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第七十三話


 僕達が異世界難民キャンプと着くと早速中に入る。


 キャンプの中は、木造で出来たボロボロの家が密集していた。そして、そのボロ家の前には汚らしい服を着た子供がお腹を空かせた顔で座っていたり、赤ん坊を背負ったまま洗濯板で洗濯をしている女性、または人相の悪い男達がたむろって酒をチビチビ飲んでいるなどしていた。


「ここが異世界難民キャンプなのね…… なんかちょっと怖い雰囲気」


「ああ、異世界難民キャンプと言っても実際は国がキャンプ地を作っただけでほとんどサポートしてないからスラム街みたくなっちゃってるんだよね」


 僕が姫野さんに説明すると、マリー王女が少し気まずい顔で僕らを見た。


「すまぬ。王族としてこの現状は恥ずかしく思うが、中々上手くいかなくてな‥…」


「あ、いや、そんなつもりで言ったんじゃないよ。こっちこそゴメン」


 確かに酷い現状だが、昔に比べたら良い方だ。僕が勇者だった時代は異世界人は奴隷にされる事が多かった。昔より断然、異世界人の待遇は良くなっている。


 少し気まずい雰囲気が流れつつも僕達は先に進む。


「一応、ここにも村長のような者がいてな。ここで一番の古株なんだ。とりあえずその人物に話を聞いてみよう」


 僕と姫野さんが頷くとその古株の人物のいる場所へと向かった。そしてしばらく歩いていると、どうやら誰かにつけられているようだ。先ほどから後ろで男が一人僕達をチラチラ見ながらついてくる。


「黒羽、気づいたか?」


「ああ、ってかバレバレの尾行だなぁ」


 どうやらマリー王女も男に気づいていたようだ。


「少し遊んでやるか…… 黒羽、そこの角を右に入るぞ」


 マリーの指示に従い、僕らは角を曲がった。そしてさらに進むと広い芝生で出た。僕達はそこで男を待った。すると尾行してきた男と一緒に五人ほどの武装した荒くれ男たちがこちらに向かってきた。


「どうやらワザとここにくるように仕向けられたようだ」


 マリー王女がニヤリと笑いながら言う。男達がニヤニヤと笑いながらこちらに向かってきた。僕は男達に声をかける。


「おい! お前ら僕達に何の用だ?」


 男達はニヤニヤ笑って答えない。その内の一人が逆に質問してきた。


「てめえ、黒羽龍斗か?」


「ん? どうやら僕と知って尾行してきたようだな……」


「黒羽龍斗と姫野遥、お前達二人に用がある。ちっとツラ貸せ」


 ほう、僕と姫野さんにねぇ…… これは面白くなってきた。


「いやだ…… と言ったら?」


 僕がそう答えると男達は「おっ!」という表情で互いに顔を見合わせる。そして僕の方を見ると凄んだ。


「だったら、ちょっと痛い思いをするかもなぁ……」


「みんな、ちょっと下がってくれ、僕が相手する」


「黒羽…… 油断するなよ」


「ああ、わかってる」

 

 マリー王女の方を向いて僕は笑顔で頷いた。そして二人が後ろに下がる。


「痛い思いするかもだって? それは僕じゃなくてお前達なんじゃないかなぁ」


 僕が挑発すると男達は怒りを露わにして各々剣を抜いた。そして走ってこちらに向かってくる。


「ガキがぁ! 舐めやがって!」


 男の一人が叫びながら僕に向かって逆袈裟を放つ。なかなか鋭い太刀筋だ。僕は咄嗟に剣を抜きそれを受けた。


 ガキンと金属がぶつかり合う音がするとそのまま鍔迫り合いの状態になる。


 ほう、なかなかの力だ。僕はグイと剣を押すと男がググっと後ろに下がる。


 男は僕が思ったより力があるので驚いているようだ。しかし、その顔もすぐに消えニヤッと笑った。


「ギャハハ!」


 突然、男の下品な笑い声が聞こえると僕と鍔迫り合いの状態になっている男を飛び越えきた。男は僕に刀を真直ぐに切り下ろす。


 僕はそれをバク宙で避けるとすぐ右からさらに違う男が刺突で攻撃してきた。


「死にさらせぇ!!」


 男の刺突をぐるりと回転しながら紙一重で避けると僕は右の上段回し蹴りを食らわす。


「ぐえ!」


 刺突してきた男は白目を向いて倒れた。それを見た他の男達が怒りを露わにし口々に汚い言葉を僕に浴びせる。僕はそれを見てフフと笑う。


「弱い犬ほどよく吠えるってね。どうやら大したことないな」


 僕が先ほどのように挑発すると男達はお互い顔を見合わせ左右に散った。どうやら少し慎重になったようだ。


 フフ、面白い。これからが本番のようだな。


 口角を上げながら僕は剣を構えた。






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