第三十八話
僕がジリジリと頭に近づいていくとその後ろでリカルダが少し気まずい顔をしているのがわかった。
リカルダ…… お前は今、どんな気持ちでこの戦いを見ている。僕はリカルダの気持ちを推し量った。しかし残念なことにその答えは出なかった。
彼女には彼女の事情がある。いや、つーか最初っから敵同士だったんだからこれが当たり前なんだ。なんか一緒に死線をくぐり抜けたんで仲間意識が芽生えちゃったよな、俺たち…… まあ、今はそれを考えてもしょうがない。戦いに集中だな。
僕はそう自分に言い聞かせると頭に再度、ジリジリと間を詰める。すると改めて頭のガタイの良さに気が付いた。
うわ〜、やっぱ、でけーおっさんだな、おい…… 身長、二メートルを超えてるよなぁ。170センチの僕が子供に見えるぞ。ってか何食ったらこんなにでかくなんの? どう考えても僕が転移する前の世界の方が栄養がある食べ物が多いはずなのに……
「おりゃ!」
僕がどうでもいい事を考えていると頭の大剣が飛んで来た。僕は咄嗟に自分の剣でそれを受ける。
「うぉ!」
頭の攻撃は思っていた以上に重く鋭い。僕はガクッと片膝をついた。
「ググググ……」
なろうぉ…… すげー力だな、うう、とてもじゃないがこりゃ敵わん。
僕はたまらず、サッと後ろに下がると頭の大剣が勢い余って地面に突き刺さる。ドゴンという大きな地響きに思わず息を飲む。
おっととぉ、こりゃなかなかの威力だ。ちょっと甘く見てたな……
頭の攻撃力は僕が思っていた以上だった。
う〜ん、やはりこの頭、僕より強い……
そう思った僕は一度、距離を取る。しかし、頭は僕を逃さなかった。
「逃すか!このガキ!」
頭が勢いよく向かって来た。そして大剣を目にも留まらぬスピードで左右に振り攻撃を仕掛ける。僕はそれをなんとか自分の剣で受けるがその威力と剣速に顔を思わず顔をしかめた。
や、やるな。あんなデカい剣をまるでレイピアのように素早く操るとは…… 僕は気合いを入れ直し剣を正眼に構える。すると自分の手が痺れているがわかった。
くそ……なんて強さだ…
あのおっさんの剣の威力に手が痺れたか。これでは攻撃を受けるのも無理か。なるべく受け流すか避けるか出ないと…… 僕は柄に力を入れ直すと頭を睨みつける。そんな僕を頭は笑って見ていた。
「ふふ、やっぱりお前はただのガキじゃねーなぁ。ここまで俺の攻撃に耐えたのはお前が初めてだ」
頭の言葉に僕は素直に礼を言う。
「それはどうも。大変光栄でございますね」
「へっ そんな嬉しいかい。ならご褒美をあげなくっちゃなぁ」
頭がニヤッと口角を上げると大剣をギュッと握り直す。僕はそれを見て悪寒が走った。
まずい! 僕は頭から逃げるように右手に走り出す。だが、頭は僕の動きを読んでいたようだ。
「逃げても遅い。くらえ!『大斬怒竜』」
頭は大剣を地面に叩きるけるとその地面の土が盛り上がり竜の形に変化した。そして土竜は牙を剥き出し僕に襲いかかってくる。これは土系の剣スキルだ。頭は剣スキルを発動したのだった。
僕に向かって土竜が飛んでくる。そしてその牙が僕を食い殺そうと口を大きく開けた。
「ガハハハ死ねぇ!ガキ!!」
頭が笑いながら僕を見ている。どうやらこれで勝ちを確信したようだ。頭だけじゃない、この戦いを見ている誰もがこれで勝負がついたと思った。
だが、そうはならなかった。
僕は剣の柄に力を込め目をカッと見開くと大声で叫んだ。
「バーニングブレスト!」




