第三十七話
あちこちの家屋から山賊どもがわめきながらゾロゾロと出てきた。お、結構いるな。ひー、ふー、みー、よー、いつ…… う〜ん、ざっと三十人ぐらいか。
山賊の人数を数えてると男が一人、僕の方へと近づいてきた。男は僕を睨み付けながら脅しをかけてくる。
「おー、おー、おー、てめー このガキ!いい度胸してん……」
パン!パン!
僕は目の前にいる男が脅し文句を言い終わる前に顎に左右の掌底突きを食らわせた。男はヨロヨロとまるで酔っ払ったように千鳥足になると無言でバタッと倒れる。
「このガキァー。死にてえのか!」
それを見た山賊たちは一気に怒りのボルテージが上がったのか僕に向かって罵詈雑言を浴びせかける。と、突然、僕の右側から大柄な男が刀で斬りかかってきた。
僕はすぐさまそちらの方を向きファイティングポーズをとる。すると大柄な男はニヤッと少しだけ笑った。
それを見逃さなかった僕は注意深く観察すると大柄の男の瞳に映っている僕の後ろに中肉中背の男が静かに忍び寄って短剣で僕の背中を刺そうとしているのが見えた。
僕は後ろを振り向かず左肘を後方へ飛ばす。
グシャ
鈍い音と共に何かが潰れる感触を感じた。僕は後ろを振り向かなくても、中肉中背の男の鼻が潰れたのがわかった。男は糸が切れたマリオネットのようにその場に崩れ落ち気絶する。
大柄な男は驚いた表情のまま僕に向かってくる。どうやら思いっきり走ってきたからか止まれないようだ。
僕は高く飛び上がると二段蹴りを出した。
「ぐあ!」
蹴りは顎に当たる。大柄な男は宙に浮かんで一回転をすると意識を失ったのか起き上がってこない。僕がスタッと華麗に着地をすると同時に山賊たちは刀を抜き一斉に襲いかかって来た。
「てめえら。このクソガキを殺せ!」
僕は襲いかかってくる山賊を冷静な目で見ていた。いくら人数が多く一度に襲いかかってくるといっても実際、攻撃してくるのはその中の二、三人だ。そうでないと揉みくちゃになってしまう。僕はその二、三人を確実に倒していく。
そして半分以上の山賊を倒した頃、大きな野太い声が聞こえた。
「おい! テメーら! ガキ相手に何手こずってやがんだぁ!」
僕と山賊は戦いを止め、声のした方を向くと、この中でも一際大柄で人相の悪い男と色っぽい女がこちらに向かって来た。
山賊の頭とリカルダだ。
「おい、ガキィ、随分ナメた真似してくれるじゃねーか」
頭はギリギリと歯ぎしりをしながら僕を睨みつけている。
「やっとお出ましか。これで準備運動も終わりかな?」
僕がそういうと頭はニヤッと口角をあげる。
「フッ、随分、余裕ぶっこいてるじゃねーか。いいだろう、お前は俺様が直々に殺してやる。お前ら下がってろ」
頭の言葉に山賊たちは後ろに下がる。そして頭が腰にある大剣を抜き、切っ先を僕に向ける。
「へぇー こりゃすごい大剣だ」
そう言いながら僕も腰にある剣を抜くと切っ先を頭に向けた。
「ガキのくせにいい度胸だ。きっちり殺してやるから覚悟しろよ」
頭が大剣を振り上げる。
「それはこっちのセリフだよ」
僕も剣を振り上げるとジリジリと頭に詰め寄っていく。




