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第七十四話


「死にさらせぇ!クソガキ!」


 フン、どうしてこうい奴らっていつも同じようなセリフで襲いかかってくるのかね。


 僕は右から襲ってくる男の真直ぐに切り下ろした剣を紙一重で避ける。そして男の手首を掴み、腕を上へ持ち上がると僕はクルリと回転しながら男の懐に入ると男の腕を折り曲げそのまま後ろに投げた。


 合気道の四方投げだ。これを食らった男は地面に背中から落ちる。


「ぐえ!」


 地面に叩きつけられた男は呻き声を上げ苦しそうに背中を押さえた。僕は顔面に左ストレートをお見舞いすると男はアッサリ気絶した。


「やってくれたなぁ!!」


 今度は真正面にいた男が袈裟斬りで斬りかかろうと向かってきた。


 僕は慌てることなく、まず自分の左足を前に出しその左足を右足でまたぐとクルリと回転し男に背を向ける。そしてそこからさらに回転してジャンプすると左太ももを上げながら今度は右足で蹴りを出した。


 その蹴りは男の顔面にヒットする。これはファイブフォーティーキックという技だ。男は後方にぶっ飛び倒れた。


 えっと、三人倒したからあと三人か…… よし、一気にカタをつけるか!


 僕は側転、側宙、側宙とアクロバティックに動きながら敵に向かう。最後にバク宙しながら蹴りを出すと敵の頭部に当たった。


「ぐぇ!」


 さらに側宙しながら左に飛ぶともう一人の男の目の前に立つと鳩尾に前蹴りを喰らわせた。そこから痛みと苦しさで前かがみになった男の顔に飛び膝蹴りをお見舞いする。


「ぐあ!」


 これで二人の男を倒した。残りは最初に僕達をつけてきた男だけだ。その男は怯えた目で僕を見ている。


「おい! まだやるか」


 僕がズイっと近づくと男は悲鳴を上げながら土下座をする。


「や、やりません! やりません! もう、降参です! すみません」


「お前、なぜ僕達の名前を知っていた。言え!」


 拳を握りながら近づくと男は情けなく悲鳴を上げながら答えた。


「ヒィィィィ。や、やめて殴らないで! た、頼まれたんです。ジャンの兄貴に! もし、ここに黒羽龍斗と姫野遥がきたら二人をさらって連れてこいって」


「なに! ジャンだと!」


「はい、ジャンの兄貴からこの似顔絵を渡されました」


 男は僕と姫野さんの顔を書いた紙を出した。


「おっと、どうやら僕の顔までバレちまってるようだな……」


「黒羽!」


 僕の名を呼ぶ声に振り返るとマリー王女と姫野さんが向かってきた。


「こいつ、ジャンの手下か」


「ああ、どうやらそのようだ」


 マリー王女が男の胸ぐらを掴んで持ち上げる。


「おい! ジャンはどこだ! 居場所を教えろ!」


「ひぃぃぃ、勘弁してください。そんなことしたらジャンの兄貴に殺されちまいます」


「おい、テメェ。ここで殺されるのとジャンに殺されるのどっちがいいんだ!」

 

 メリー王女は男の服をギュッと絞り首を締め上げる。


「グェェェ わ。わかりました。い、言います。ジャンの兄貴はアウザ山の頂上付近にいます。そこにアジトを構えて住んでいます。も、もう、許してぇ!!」


 メリー王女はおもむろに男の掴んだ手を離す。男はドスンと尻餅をつくとそのまま悲鳴を上げながら逃げていった。


「アウザ山だって…… 確かあの山は……」


 僕が呟くとマリー王女が頷く。


「ああ、あそこは最近になって魔物が多く出るようになって登山を禁止している山だ。なるほどな。アウザ山ならジャンの隠れ家にもってこいだ」


「どうする、行くか? アウザ山」


「う〜ん…… 難しいな。ジャンだけでも厄介なのに、そのアウザ山の魔物まで相手にするとなると私たち三人だけでは心許ない…… せめてヒーラーがいないと……」


「ヒーラーか……」


 僕は一人心当たりがあった。だが、あいつは教会からの指示がなければ動けない…… 僕が悩んでいると姫野さんが何かを思いついたようにハッとした顔をした。


「そうだ、ベネディクト神父に頼んで見たら、神父は確かヒーラーだったよね」


「うん、僕も神父のことが頭に浮かんだんだけど、あいつは教会の指示がなければ動けないから」


「そっか……」


 姫野さんが残念そうな顔を見せるとマリー王女が驚いた表情で僕達を見た。


「ベネディクト神父だって! お前ら神父を知っているのか!」


「あ、ああ。一度、あるダンジョンで一緒に戦ったんだ。ど、どうしたんだ?」


「安心しろ、二人とも。我がイスカグラン国の国教はラビスト教だ。当然、私も神父とは面識がある。私が言えば教会も協力してくれるだろう」


「ほんとか!」


「ああ、ベネディクト神父の実力も知っている。確かに彼なら申し分ない。よし!善は急げだ。早速、カスドルの教会に行くぞ」


「やったね! 黒羽くん!」


「うん。姫野さん」


 僕達は魔法の羽を使いすぐさまカスドルへ飛んだ。

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