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104 転移9日目の報告会

 俺とミオは窓口で精算手続きを行った。


---------------------------

【依頼報酬ログ】

○第4階層

・[通常]麦穂マウス:260G

・[通常]風切りホーク:290G

・[通常]丘ゴブリン:320G

・[通常]跳ね角シープ:350G

・[通常]風草スライム:380G

・[危険]鎌羽グリフォン:430G

・[危険]暴風ワイバーン:580G

・[ボス]風車オーガ:1,010G


○第5階層

・[通常]赤砂スライム:290G

・[通常]砦ラット:330G

・[通常]錆剣ゴブリン:360G

・[通常]赤土ハウンド:390G

・[通常]石盾コボルト:420G

・[危険]破城ボア:490G

・[危険]赤砦ウォーロード:650G

・[ボス]赤砦サイクロプス:1,140G


総額:7,690G

所持金:13,032G → 20,722G

---------------------------


 まずはメインの収入源である依頼報酬が入金される。


「これだけで約7,700Gだもんなー。大きいぜ」


 ミオが頷く。


---------------------------

【魔石換金ログ】

○第4階層

・[通常]麦穂マウス:10G×6個=60G

・[通常]風切りホーク:10G×5個=50G

・[通常]丘ゴブリン:10G×4個=40G

・[通常]跳ね角シープ:30G×4個=120G

・[通常]風草スライム:30G×3個=90G

・[危険]鎌羽グリフォン:70G×1個=70G

・[危険]暴風ワイバーン:100G×1個=100G

・[ボス]風車オーガ:430G×1個=430G


○第5階層

・[通常]赤砂スライム:20G×6個=120G

・[通常]砦ラット:20G×5個=100G

・[通常]錆剣ゴブリン:20G×4個=80G

・[通常]赤土ハウンド:30G×4個=120G

・[通常]石盾コボルト:30G×3個=90G

・[危険]破城ボア:80G×1個=80G

・[危険]赤砦ウォーロード:110G×1個=110G

・[ボス]赤砦サイクロプス:490G×1個=490G


総額:2,150G

分配人数:2人

分配後:1,075G / 残余:0G

所持金:20,722G → 21,797G

---------------------------


 次に魔石の換金。

 こちらは相変わらず微々たる額だ。


「さて、報告会に行くか! エリにゃんとの会話に興奮しすぎて、いつの間にやら16時半だ!」


 俺の記憶では、ギルドに戻った時は15時40分くらいだったはず。

 精算手続きはスムーズに進んだため、待ち時間を含めても15分程度だろう。

 窓口を離れたエリナとゆっくり話せる機会に、つい長話をしてしまった。


「……ユウゴ、心配してそう」


 ミオとギルド奥の集合用スペースへ向かう。


「気にするな! 心配しているのは戸塚だけじゃないさ! さあ、ミオ、胸を張れ! ビシッと決めるぞ!」


 そんな話をしている間に、【アンチテーゼ】が借りた区画に到着した。


「待たせたな! 野郎ども! イイ女たち! 英雄の凱旋だ!」


 いつもの挨拶とともに、俺は中に入った。

 すでに全員が揃っており、俺たちが最後だった。


「……待たせた」


 ミオも頑張って胸を張った。


「おせえんだよ」


 霧島の声が飛んでくる。

 表情を見て、今日は上手くいったのだとわかった。

 放尿中のような顔をしてやがる。


「悪い悪い! エリにゃんに重要な情報を聞いていたんだ! 待たせただけの価値はあるぜ!」


 俺はいつもの席に座った。


「吉岡くん、その重要な情報について、先に教えてもらえるか?」


 相良が食いつく。


「もちろん! 神罰に関する追加の詳細情報だ!」


 そう言った瞬間、全員が真剣な表情になった。

 霧島ですら、何も言わずに聞く姿勢だ。


「この件は俺が……いや、ミオ、君が話してくれ」


「……私が?」


「今日の俺は狩りの報告をする担当だ。だから、ここの報告は君に頼む」


「わかった」


 ミオは頷き、先ほどエリナから聞いた情報を共有した。

 話が進むにつれて、皆の顔がこわばっていく。


「……以上」


 ミオが話し終えると、沈黙が場を支配した。

 少しして、相良が口を開く。


「かなり重要な情報だ。共有してもらえて助かる」


 次に佐伯がメガネをくいっと上げた。


「よく教えていただけましたね。神罰の対象や発生基準については、私も以前より詳しく知りたいと思っていました。しかし、他の受付嬢に聞いても回答を得ることはできませんでした」


「そうだったんだ? ていうか、さすが佐伯さん! ちゃっかり情報収集に奔走している!」


 俺が言うと、佐伯は「恐縮です」と口元を緩めた。


「他の受付嬢に聞くと、『そういう話は〈始祖の塔〉の職員にお願いします』と言われます。そして〈始祖の塔〉に行って質問すると、転移初日にセラさんがした説明を繰り返されるだけで、それ以上のことは教えていただけませんでした」


「なんか冒険者に対する扱い悪くない? 私ら、この世界の神にいきなり転移させられて、この世界のために体張って魔石を集めているのに」


 サキが不満そうに唇を尖らせる。

 それに対し、ユズが「だよね! おかしい!」と大きく頷いた。


「私も、その時は同じように思いました。ですが、ミオさんに共有していただいた情報を聞いて、考え方が変わりました。おそらく、〈始祖の塔〉の職員もギルドの受付嬢も、神罰を恐れているのだと思います」


「佐伯、どういう意味だ?」と相良。


「吉岡くんが女性関係を例にして尋ねた際の、エリナさんの回答がわかりやすいです。エリナさんは神罰の発生基準に関して、絶対的な条件を知っているわけではありません。なので、回答には『まず間違いなく発生する』と言えるものもあれば、『そうなる可能性が高い』、『ないとは言えない』といった表現にとどまるものもあります」


「職員や受付嬢ですら明確な基準を知らない。だから、余計なことは言えない……ということか」


 黒瀬が言うと、佐伯は「私はそう考えます」と頷いた。


「これは私の推測ですが、神罰は冒険者の行動を管理・制限するための制度に思えます。メビウス人も含めた全人類の治安を維持するためではなく、冒険者を都市内で暴走させないために作られた……というのが私の見方になります。それが正しいかはわかりませんが、そう考えれば、冒険者区画内に限ってメビウス人も神罰の対象になることに、筋が通ります」


「どういうことだよ」と霧島。


「冒険者区画内のメビウス人も神罰の対象外だった場合、この区画内にも冒険者を騙そうとするメビウス人がいるでしょうし、実際に被害も出るはずです。そうなると、冒険者の意欲は今までよりも低下し、魔石の調達効率も下がるでしょう。騙された冒険者が反撃しようとして、神罰を受ける事態も起こり得ます。そうした状況を避けるために、冒険者区画内だけ平等な条件にしている……と私は考えています」


「不愉快な話だな」


 霧島が舌打ちする。


「だが、帰還できるようになるまで、定められたルールに従うしかない。吉岡くん、ミオ、神罰の詳細を教えてくれてありがとう。神罰の判定基準についてわかったのは非常に大きい」


 相良が話をまとめた。


「いいってことだ! それから佐伯さん、エリにゃんは窓口対応中以外なら可能な範囲で質問に答えてくれるっぽい! 何かあればエリにゃんに尋ねて!」


「わかりました。ありがとうございます」


「こちらこそ! そんなわけで、霧島ァ!」


「なんだよ、うるせえ」


「待たせた分の仕事はしただろ! 報告会を始めようぜ!」


「ふん。今回は評価してやる」


 見るからに上機嫌な霧島は、嫌味すら言わなかった。


「なら、今日は俺の隊から順に時計回りに報告していこう」


「相良隊、霧島隊、戸塚隊、サキ隊、吉岡隊の順ですね」と佐伯が補足する。


 相良は頷くと、報告を始めた。


「俺たちは第2、第3、第4を全8だ。第4から始めて順に下の階層へ流れていった。すでに知り尽くした階層だから、取り立てて詳しく話すこともない。全員が機能し、危なげなくこなした」


 相良が飾り気のない報告で済ませる。


「次は俺だ」


 そう言うと、霧島は口元を歪めた。


「俺たち霧島隊は第4と第5を全8だ。第5から攻めた。今日も失敗したらだせえから、時間をかけて安全に攻略した」


「おー! やるじゃないか、霧島! さすがだな! どういう作戦でウォーロードとボスを倒したんだ?」


「焦るな。今から話す」


 霧島は嬉しさを隠しきれない様子で言った。


「最初に結果だけ言うと、採用したのは吉岡の案だ。別に俺の案が吉岡の案に劣っていたわけじゃねえ。梶原が吉岡の案を試してみたいっつったから採用しただけだ。それに、城壁の耐久度が思った以上に高かった。戦う前に検証したが、ウォーロードの火球やサイクロプスの投石を受けてもビクともしない」


「ほう? 俺の案を採用したのに上機嫌なのか! 何があったんだ?」


「別に上機嫌じゃねえよ」


「いやー、霧島さん、隠しきれてないって」


 梶原が苦笑する。


「霧島が上機嫌なのは、活躍する場面が多かったからだ。敵の待ち伏せを見破ったのも、ボスを倒せたのも、今日は霧島が頑張ったからだ。その分、俺の見せ場がなかったけどな」


 宮坂が面白くなさそうに腕を組む。


「見せ場なんかどうでもいい。結果が全てだろ」


「お前はそうかもしれないが、俺はスミレが全てだ。結果が全てなら俺に譲れよ」


 宮坂が真顔で返すと、霧島は「あーうぜえ」と流した。

 そうやって流すあたり、本当に今日は活躍したようだ。

 俺がニコニコしていると、霧島が舌打ちした。


「第4の詳細は不要だろ。昨日も攻略してるし、問題は起きていねえ」


 霧島隊の報告もサクッと終わり、報告の順番が戸塚隊に移る。


「戸塚、お前は今日も第2~第4のザコ退治ツアーか?」


 霧島が煽るように嘲笑う。

 しかし、今日は上機嫌なのでトゲがない。

 対する戸塚は、いつもより怖い顔で霧島を見た。


「たしかに、俺たちは今日も第2~第4の通常種5種のみを倒した。だが、今日はそれだけじゃない。いつもより早く出発した。だから、第1も全8している。明日は第5に挑戦する予定だ」


「ず、ずいぶんとやる気じゃねえか。ミオが吉岡に取られた瞬間、覚醒したのか?」


 戸塚の勢いに気圧されて、霧島のセリフが詰まり気味になる。

 その時点で、普段とは違う空気が漂い始めていた。

 しかし、次の瞬間、空気が明確に変わった。


「そうだ」


 戸塚が断言する。

 カホは複雑な顔をした。

 佐伯は無表情だが、ご機嫌そうには見えない。


「……ユウゴ、どうして」


 ミオがつらそうな顔で戸塚を見た。

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【ノクターン】異世界ゆるっとサバイバル生活
~学校の皆と異世界の無人島に転移したけど俺だけ楽勝です~
▼ 代表作 ▼
『異世界ゆるっとサバイバル生活』
異世界ゆるっとサバイバル生活 第1巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第2巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第3巻
異世界ゆるっとサバイバル生活 第4巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第5巻 異世界ゆるっとサバイバル生活 第6巻
『成り上がり英雄の無人島奇譚』
成り上がり英雄の無人島奇譚 第1巻 成り上がり英雄の無人島奇譚 第2巻 成り上がり英雄の無人島奇譚 第3巻
成り上がり英雄の無人島奇譚 第4巻 成り上がり英雄の無人島奇譚 第5巻
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