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095_魔族のギルド長

あれからさらに数日が経った。

体は無事に動くようになり、今では大聖堂の中を自由に歩き回れる。

だが未だに左手と剣だけはどうしようもなかった。

別の日に、巫女にお喋りと称して呼び出された時に聞いたが、巫女でもどうにかする事は出来ないとの事だった。


「さしずめ、恨み辛みを吐く龍、怨龍といったところかのぉ。小僧の腕は怨龍の腕じゃな」

「名前だけつけられてもな・・・」

大して役に立つことは言わなかった。

仕方なしに俺は手袋ハメて生活をすることになる。

勇者ではないと宣言したものの、特に神国側からは特に何か言われるわけでもなく、今まで通り大聖堂内の部屋を使わせてもらっている。

七乃花は昼間は修行で、フューネルのおっさんのところについている。

夜になると部屋に来て、話をする。

時間はまだ午前を過ぎた頃だ、七乃花が部屋に来るには時間がある。

せっかく体が治った事だし、街へ出ることにする。


街にはいくつも教会があり、それらの建物には歴史を感じさせる。

街並みは公国や帝国の首都と比べると少し静かな気がする。

街を探索しながら、俺は目的の場所を発見する。


「こちらは初めてでしょうか?」

「ああ、ここでの登録は済んでいない。俺のギルドカードだ」

「あら、すでに冒険者の方でしたか。これは失礼をしました。私はヴィータと言います」

「よろしく、ヴィータさん」

ギルドカードの登録が済む。


「それと、他の冒険者達の遺品を拾ったのでお渡しします」

俺は修行していた山でアンデッドになった商人ネギリエさんの遺品とその護衛の冒険者のギルドカードを提出する。


「これは・・・、わざわざありがとうございます。少々お待ちください」

奥の部屋にヴィータさんは奥の部屋、遺品について報告をしに行ってる。

すると中から男の人が出てくる。


「魔族!?」

俺は咄嗟に身構える。


「待て!俺はここのギルド長だ。アルパという」

「魔族だぞ?」

「魔族が冒険者ギルドにいたら駄目なのか?」

「・・・まぁ、特にそんなルールはないな」

「ああ、ごめんなさい、京さん!説明していませんでしたね!うちのギルド長は魔族ですが、魔王とも魔国軍とも関係ありません!」

「そうなのか?」

「ああ、そうだ。この事は巫女様も承知の事だ」

「すまない、勘違いした」

「気にするな、ところでこの遺品だがどこで見つけた?山道は今封鎖中でな、色々とあるから事実確認をせねばならん」

龍と魔王がいたんだ、普通はそうだ。

とりあえず適当な理由を見つける事にする。


「ああ、わかった。その前に、こいつの換金もお願いしたい」

「後でいいじゃないか」

「いや、量が・・・」

俺はずっと山篭りしていた間のモンスターの魔石と素材を出す。


「何ですか、この量は!」

「そういう事なら仕方ないな・・・。ヴィータ、頼む」

「そんなぁー!」

俺は奥の応接室へと案内される。

そして、先ほど作った理由を告げる。


「なるほど、、、瘴気を発見して発生源を探索。そこで竜を見つけて、慌てて逃げたら足を滑らせて怪我をして、回復するのに時間がかかったと」

「はい、そうです」

アルパさんは俺の目をまっすぐ見つめる。


「どうにも嘘は言ってないようだが、、、何かを隠しているように感じるな」

「そんなことは・・・」

「仕方ない、こうして冒険者達の遺品を持ってきてくれたのは事実。それに、巫女が緘口令を敷いてるからな、神都の兵士に口止めをされてるのだろう」

俺はアルパさんの話に合わせて、首を頷く。


「遺品を届けてくれた事感謝する。報酬は先程の換金分に上乗せしよう」

俺とアルパさんは話を終え、応接室を出る。


「お、終わりました・・・」

ヴィータさんがぜぇぜぇしながら、換金作業を終えてくれた。


「京さん、ギルドカードをお願いします」

「あ、ああ、分かった」

全て売るとかなりの金額になった。

そしてギルドポイントは30,000を超えた。


「これでBランクへの条件に到達しましたね」

「ああ、そうみたい。試験があるんだっけ?」

「いえ、Bランクからは試験ではないです。Bランク昇格には現在いるギルドのギルド長の承認があって、なれますよ」

「こいつは、今日からBランクでいい」

アルパさんが横から、俺の昇格しれっと告げる。


「いいんですか?」

「ああ、条件は満たしている。それに当ギルドへの貢献って意味でも行方不明者を発見してくれたんだ、申し分ない」

「分かりました、それでは京さんギルドカードを」

「何より、実力だけならAランクを越えている」

ぼそっとアルパさんが呟く。

そしてヴィータさんの手によりギルドカードが渡される。


「あれ、新しいカード?それに色が」

「ええ、Bランクからはブロンズカードになりますよ」

「俺もついにBランクか・・・」

「おめでとうございます」

ついつい、心の声が漏れたのをヴィータさんが拾ってくれた。


「今日は依頼を見ていかれますか?」

「ああ、いや、今日の用事はここまでだ。それに今は武器がないし」

「あら、そうなんですね。それでしたら武器屋はギルドを出て、通り沿いに進むと見えますよ」

「ああ、ありがとう」

お読み頂き、ありがとうございます。

毎日22時に更新を予定しております。


感想・レビューお待ちしております。

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