070_帝都脱出
「京!!!遅かったな!」
「すいません、タスラさん!」
「馬車はまだ出発してないから大丈夫だ。先ほどから城でもの凄い音がしていたが平気なのか?」
「ええ、ちょっと色々ありまして・・・」
「何があったか聞いている時間はないな。スラム街でも城でも騒ぎがあったおかげか、帝都を抜けるには都合が良い。早く馬車へ乗れ」
「はい」
「レイルーシア・・・」
レイラを見たタスラさんがそう呟く。
「京、この方は?」
「ああ、この人は」
俺は紹介をしようと口を開いたが先にタスラさんが話してしまう。
「私はタスラ、帝都冒険者ギルドの長だ」
「冒険者ギルド?しかし、、、何故私を?」
「気にしないでくれ、これは私なりの罪滅ぼしなのだ・・・。君の父上、ラッセルの友だった俺のな」
「父上の知り合いなのですか!?」
「ああ、友と言っておきながら、レスカ家没落の際に私は何の力になれなかった・・・。京に言われ、君をこの国から出す為の手配だけでもさせてもらったのだ」
「私の為に・・・」
「君の正体は知っている。帝国が正式に君を暗殺者だと公表したら、俺は立場上、君を手配しなくてはならない。そうなる前にせめて私個人として君を助けさせてもらいたい。都合が良い事を言っているのは重々承知している」
「京・・・」
「あー、気にするなって言っても無理だろうな。お前の事を心配してる人間がいるって事だ。今のお前なら、それを受け止めてもいいんじゃないか?」
レイラは涙を浮かべながら、何かを納得する。
「タスラさん、ありがとうございます。私はまだどうしたらいいか、整理が着いていません。ですが、レスカ家の生き残りとしてお礼を言わせて下さい」
「こちらこそ、すまなかった・・・」
「旦那方、早くして下さい!城から大勢の兵が出てくる前に出発しないとまずいですよ!」
御者が急かしてくる。
「すまん、もうちょっと待ってくれ!師匠がいるんだ!」
「ハルエル殿か!?」
「ええ、俺とレイラを助けてくれたんですよ」
「しかし、ハルエル殿は良く城にいると分かったなぁ」
ちょうど話をしていると遠くから師匠の姿が見える。
フードを被り姿が見えない誰かに案内され、馬車の所まで来たようだ。
「師匠!」
「悪い、待たせたな!」
「ハルエル殿、よくここが」
すると案内人がフードを外す。
「お父さん!」
「リディア!何でお前がここに!」
「全く、こそこそ何かやってるから調べたらこれよ!ちょうどハルエル様が来て、スラム街の騒ぎや騎士団の騒ぎがあって」
「いや、しかし、お前をこんな事に巻き込みたくは・・・」
「もう!レスカ家の事でしょ・・・?私は帝都の冒険者ギルド長の娘よ!荒事には慣れてるんだから!」
「リディアさん、師匠を連れて来てくれてありがとう!」
俺は思わぬ人の助力に感謝をする。
「ううん、こちらこそ。京くんが色々大変なのは察していたわ。それに感謝するのはこちらよ、街で噂になってるわよ。暗殺ギルドが騎士団の暴虐から救ったってね!」
「あ、えっと、まぁ成り行きというか」
「これから帝国は間違いなく大変だと思うけど、帝都に住む人はあなたの事を英雄だと騒ぐわよ」
「俺が英雄?・・・もう何が何だか」
「ハハハ、いいねぇ。師匠としては鼻が高いよ!」
「師匠まで・・・」
「旦那方、もう行きますよ!」
タイムリミットだ、俺らは馬車に乗り込む。
「京、落ち着いたら必ず帝国へ戻ってこい!」
「はい!」
「あ、京くん!戻ってきたら、またデートしようね!」
「はい!ってあれはデートだったんですか!?」
馬車は動き出す。
遠巻きにタスラさんは俺とリディアさんに何かあったのかと、リディアさんに問い詰めてる姿が見えた。
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「陛下!ご無事ですか!?」
駆けつけた兵士達が二神の姿を捉える。
黒い雷を全身に纏い、肩で息をしている化物がそこにはいた。
「ヒッ」
「落ち着け・・・」
二神は雷を抑え始める。
「陛下・・・、これは一体」
「・・・・・」
二神は静かに目を閉じる。
先程までの戦いを噛みしめるように、呼吸を整えていく。
「陛下?」
「ははっ、最高だ。最高だった!!」
「賊はどちらに・・・?憲兵を組んで、賊を探し出しましょうか?」
「いや、そんな事はどうでもいい。それよりも全兵士に告げろ」
「一体、何をでしょうか?」
「戦争だ!戦争をやるぞ!!」
「戦争!?しかし、賊は!?戦争とおっしゃられてもどこへ向けてでしょうか?」
「賊はいい、そのうち俺が始末をつけてやる!それよりもまずはあいつからだ・・・。準備が出来次第、開始するぞ!」
二神は溜めてから言葉にする。
「相手はアスガルド王国だ!!!」
もうすぐ2章も終わります。
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