第八十話
「やめろーーーー!!」
僕は懸命に走ったが間に合いそうもない。姫野さんは驚いた表情で両手を顔の前に出して身を守ろうとしてる、だが素手で剣の攻撃を受けることはできない。両手ごと斬られてしまう。
もうだめだ! 僕がそう思った瞬間、水口さんが弾丸のようなスピードで移動し姫野さんにタックルをする。その直後にエリノルさんの剣がギリギリ姫野さんの横を通る。
「うおおお! ナイス水口さん!」
僕は思わず叫んだ。しかし、エリノルさんは攻撃をやめない。剣を振り上げ、今度は水口さんに襲いかかる。
「黒羽殿、エリノルさんは正常に戻るまで私が相手します。あなたは魔物を!」
「わかった! マリーさん! 姫野さん! 二人はウィザードを! 僕はオークを倒す」
「了解よ!」
マリー王女がウィザードに向かっていく。
とにかく先に倒すのはウィザードだ。また、魔法で混乱させられたらまずいからな。だから、このパーティーで一番強いマリー王女に相手してもらおう。
その間、オークを押さえる! 僕は剣を構えた。
二体のオークは体長五メートルはあるだろうか、右手には大木のようなデカイ棍棒を持っている。そしてそれを振り上げ怒号を上げながらこちらに向かってきた。
ヴオオオオオ!
まず右のオークが棍棒を振り下ろすと僕はそれを軽々バク転で避ける。だが、すぐさま左にいたオークが棍棒を水平で払ってきた。
僕はその棍棒を側宙で避けると右のオークがまたも棍棒を振り下ろしてくる。
「あっぶね!」
ギリギリ紙一重でその棍棒をバク転で避けると僕はその棍棒の上に立ちそのままオークへと走った。
「どりゃああ!」
今度はこっちの番だ! 僕は剣を振り上げそして真直ぐに切り下ろすと剣はオークの右肩に刺さる。
グオオオオオオオ!!
悲鳴をあげてるオークだが、剣があまり奥に刺さっていないのでさほどのダメージはないようだった。
おいおい、随分と硬いな。僕は何度か同じところを剣で叩くように刺す。その度にオークは悲鳴をあげた。
このままなんどもぶっ刺せばそのうち…… と、思ったが、やはりそうは問屋がおろさない。もう一頭のオークが左フックを放つと僕はその左フックをモロにくらい吹っ飛んだ。
ヒューーンという音を立て吹っ飛ばされ地面にゴロゴロと転がるが、どうやら僕の方もさほどダメージはない。
「お! 武器屋で買った防具のおかげであまりダメージがないぞ」
僕は魔法を詠唱しながらオークに向かって走り出すと二体のオークは矢継ぎ早に棍棒で攻撃してくる。それをギリギリで避けながら魔法を発動する。
「烈火弾!」
デカブツめ! これでも喰らえ! 火魔法がオークに向かって飛んでいく。だが、その火魔法をオークは棍棒を盾にして防いだ。
「チィ!」
一丁前に! ならこれならどうだ! 僕はオークが水平に払ってきた棍棒を側宙で避けると同時に火魔法を放つ。放った火の玉は先ほど避けた棍棒の当たった。
ドン!と衝撃音が鳴ると払った勢いと火魔法が当たった勢いでオークは自分の棍棒を止めることが出来ずそのまま振り切った。すると振り切った先にもう一体のオークがいてその棍棒がぶち当たる。
棍棒が当たったオークは鼻から血を吹き出して倒れるとチャンスとばかりにオークに向かってジャンプした。
「死ね!」
ジャンプした勢いで潰れたオークの鼻に剣を突き刺すとオークは悲鳴をあげ、またも鼻から大量の血を吹き出す。僕はさらにグイッと剣を奥へと突き刺す。
ぎゃあああ
オークは断末魔の悲鳴をあげると白目を向いて絶命した。僕がオークが死んだことを確認し剣を引っこ抜く。
と、仲間が死んだ事を気にした様子もなく残り一体のオークが間髪入れず棍棒で攻撃してきた。それをバック転で避け地面に着地すると剣を正眼に構え僕は気合いを入れる。
「おっしゃ! まずは一匹! こいや!」




