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異世界まったり冒険者生活 ~女好きの俺、サークルのみんなと異世界に転移する~  作者: 絢乃


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012 攻略証明と二つの補正

「戻るのが遅いからといって、霧島がダンジョンで苦戦しているとは限らない」


 口を開いたのは黒瀬だ。

 腕を組み、鋭い目つきで俺を見ている。

 普段ならこれで彼の話は終わるのだが、今回は続きがあった。


「俺たちがここで待っていると知らない可能性もある」


「なるほどなー。すでに戻って宿屋で休んでいるかもしれないわけか」


 俺の言葉に、ユズが「私たちを探して迷子になってるのかも!」と笑う。


 黒瀬の発言で、皆の不安がいくらか和らいだ。


「佐伯さん、霧島の状態を確認する方法ってないの?」


「セラさんからは、そのような方法は聞いていません」


「ギルドの受付で聞いてみるか」と相良が立ち上がる。


 そして彼は、あまりにもさりげなくこう続けた。


「リカ、ついてきてくれ」


 相良はサークルの代表として公平な男だが、リカのことに限っては私情が入る。

 とはいえ、それで判断を大きく変えることはない。

 ちなみに、俺がリカに話しかけると、相良は少しだけムッとする。


「いいわよ」


 リカは立ち上がり、相良と二人で受付のほうへ向かった。


「さて、ただ待っていても退屈だし、何かしようぜ! せっかくだし、みんなのユニークスキルを教え合う?」


「それもいいけど、吉岡くんたち短縮説明組は冊子を熟読しておいてね」


 カホが立ち上がり、俺たち四人の前に冊子を一冊ずつ置いた。

 佐伯が持っていたものと同じだ。

 表紙には『メビウス大百科』と書いてある。

 タイトルの割には薄かった。


「タイトル負けしてるけど、情報がしっかり載ってるなー」


「ねー! 攻略証明のことも書いてあるよ!」


 ユズが「ほら!」と、手にした冊子を俺のほうへ向ける。


「お、本当だ。どれどれ……」


 俺も攻略証明の項目を読む。

 それによると、攻略証明はある種の称号のようなものらしい。


 通貨と同じく無形である。

 確認方法は……やっぱり念じることだった。

 同じPTメンバーの取得状況は、ギルドの受付で確認可能だ。

 攻略証明書のようなものを発行してもらうこともできるらしい。


 原則として、攻略証明を持っていない者だけのPTでボスを倒した場合に取得できる。

 ただし、同時転移組に限り、攻略証明を持っている者がPTにいても取得可能だ。


 つまり、こういうことである。

 俺が佐伯と組んで第1階層のボスを倒した場合、佐伯は第1階層の攻略証明を取得できる。

 一方、俺が知らない奴と組んで第1階層のボスを倒しても、そいつは攻略証明を取得できない。


「ユズ、攻略証明の項目に『有効参加条件』とやらが書いてあるぞ」


「あー、PTを組んでいても働いていなかったら攻略証明を得られないってやつだよね!」


 そう言って話に加わったのはサキだ。

 有効参加条件の意味は、彼女の解釈どおりだ。

 ゲーム用語で言うところの「キャリー」や「寄生」では、攻略証明を取得できない。


「ということは、早川って攻略証明を取得できていないの?」


 俺が尋ねると、早川は「俺っすか!?」と驚いた。


「今日のポンコツ枠は梶原先輩だと思ったのに! ひどいっすよ、吉岡先輩!」


「ポンコツ枠ってなんだよ。ちょっと魔物にビビっただけだろ」と梶原が眉をひそめる。


「で、ぶっちゃけどうなんだ? ボス戦に限って言えば、梶原は明確に有効参加条件を満たしている。最初に風刃でボスの目を潰してるからな」


「吉岡に擁護されるのは変な気分だが、そーいうこった! ポンコツじゃねぇ!」と梶原がドヤ顔をする。


「私も【ボム・フルーツ】で貢献した!」とユズが胸を叩く。


「そうそう。で、俺はレジェンド吉岡として活躍した。でも早川って、俺をユニークスキルで強化して、あとはユズの爆弾を1個投げた程度だろ? これがゲームなら寄生扱いされかねないぜ」


「たしかに……! でも、俺も攻略証明を取得しましたよ! だから、この世界では寄生じゃないわけっす!」


「これは私の推測ですが、おそらくユニークスキルで吉岡くんを強化したことが評価されたのだと思います。有効参加条件は、ボスにどれだけダメージを与えたかではなく、ボス戦にどう貢献したかが判定基準になります。極端な例ですが、ボス戦の最中に吉岡くんが倒れたとして、早川くんが吉岡くんを安全な場所に運んだだけでも、有効参加条件は満たされるはずです」


「なるほどなぁ」


 佐伯の説明に納得しつつ、攻略証明のページをじっくり読む。

 日本に帰還する条件である『全30階層の攻略』とは、厳密には全30階層の攻略証明を取得することだ。


「吉岡くんの場合、攻略証明よりランク差補正とレベル差補正を見た方がいいよー!」


 サキが自分の冊子をパラパラめくりながら言った。


「ランク差補正とレベル差補正?」


 俺は首をかしげながら該当するページを開いた。


「これか。ふむふむ……敵にはランクやレベルが設定されており、こっちの装備ランクやレベルとの差によって、ダメージに補正がかかるわけか」


「そうそう。第1階層の敵はFランク。で、私たちの装備は初期配布のものだからGランクでしょ? だから、同じレベルの相手でもランク差補正でダメージを与えにくいんだよね」


 そう言うと、サキは「吉岡くんはボスまで倒しちゃったけど」と笑った。


「やっぱりステータスの装備欄に書いてあるGは、Gランクって意味だったんだな」


 俺は改めて「ステータス」と念じてみた。


---------------------------

【名前】吉岡

【レベル】2 EXP:284/530

【所持金】4,707ゴールド

【ユニークスキル】オール・レジェンド(P)

【技能①】未登録

【技能②】未登録

【技能③】未登録

【武器】[G]初期配布のトンファー(レジェンド)

【防具】[G]初期配布の軽装備

---------------------------


 冊子の説明によると……

 ・こちらが攻撃するときは武器のランク

 ・相手から攻撃を受けるときは防具のランク

 が考慮されるそうだ。


 俺の装備はどちらもGランク。

 だから、第1階層の相手にすらマイナスの補正がかかっていた。


 レベル差補正は、もう少しざっくりしたものだ。

 レベル差が5以上になると補正が発生し、その後は5レベル刻みで補正が大きくなる。

 つまり、以下のような形になる。


 ・自分のレベル1:相手のレベル5=レベル差補正は発生しない

 ・自分のレベル1:相手のレベル6=レベル差補正小が発生する


 もちろん、相手がこちらより5レベル以上低い場合も、同様のレベル差補正が発生する。

 ランク差補正もまた然りだ。


 なお、レベル差補正は「小」「中」「大」「MAX」の4段階ある。

 レベル差が20以上になると補正はMAXになり、ランク差補正に関係なく一方的になる。


 冊子によれば、こちらより20レベル以上低い格下の攻撃は、一切通じなくなるらしい。

 逆に、こちらより20レベル以上高い格上からの攻撃は、かすり傷でも致命傷になるという。


「吉岡くんが倒したボス、レベル7だって! だから吉岡くんはランク差補正だけじゃなく、レベル差補正も覆したんだよ!」


 ユズが敵情報のページを見ながら言った。


「あのボス、アホみたいにしぶとかったよな。ボスだからそういうものかと思ったが、補正の影響もあったんだな」


「ぶっちゃけ初日に勝てる時点でヤバすぎるからね?」とサキが笑う。


「吉岡くんがボスを倒せたのは、本人の能力が高いこともさることながら、習熟度の影響が大きそうですね」


 佐伯が自分の冊子に目を落としながら言った。


「習熟度って、マスターとかエリートとか、そういうやつだよね! 俺は全部レジェンド!」


「はい。習熟度はビギナー、ノーマル、エリート、マスター、レジェンドの5段階に分かれており、主に武器や技能の練度を示す指標です」


「レジェンド級って、やっぱり大きいの? 体感でもすげーのは分かってるんだけど!」


 尋ねながら冊子を確認するが、詳しいことは書いていなかった。

 武器や技能を使いこなす度合いに応じて習熟度が上がる……というありきたりな説明だけだ。


「習熟度は、ランク差補正やレベル差補正と違い、ダメージ計算には関わりません。ただし、戦闘結果には大きく影響します。弓術がわかりやすい例ですが、同じ弓矢でも使用者の練度によって威力が大きく変わります」


「習熟度がレジェンド級の俺は、どんな武器でも性能を限界まで引き出せた。それが勝因じゃないか……ってことだね!」


「そのとおりです」


「吉岡の場合、武器や技能だけじゃなくて、作戦のイカれ具合もレジェンド級だからな」


 梶原が笑いながら言った。


「敵に刺さった槍に乗って双剣を振り回すとか、普通は閃かないよね!」とユズも笑う。


「でも俺、今日の吉岡先輩の戦い方に惹かれたっす! 俺もいつかあんな風に戦いたいっすよ!」


 早川が鼻息を荒くしながらまくし立てる。


「早川くん、君は見る目があるね! 明日も同行を許そう! ……いや、やっぱりダメだ! 危険個体を俺に押しつけて逃げていった罪を忘れていたぜ!」


「その件なら謝ったじゃないですか!」


「吉岡くん、割と根に持つタイプなんだ?」とサキ。


「だって俺は吉岡だぞ! 野郎に厳しく、イイ女に甘い! 早川は野郎! 故にギルティ!」


 早川が大げさに反応し、梶原が呆れ、サキとユズが笑う。

 そこへ――。


「ずいぶんと盛り上がっているようね。間仕切りの外まで声が聞こえているわよ?」


 フェロモンムンムンのリカが戻ってきた。

 当然ながら相良も一緒だ。


「霧島の件だが、進展があった」


 そう切り出した相良の表情を見て、誰もが悪い知らせだと察した。

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【ノクターン】異世界ゆるっとサバイバル生活
~学校の皆と異世界の無人島に転移したけど俺だけ楽勝です~
▼ 代表作 ▼
『異世界ゆるっとサバイバル生活』
異世界ゆるっとサバイバル生活 第1巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第2巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第3巻
異世界ゆるっとサバイバル生活 第4巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第5巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第6巻
『成り上がり英雄の無人島奇譚』
成り上がり英雄の無人島奇譚 第1巻 成り上がり英雄の無人島奇譚 第2巻 成り上がり英雄の無人島奇譚 第3巻
成り上がり英雄の無人島奇譚 第4巻 成り上がり英雄の無人島奇譚 第5巻
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