098_魔術と魔法
「そもそも魔術ってなんだ?」
「人が魔力によって一時的に成す事が出来る奇跡ですよ」
「どういう事だ?」
「京さん、魔法は見た事ありますか?」
「ああ、キュウルが使ってるのを見た」
「それなら想像出来るでしょうが、魔法とは詠唱によって発動するものです。もっと具体的に言うと詠唱しながら結果をイメージして行うものです」
「キュウルは魔法にはイメージが必要と言ってた」
「ええ、その通りですよ。では魔術と魔法の起源についてはご存知ですか?」
「さぁ、それは分からない」
「まずは魔術からですかね。そもそも魔術が生まれる前までは魔力を扱える人間はいなかったのですよ」
「そうなのか?でも少なからずMPは持ってたんじゃないのか」
「まぁそうですが、誰も使っておらず使い方も知らなければどうしようもないでしょう」
「まぁ誰もやった事がなければそうなる・・・か」
「魔術を生み出したのは、かつての第8勇者と始祖の賢者です。その時の勇者が使ったとされる力を模倣したのが由来です」
「力?」
「その力は勇者にしか使えない魂の力」
もしかしてと思い、一応聞いてみる。
「SPの事か?」
「ええ、あなた方はそういうのでしょう。その力は魂の力。これがなくなるという事は魂が尽き果て死ぬ事を意味します」
「ホントか!」
俺は今までこんな重要な事知らなかった。
「ええ、王国で説明されるはずだったんですけどね」
苦笑しながら賢者は話し続ける。
「この世界は神が作られた。神によって転生させられたあなた方は神と同じくその力を使用出来ます。分かりやすい物で言えば固有スキルなどがそれにあたるでしょう」
「SPに固有スキルか」
「鑑定石で見て、それを持っているという事はあなたは勇者に違いないのですけどね」
「・・・・・」
「話を続けましょうか、魂の力は神が作られた世界に干渉出来ます。もっと言うと世界の書き換えを行えるのです」
賢者は説明を続けるが、話だけでは全く理解出来ない。
俺の固有スキルが停止しているせいだろうか、こんなにも物覚えが悪くなるのかとちょっと悲しくなる。
「イメージつかないな」
「そうですね、この手には何もありません。この"何も無い"から"火が有る"という様に、世界を書き換えるのです」
賢者は指を一本立てると、指の先から火が灯される。
魔術によって火を発現させてくれた。
「これを我ら普通の人間でも使える様にしたのが魔術です。MPは誰しもが持っていますから。魔術は勇者の起こす世界の書き換えを一時的に書き換える力を持っていました。魔力を使い、"どう火を起こす"かそれが魔術ですよ」
魔力操作の応用という事だろうか。
「ただ魔術は誰しもが使えなかった。人はそう簡単に火の"原理"など理解出来ないもんなのですよ。そうして簡易化された物が魔法です。"結果"さえ知っていれば、詠唱によって"過程"を飛ばす事が可能となりました。こう言った背景で世間には魔法使いが多く、魔術師が廃れたのです」
つまるところ"原理"と"過程"を理解ってれば、魔力で出来ない事はないと。
さらに勇者に宿るSPを使えば一時的にではなく世界の書き換えが行える。
「なるほどな、、、だがそれだけでは広まらなかった事には繋がらないな」
「そこに気づきますか。魔法においては"結果"のイメージと詠唱、また対価となるMPがあれば誰でも行えます。ですが魔術とは相性、、、つまり属性が人にはあるのです」
「属性?」
「ええ、そうです。この世界を司る属性があるのです、そして人には属性との相性がある。
火・風・水・土の属性。
光・雷・闇・木の上位属性。
時・空・幻・影の異属性。
これらがあります。あくまでも上位というのは強さという意味ではなく、位置的な意味でという事になります。基本属性の火・風・水・土の4つは分かりますね。次に上位属性なのですが、火と風の上に光、風と水の上に雷、水と土の上に闇、土と火の上に木の属性があります。上位属性とはつまり、複合属性になります」
「という事は、光属性と相性が良ければ、火と風にも属性の相性が良いという事か」
「そうなりますよ。そして最後に異属性ですが、これは基本属性とも上位属性とも違う属性ですね。こればかりは持って生まれたものでしょうかね、私にも使えません」
「そういやあんたは、何の属性と相性が良いんだ?」
「私は基本属性と上位属性全てですね」
そりゃ賢者と呼ばれるだけの人物だ。
「まぁともかく属性との相性が合わなければ、その魔術を行使出来ないという訳か。魔術は万能という訳ではないんだな」
「まぁ、そうですね。"結果"があり、それをどう"過程"していくかは人それぞれでしょうが相性とあう壁が存在します」
属性、、、魔術にはそんな仕組みがあったのこと今さらになって驚く。
「何であんたは、そんな事を話してくれたんだ?そういうのは弟子の人間であるキュウルとかが聞く言葉じゃないのか」
「まぁ、これも全て始祖の記憶なのですけどね。京さん、あなたとこうして話しているとどうしても始祖の記憶が呼び覚まされてしまいます。私も不思議には思いますが、あなたに返す事が自然と、そう思ってしまえのですよ」
俺は腑に落ちなくとも、賢者のそうしたいという気持ちに何も言えなかった。
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