる。


「わかっているさ! さあ、ユズ隊員、思い切ってベッドにダイブするがいい!」


「わかった!」


 ユズはクローゼットに装備を入れると、「えいっ!」とベッドにダイブした。


「うわー、すごいふかふか!」


「おお、本当か! では次は俺だ!」


 俺もユズの隣にダイブし、「マジでふかふかじゃん!」と声を弾ませる。


「これで契約を一つ守ったね、吉岡くん!」


 ユズが顔をこちらに向けてニッと笑う。


「全部守るさ!」


 その後も俺は、徹底的に契約を遵守し続けた。


 ただし、ただ守るだけではない。

 あの手この手で焦らし、その気にさせていく。


 そして最後は――ユズの求めに応じて、肉体関係を結んだ。

 詳細な内容については、大人の事情により伏せておく。


 ◇


 次の日――。


 朝、目を覚ますと、ユズが隣で眠っていた。

 俺の腕を枕代わりにして、すやすやと気持ちよさそうだ。


(今は何時だ?)


 ユズの頭を撫でながら、壁に掛かっている時計を確認する。


「やっば! もう10時じゃん!」


 今日は早川、サキ、カホも含めた五人で狩りに行く日だ。

 朝にギルドの食堂で集合する約束になっている。

 細かい時間は指定していないものの、明らかにまずい。


「ユズ、起きろ! もう10時だぞ!」


 俺はユズの頬をぷにぷにして強引に起こす。


「ふぇ……? 吉岡くん……? そっか、私、昨日……」


 目を覚ましたユズは、少しずつ昨日の記憶を蘇らせていく。

 それにつれて、彼女の顔はポッと赤く染まった。


「できれば朝からイチャイチャしたいが、もう10時だ! ユズ、急ごう!」


「え、もう10時なの!? じゃあ、急がないと!」


 ユズも状況を把握し、慌てて動き出した。

 二人して顔を洗い、クローゼットから全ての衣類を取り出す。

 防具もしっかり装備して、準備万端だ。


「行くぞ、ユズ隊員!」


「了解であります!」


 と言ったユズだが、部屋を出ようとしたところで「待って!」と止めてきた。


「吉岡くん、昨夜の件だけど、その……」


 ユズがもじもじしている。

 ここはせかすタイミングではない。

 俺は何も言わずに次の言葉を待った。


「エッチしたけど、でも、吉岡くんと私は友達……なんだよね?」


「そうだよ。俺とユズはエッチしたけど友達だ。俺の言い方で言うところの特例的措置ってやつだね」


「そっか……」


 ユズが残念そうにする。


「友達だと嫌なのかい?」


「ただの友達は嫌かも……だって、エッチしちゃったし……」


「でも、セックスフレンドという呼称はもっと嫌なんだよな?」


「うん。それはもっと嫌! なんか体目当てって感じがするもん!」


「かといって、俺は好色家のハーレム志望だから、一人とは付き合えないぞ」


「それはわかってる。恋人にしてって言う気はないよ」


「なるほど。そしたら……俺たちの関係性は『すごく仲のいい友達』だ!」


 ユズが「なにそれ」と吹き出した。


「親友とは違うの?」


「親友とは違う! 親友の定義は人によるが、俺の場合は1名限定であり、その枠にはネトゲ仲間のよしぽっぽがいる!」


「ネトゲ仲間のよしぽっぽが親友なの!?」


「そうだ! だから親友枠は空いていない! よって、君と俺の関係性は『すごく仲のいい友達』だ!」


「わかった! じゃあ、私と吉岡くんはすごく仲のいい友達ね!」


「約束だ!」


 ユズと握手を交わす。


「よし、行こう! カホの第一声を予想しながら!」


「うん! 私は『遅い』だと思う!」


「俺は『おはよう』だと思う!」


「そっか! 挨拶があった!」


「だが、『遅い』も有力候補だ! では、確認の時間だ!」


 俺たちは宿屋を飛び出し、ギルドに向かった。

 ギルドに着くと迷うことなく食堂へ向かう。


「やっぱり揃っているな」


 カホ、サキ、早川の三人はすでに食堂に集まっていた。

 三人とも、遠くから近づく俺たちに気づいている。


 サキは呆れたように笑い、早川はなぜか楽しそうだ。

 そして、カホの顔は明らかに不機嫌そうである。


 そんな三人に俺たちが近づく。

 すると、カホは俺を見てこう言った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【コミカライズ作品】
▲ 画像クリックで漫画サイトへ ▲
▼ 書籍化作品 ▼
【ノクターン】異世界ゆるっとサバイバル生活
~学校の皆と異世界の無人島に転移したけど俺だけ楽勝です~
▼ 代表作 ▼
『異世界ゆるっとサバイバル生活』
異世界ゆるっとサバイバル生活 第1巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第2巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第3巻
異世界ゆるっとサバイバル生活 第4巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第5巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第6巻
『成り上がり英雄の無人島奇譚』
成り上がり英雄の無人島奇譚 第1巻 成り上がり英雄の無人島奇譚 第2巻 成り上がり英雄の無人島奇譚 第3巻
成り上がり英雄の無人島奇譚 第4巻 成り上がり英雄の無人島奇譚 第5巻
▲ 各書影をクリックで各巻の公式ページへ ▲
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。