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第三十二話


 僕とリカルダがエレンミアと姫野さんの方へ向かうとエレンミアが魔法を発動しようとしていた。


「ストーンジェイル!」


 エレンミアが土魔法を唱えると、ゴーレムの前後左右上に壁が出来る。


「これで少し、時間が稼げるわね」


 ゴーレムは土で出来た牢屋に閉じ込めれている。そしてその牢屋からドンドン!と大きな衝撃音が聞こえた。


「物凄い音。これじゃあストーンジェイルがぶち壊されるのも時間の問題ね。でも、その間に回復させてもらうわ」


 エレンミアが回復魔法を発動した。そして魔力を回復するため魔力回復薬マジックポーションをバッグから出し飲み干す。エレンミアの体がパァっと光り輝いた。


 その様子を見ながら僕たちはエレンミアたちの方へ駆け寄り声をかける。


「おーい!」


 その声にエレンミアと姫野さんは驚きながら振り返る。


「ちょ、あ、あんた達、なんでこっち来てんの? ゴーレムは?」


「リカルダの魔粘糸で動けなくしたある」


 僕が指を差すとゴーレムは体の周りに無数の糸が張りめぐされてその場から動けないでいる。しかし、糸はブチブチと音を立て今にも切れそうな状態だった。


「あれじゃあ、いつまでも持たないわね。すぐ糸をぶち切ってこっちに向かってくるわ。で、どうしてこっちに来たの?」


 エレンミアが不思議そうに聞くと僕は頭をポリポリ掻き苦笑いしながら答えた。


「実は戦ってみてわかったが、あのゴーレムは俺たち二人じゃ倒せない」


 僕の言葉にエレンミアが呆れた顔をした。


「じゃあ、どうすんの? 四人で戦う?」


 エレンミアの提案に僕は首を左右に振った。


「いや、最初に言った通り、それだと僕と姫野さんが危険だ」


「でも、他に方法はないでしょ?」


 エレンミアは不可解な表情を浮かべ僕を見ている。そんなエレンミアの目を真っ直ぐ見ながら僕は答えた。


「それがそうでもない。たった一つだが方法がある。それは……」


「それは?」


 おうむ返しをするエレンミア。


「それは、僕と姫野さんがコンビを組み、ゴーレムを倒す。もう一体の方はリカルダと君で倒すんだ」


 エレンミアと姫野さんが目を見張った。


「バカなのあんた! そんなことしたらあんたと遥ちゃんは絶対死ぬわよ」


 猛抗議するエレンミアに僕は冷静な口調で諭す。


「いや、もうこれしかないんだ。頼む、俺を信じてくれ。エレンミア、僕が今まで間違った事を言ったことあるか?」


 エレンミアは指を顎にあて上目遣いになり何やら考えている。


「う、う〜ん、無かったような、あったような…… う〜ん、でも、わ、わかったわ。あんたの言う通りやってみるわ。その代わり絶対、遥ちゃんにかすり傷一つも負わせないでよ」


 エレンミアの言葉に僕は笑顔で頷いた。


「それは絶対、約束する」


 そして僕はリカルダの方を見る。


「リカルダも頼んだぞ」


 僕の言葉にリカルダはフンッと言いながら答えた。


「エルフのお姉さんと一緒なら大丈夫よ。私より自分の心配しなさいよ。それと私からも言うけど遥をちゃんと守るのよ。わかった?」


「ああ、わかっている」


 僕がリカルダに向かって頷くとドガン!と大きな爆発音が聞こえた。どうやらゴーレムがエレンミアの「ストーンジェイル」を破壊したようだ。


「そっちのゴーレムは任せた」


 僕がそう言うとエレンミアとリカルダがゴーレムを睨みながら頷いた。そして、僕は姫野さんの前に立つ。彼女は不安そうに僕を見ている。


「姫野さん、君は僕が絶対に守る。傷一つだって負わせない。だから僕を信じてほしい。大丈夫かい?」


 姫野さんは少しだけ黙って僕を見ていたが、「うん!」笑顔と力強く頷いた。僕はその笑顔を見てホッと胸をなで下ろす。


 「そうと決まれば早速行こう。ゴーレムを倒しに!」


 僕が手を差し出すと姫野さんはしっかりと僕の手を握った。そして僕たちはゴーレムの方へと向かった。


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