第三十三話
僕と姫野さんがリカルダの糸で身動きできないゴーレムの近くまで来る。僕は姫野さんの両肩を軽く掴んだ。
「姫野さん、よく聞いてほしい」
「うん」
姫野さんは緊張した顔で頷いた。
「これから僕と姫野さんでこのゴーレムと戦うけど、倒すのは姫野さんにやってもらいたい」
僕の言葉に姫野さんは驚いていた。まあ、そりゃあそうだろう。レベル2の姫野さんにゴーレムを倒せなんて無茶以外の何物でもない。だが……
「黒羽くん、私、君の事を信じてる、だけど、このモンスターを私が倒すなんて無理だと思うわ」
姫野さんは困った顔で僕を見ている。それに対して僕はしっかり姫野さんの目を見て話す。
「大丈夫、僕が今からあるアイテムを使ってゴーレムを攻撃する」
「あるアイテム? それって……何?」
「それはこの塔で拾った。「火の石」と「闇のオーブ」と「光のオーブ」だ」
「そのアイテムを使うの?」
「ああ、この三つのアイテムを合成すると「破滅の石」が生成できるんだ」
「破滅の石?」
「うん、この石はとても強力で攻撃すれば敵のHPを一気に1まで下げる事が出来る」
姫野さんがびっくりした顔で僕を見る。
「HPを1、すごい」
「ああ、ただ、残念な事にこの石を使った者もHPが1になって動けなくなってしまうんだ」
「ええ! そうなの!」
「うん、だからこの石は僕が使う。そしてゴーレムのHPを1にする。そしたら姫野さんが動けない僕に変わって火魔法でゴーレムを攻撃してくれ」
僕はそういながら三つのアイテムをバッグから取り出してそれを重ね合わせる。すると、三つのアイテムは光り輝き一つのアイテムに変わった。
「これが破滅の石だよ」
僕が石を掲げると姫野さんは少し怖がった顔でその石を見る。
「姫野さん。大丈夫?」
僕がそう言うと姫野さんは無言で頷く。
「頼んだよ。姫野さん、君なら絶対できる! 僕はそれを信じてるよ」
「大丈夫。任せて! 黒羽くん!」
僕は姫野さんの言葉に勇気を貰うと、リカルダの糸で動けないゴーレムに向かって走り出す。そしてゴーレムの頭に飛び上がると破滅の石を両手で掴みギュッと握りしめた。
ドドドーン!
破滅の石が僕の目の前で輝きながら爆発するとその爆風で吹っ飛ぶ、僕はゴロゴロと地面に転がった。
そして破滅の石が爆発した時に受けたダメージで全身血だらけになるとその姿を見て姫野さんが悲鳴をあげた。
「ひ、姫野さん、今だ! ゴーレムに火魔法を!」
僕が最後の力を振り絞る叫ぶと姫野さんはグッと下唇を噛んでうんっと大きく頷き、魔法の詠唱を始めた。
「黒羽くん! 私、やるわ!やってやる! 行け!烈火弾!」
姫野さんが魔法を発動すると小さな火の玉が片膝をついて動けないゴーレムに向かって飛んでいく。
ドン!
そして、火の玉がゴーレムに当たると、ゴーレムは悲鳴のような唸り声をあげその場に崩れ落ちパラパラと砂になって消えていった。
「や、やった」
僕は痛みで気を失いそうになりながらもゴーレムの最後を確認した。
「く、黒羽くん!」
姫野さんが僕の方へ向かってきた。僕は右手の親指をグッとあげるとそのまま気を失った。




