099_再会と告白
その日は何だか寝付ける事が出来ず、こっそりと大聖堂を抜け出す。
外に出るとひんやりとした空気が街を包んでおり、その冷たさに少しばかり侘しさを感じる。
俺は誰もいない街を一人歩き目的地を目指す。
そこは街の中にあり、街にいる人達が忘れられたかの様に近づかない所にある。
俺は目的地に着くと扉を開ける。
古いからだろうかギシギシと音を立て、扉が開かれる。
街の中にあり、一際古い教会だ。
そこは古すぎて人の手入れがほぼ入っていない。
ステンドグラスと誰かが灯した蝋燭の灯り、それに反射されて照らされている大きな十字架が幻想的に感じさせる。
俺は一番先頭にある椅子に腰掛ける。
ぼーっと教会の中を見上げる。
後ろから扉を開ける音が聞こえる。
「このような夜更けでは神もあなたの祈りが届きませんよ」
「俺は祈りなど捧げていない。ただここで自分自身を振り返ってるだけだ」
振り向くとそこにはレイルーシアがいた。
「まさかとは思いましたが、京だったなんて。お久しぶりです」
レイルーシアは修道服を見にまとっており、丁寧にお辞儀をしてくれる。
俺と師匠と別れた後、師匠のツテで修道院に匿われると聞いていた。
あれからしばらく経ったのもあり、レイルーシアは修道女としての立ち振舞をしっかり覚えているようだ。
「久しぶりだ・・・。その、元気にしてたか?」
「えぇ、私は何とか何とかやっています。ギーもですけど」
「そうか、それは良かった」
「もっと早く会えると思っていたのですが?」
「・・・ああ」
「その様子では何かあったんですね。すみません、立ち入らない方が良かったでしょうか?」
俺は俯きながら、静かに首を横に振る。
「そんな事はない・・・」
俺はひどい顔をしていたのだろう。
レイルーシアは俺を心配そうに見ているとゆっくりと近づき、俺を抱きしめた。
それに驚いてしまったが、こうして人に抱かれるというのは何とも言えない安心感を感じ、離れようとはしなかった。
「少し俺の話を聞いてもらっていいか?」
「えぇ、もちろんです」
俺は自分で蓋をしていた事をゆっくりと思い出しながら、言葉を口にする。
「俺のせいで、、、師匠は死んだ。俺が弱かったから。俺の判断が違ったから。俺を庇って師匠は死んだんだ・・・」
レイルーシアは驚いたのか、抱きしめる力が少し強くなった。
その後、少し距離を取り俺の顔を伺う。
「誰もそれを責めない。俺のせいじゃないと言ってくれる。俺は、、、この世界で師匠だけが唯一の標だったんだ」
俺はレイルーシアに弱味を吐く。
「俺はこの神都へ来て、知った。師匠がこの国にとっていかに大事な人かを。それを失って、責めてくれるなら良かったのにん、誰も俺のせいじゃないと・・・」
前に帝国での一件で、泣き叫びながら憎しみを吐露したレイルーシアにだけは素直に感情を見せてしまった。
「京・・・、ごめんなさい、私にもあなたを責める事など出来ません。あなたのその苦しみが少しでも減るのなら何でもします」
そう言うと再び俺を抱きしめる。
そして俺の口をレイルーシアは唇で塞ぐ。
「な、何を!?」
「あなたは私を救ってくれた。私は今後一生を使ってでもあなたに恩を返したい。でも今のはそういう意味ではありません・・・。その私の気持ちとしてそうしたかったのです」
「レイルーシア・・・」
俺は困った顔をしてたと思う。
「ただ私の気持ちなど関係なく、あなたの苦しみを減らせるなら私を慰み者としてくれて構いません」
俺は強引にレイルーシアの唇を奪い言葉を塞ぐ。
「俺はお前をそんな目で見ていない!お前の気持ちは嬉しいが、それを受け入れる事は今出来そうにない・・・」
「京、ごめん。私は少しでもと思って・・・」
レイルーシアは泣きそうになる。
だが、俺は自然と笑みが浮かんだ。
「いや、、、ありがとう。でも今ので俺の悲しみを少し忘れる事が出来たよ」
それにレイルーシアも笑顔で受け取ってくれる。
「しかし、、、もったいなかったかな。もう少しお前とのキスを堪能したかったな」
レイルーシアは顔を真っ赤にして反論する。
「なっ、あれはその!お前だって照れてたんじゃ!!」
「口調がレイラに戻ってるぞ?」
少し意地悪く、レイルーシアを揶揄う。
俺らはその後、近況について話し合った。
とっさの事とはいえ、レイルーシアのおかげで感じてた苦しみは和らいだ気がした。
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