081_竜の正体
黒い竜は眼を開けると、声の方向へと首を向ける。
「ねぇ、話聞いてる?あんた喋れるの分かってんのよ。そんな薄汚れた姿で信仰も取り戻せないでしょうが、ちゃっちゃと人間を滅ぼすの手伝ってくれない?」
声の主は派手な格好をした魔族だった。
黒い竜はつまらなさそうに、その魔族を見ている。
「喋るだと?そんな、こいつはまさか龍だって言うのか・・・」
師匠は驚いている。
龍がこちらへと急に振り向く。
何かを見極めるようにこちらを見続ける。
「あらぁ、人間。ちょっとぉ、用事があるのは、この私なのよ。邪魔しないでくれる?」
龍は、魔族の話を無視し続けコチラを凝視する。
そして口を開けると、ブレスを放つ。
「ちょ、やばい!」
俺は全力で避ける。
咄嗟に避けた衝撃で転ぶ。
《キサマ・・・ユウシャカ》
頭の中で声がする。
《オノレ、ヨクモ。ワレヲ、ワレラヲ》
「ちょっとぉ、今、勇者って言わなかった?どっちかしら?どっちでもいいけど、せっかくの運命ですもの。殺してあげるわ」
派手な魔族は小剣を手に構える。
「一体、、、何なんだよ!」
「京、、やばいぞ。逃げろ!隙は俺が作る・・・!」
「何言ってるんですか!一緒に逃げるんです、俺も隙を生みますから・・・!」
俺は武器を構える。
『オオオオオオオオオオオッ』
黒い龍の雄叫びが上がる。
空中を漂う瘴気は雄叫びで吹き飛び、ビリビリとした空気が伝わってくる。
「あー、あー、うるさいんですけどぉ。ねぇ、勇者はどっちなの?私の挨拶がまだだったわね。私の名前は弐之宮 己狗弐。第2魔王よ、よろしくね」
「第2魔王だと!」
師匠が反応する。
やばい、とてつもなくやばい状況だ。
龍はこちらを敵視し、魔王も参戦。
「おい!勇者だか魔王だか知らないが、俺らは何も関係ない!」
《ユウシャメ・・・キサマノツミハワスレヌ。セカイヲオトシメタツミヲ!》
龍には俺が勇者だという事がバレてしまっているようだ。
遠慮無く、俺を狙ってくる。
ブレスや叩きつけ、全身全霊で龍を見て攻撃を躱さなければ一瞬で殺されてしまう。
「京、無事か!」
「もぉ、勝手に始めないでよぉ。まぁいいわ、おじさまの相手は私がシテあげる。どっちにしてもあんたら二人はおしまいよぉっ!」
魔王はその場で小剣を振るう。
すると小剣はバラバラになる。
そして、バラバラになった剣の切っ先は師匠を目指す。
「なっ、連接剣か!」
「ご名答ぉ。避けられるかしらぁ?」
だが師匠は攻撃を見極め、捌いていく。
「俺もそうそう簡単に殺られてたまるかっ!」
師匠は連接剣を叩きつけ、魔王へと斬りかかる。
「ちょっと、何なのぉ!人間の癖にずるいわよっ!」
魔王は手をかざし、壁を生成する。
「魔術か!!」
師匠の剣は魔力の壁に止められてしまう。
「当たり前じゃない?私は魔王よ。この位、会得してるわよぉ」
そう言うと、魔力の玉をいくつか空中に浮かべる。
「ちっ、やりづらいな」
「人間にしては、まぁまぁね。あんたの事覚えておくわよ!」
そう言うと、魔力弾と連接剣が一斉に師匠を襲う。
師匠がいた場所は次々来る攻撃のせいで砂埃が立ち始めていた。
「ごめんなさぁい、名前聞き忘れちゃったわぁ」
「ハルエル・・・。聖騎士ハルエルだ!」
砂煙が晴れると師匠は体に光を纏っていた。
「何よ、それ・・・。本当に人間なのかしらねぇ」
「これが俺が聖騎士たる証拠だ。気を聖なる力へと変換する。そして・・・そこから放たれる剣技は聖剣技の真髄!」
師匠は剣を構え振り下ろすと衝撃波が魔王を襲う。
その衝撃波は光り輝いており、まるで光の刃のようだ。
「ちょっと待て!世界を貶めたとか、意味がわかんねーよ!」
俺の願いも虚しく、黒いブレスが襲う。
「くそ、話は聞かない。いやマトモな理性がないのか・・・」
俺は大きな岩を見つけ、飛び込む。
岩がジリジリと溶かされているのが分かる。
そしてブレスが止んだ。
「お前はもうマトモに考える事が出来ないようだな!誉れ高い龍がアンデッドとはな!」
激しい攻撃が来るかと思ったが、龍は動かずにいた。
《ダイハチユウシャガ、ワレヲコウサセタノダ。アノカタニヨリ、ツカワサレタワレラハ、ユウシャノネガイニヨリ、セカイヲソンザイヲヒテイサレツヅケテイル》
「は?第8勇者。勇者の願いにより世界と龍は否定され続けている?全く意味が分からん!!マトモに喋れないのか!?」
『オオオオオオオオオオオッ!!』
また雄叫びを上げる。
龍のブレスが来たので、俺はまた岩に飛び込む。
ブレスが止まり、俺は岩の陰から除く。
すると龍は黒い瘴気の塊を放った。
「まずい!!」
俺は急いで岩から飛び出るが黒い瘴気弾は岩を粉砕する。
粉々になった岩の破片は、無差別に俺へと振りかかる。
岩をその身に食らいながら転がる。
「くそっ」
かなりの激痛が俺に降り掛かってくる。
「ああああっ」
龍はかまわずブレスを吐こうとする。
俺は痛みの中、体を起こし、また走る。
「一体、何だってのよぉっ!私が人間に押されるなんて事、あっちゃいけないのよぉっ!」
魔王は魔力弾をたくさん放つ。
だが、ハルエルは剣を振るうと、魔力弾がかき消される。
「何なの、それ。反則よ、反則!」
ハルエルは身に纏った聖なる力で、魔王の魔術をかき消す。
連接剣が迫るが、衝撃波でそれを防ぐと、魔王を自らの間合いに入れる。
「あんたが、そこまで強くなくて助かったぜ・・・!」
ハルエルは魔王を両断する。
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