065_新皇帝
帝国騎士団 団長 アディーラ・メルクの暗殺は完了した。
「京、、、よくやった」
「ギー、動けるか?」
「ああ、、、無理をすればな」
「回復薬だ。少しはマシになるかな」
「すまない、助かる」
ギーは渡された回復薬を飲む。
飲み終えると多少顔色が良くなり、剣を支えに立ち上がる。
「京、ここからは私がお嬢様を助けに」
「駄目だ。このまま城に行ったら、レイラもギーも捕まって処刑になるだけだ。俺がやる。そう決めたしな」
「ああ、、、分かった。アディーラと戦ってる時にお前がちょっと光ってように見えたが・・・」
固有スキルのレベルアップのせいだろうか。
「気のせいだな。お前の剣術・・・見事だった。まるでラッセル様を見てるようだった」
「そうか?アディーラは最期、記憶が混同して俺をラッセルと勘違いしただけだろ」
「いや、剣を教えてた俺が言うのだからな、お前はもう帝国式剣術の免許皆伝だろう」
「そりゃどうも。ギー、冒険者ギルドに馬車を待たせている。そこまで行ってくれ」
「ああ、了解した」
「俺はレイラを連れて、ギルドへ向かう」
目的は達した。
レイラを連れ戻しに、城へと向かう。
「見張りがいるよな、普通」
あんだけ派手に騎士団を壊滅させたんだ。
これ以上の荒事は、帝都からの脱出をさらに困難にさせてしまう可能性がある。
出来る限り、隠密にレイラを連れ戻したい。
どこか進入路がないか城を見回す。
すると城壁に一本のロープが垂れている。
「そうか、レイラの進入路か・・・」
考えてみれば、レイラが城へ行ったのに騒ぎになっていないのは上手く侵入したからだろう。
レイラの残した進入路から城へと忍びこむ。
「しかし、どこへ向かったのか」
俺はレイラがどういう行動を取るか熟考する。
レイラはガルシアを殺したがっていた。
だが、ガルシアはすでに新皇帝とやらに殺されてしまっていた。
ガルシアが本当に殺されたのか。
新皇帝とは何者なのかを確かめたいだろう。
「まぁ、それが事実かどうかを確かめるか」
新皇帝がどこにいるか考える。
夜更け過ぎだ、寝室にいる違いないがこの騒ぎで起こされ玉座にいるかもしれない。
どちらにしろ皇帝だ、城の最上階にでもいるんではないかと上を目指すことにする。
城の内部はよくも悪くも武骨な雰囲気だ。
華美な装飾ではなく、鎧や盾・剣などがところどころに飾られている。
電気がないというのもあるが、城の内部は暗く月明かりだけが道標になっている。
「力の象徴か」
俺は城の内部を見てそう呟く。
玉座はへの当たりをつけたが、そこにたどり着くまでが長い。
「広いな・・・」
「きゃっ!」
俺は悲鳴のあった方に向き、ダガーを構える。
侍女だ。
指を一本立て、口元に持っていく。
侍女は首をこくこくと頷く。
呪いのマフラーで素顔を隠したままで良かった。
「どうした?」
そこに運悪く、見張りの兵士が通る。
「誰だ、キサ!ゴッ・・・!」
俺は加速し、見張りの兵士に近づき気絶させる。
侍女は座り込んでしまった。
早く行かないと侍女が叫びだしたりするかもしれない、俺はそうなる前に先を急ぐ。
奥へ進むと豪華な絨毯が惹かれた階段がある。
階段脇には兵士が二人倒れている。
「殺してはいないようだ・・・良かった」
レイラが復讐に取り憑かれた殺人鬼になっていないことに安堵する。
階段を登り、大きい扉を見つける。
そして大きく息を吸ってから扉を開ける。
玉座だ。
灯はなく月明かりのみが部屋を照らしている。
広間の真ん中にはレイラが座り込んでおり、魂が抜けたように呆けてしまっている。
そんなレイラを大男が殴りかかろうとする。
その者を確認する間もなく、慌ててレイラの前に立つと俺は大盾を取り出して攻撃を防ぐ。
「ああん、くそがっ!」
大男は咄嗟に攻撃を防がれた事を怒っている。
魔力を込め、防御力を上げたはずなのに大盾はヒビが入っていた。
「なんて力だ!!」
「ちっ、誰だてめぇは?この俺に歯向かうのか!」
声を荒げるだけで空気がビリビリする。
その男の強さにはかなりやばいものを感じる。
正体がわからぬまま、レイラを抱えその男と距離を取る。
だが相手の拳が俺を逃すまいと振り下ろされるが間一髪躱せた。
その衝撃にマフラーが解けてしまい、素顔を晒してしまう。
「すばしっこいな!!」
月明かりがその男の顔を照らす。
俺はその男を知っていた。
「二神・・・?」
「お前は、確か岡崎か・・・?」
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